『農業は人類の原罪である』
コリン・タッジ:『農業は人類の原罪である 』、新潮社、2002年初版
「農業」は命を慈しみ育てる仕事として表現されることが多いが、農業の核をなすべき「農」という営みの本質は生命を奪うことにあると思っている。
もう少し丁寧にいえば、人間が他の生命を利用するために育て、そして屠る行為だといえる。なぜなら、慈しみ育てるだけであるのなら、それは盆栽を仕立てたり、ペットを愛玩するのと何ら変わらないからだ。
「農」という営みにおいて行われる生命を奪う行為は、もちろん、殺戮や虐殺とは全く異相の行為である。
他の生物の命を奪う尊い行為に従事してきたからこそ、農民は豊かな思想と文化の担い手ともなり得た。
「農」という営みを、他者との交換を目的として行うことを「農業」と呼ぶ。「農民」が「農業者」となり、「農学」が「農業学」に矮小化され、「農政」が「農業政策」に偏倚する過程が、大きな問題を生み出してきた。
林業の場合はいかがだろうか。
ショッキングなタイトルを持つ本書は、われわれの森林づくりに深みを与えてくれた。
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