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2007年6月 9日 (土)

『森林バイオマス最前線』

20070609sinnrinnbaiomasusaizennsenn 大場龍夫:『森林バイオマス最前線 』、全国林業改良普及協会、2005年初版

現在、「バイオマス」という考え方に注目が集まっている。日本語では「生物総量」とか「生体総量」といわれる。
様々な試算がされているが、数十年かかって育った樹木を、もし木材としてしか利用しないとすると樹木全体の半量にも満たない部分しか利用しないということになる。

目前に控えた化石燃料の枯渇への対処、エネルギーの生産と利用に伴う廃棄物の発生、未利用資源の有効活用とそれによる産業振興、等々様々な点で期待が寄せられている。真剣に取り組むべき課題だろう。

ただし、現在の狂乱ぶりには若干の危惧を抱かざるを得ない。
森林を構成する要素は樹木だけではない。多種多様な生物や、土壌、空気に至るまで多くの要素が有機的につながりあう環境を森林という。
樹木が森林の成立に果たす役割を考えたとき、樹木を余さず人間が使おうとする発想には多くの問題点が含まれている。

どのようなプランにも、必ず正負両面がある。
現状をきちんと見据えた上で判断をしていきたい。

林野庁を始め、各種の官公庁も注目する「バイオマス」だけに、今後の森林保全に強い影響をもつはずだ。
バイオマス利用の現状について概観するのによい一冊。

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コメント

ミミミさん
「森林バイオマス」は植物の生理・生態の研究領域などで使用される概念で、ことばどおり樹木を中心とした森林内の生物総量を示す概念です。現在は、地球温暖化防止を目指して樹木の炭素固定能力などを正確に計ろうとしているような研究グループなどが主に使用してきた概念です。
一方で「木質バイオマス」等の概念は、特に化石燃料(石油)の枯渇に代表されるような、新たなエネルギー資源として、木材の有効利用を図ろうとしているような研究グループ等が主に使用してきました。
この二つの概念が最近とみに混乱しているように思います。
まず、こんなことから整理してみるのも有効かもしれませんね。
言わずもがなのコメントで申し訳ありません。

投稿: じゅくちょー | 2007年6月12日 (火) 21時20分

早速のご回答ありがとうございます。
具体的な部分などに関してはあまり触れられていないようなので、
もう少しつっこんだ回答は後日ということになりそうですね。
お手数をおかけしますが、
よろしくお願いいたします。
じゅくちょーさん、私以外にも、
このブログを見ている方がいたら、
是非意見等を伺いたいですね☆
また、
もう少し煮詰まってきましたら、
一度自主ゼミ(!まだやるかっ)など開かせていただければ嬉しいです☆

投稿: ミミミ | 2007年6月11日 (月) 17時15分

ミミミさん

コメントとご質問ありがとうございました!
細かくはあらためて返答させていただきますが、これまで「木質バイオマス」とか「木材のバイオマス利用」とかといって進められてきた活動ですが、ここで紹介させていただいた書籍を含めて、最近「森林バイオマス」という用語が多用されるようになってきました。
言葉遊びのようで恐縮ですが「木材」と「森林」が同じ土俵で語られていることに危機感を覚えています。
さらには、建築廃材の二次利用等までもが最近「バイオマス」という用語にくくられつつあることも疑問を感じています。
二番目のご質問についても大切な点ですね。
ただ、これもバイオ燃料の利用が既に世界的に大きな問題を生み出していることなどを考え合わせると、これまでの「バイオマス」の論理の範疇で検討するのは難しいかもしれませんね。

まとまりなくて、申し訳ありません。
もう少し時間をいただければ幸いです・・・

投稿: じゅくちょー | 2007年6月11日 (月) 16時15分

私も本日より読み始めました。
じつは今、
「木質バイオマス」関係で本を出したい著者からの依頼を受け、
著者原稿をネリネリしています。
バイオマス関係の知識が皆無に等しい(といっても、他の知識も怪しいところですが・・・)ので、
手探り状態です。
なにか、ヒントがあればと思って読み始めました。

そこで、質問です。
「樹木が森林の成立に果たす役割を考えたとき、樹木を余さず人間が使おうとする発想には多くの問題点が含まれている。」
とありますが、
具体的にはどんな問題点があるのでしょうか?
「伐採された樹木を無駄なく使おう」という考え方として、
この言葉をとらえるなら、
そんなに問題があるようには感じませんでした。
ただ、
バイオマス資源としての利用だけを前提として、
森林を管理していくのであれば、
森林所有者の気持ちの問題として、
少々寂しいのかなぁ。
なんてことも考えました。
でも、「木材が売れる」という状況だけを見れば、
そんなに寂しくも無いんじゃないかなぁとも思います。

もし今後、
木質バイオマス利用で、
立木で燃料会社との取引が始まるとしたら、
取引価格はいくらぐらいになるんでしょうか?
木材として出荷するよりも安いんですかねぇ?
また、どのぐらいが妥当なんでしょうか?
もしかして既に取引が始まっているんですか?

最後に立て続けの質問で、すみません。
ふと、
浮かんできてしまったので、
ちょっと書いてみたくなっちゃいました。

投稿: ミミミ | 2007年6月11日 (月) 12時52分

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