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2007年7月28日 (土)

『長伐期林を解き明かす』

20070727tyoubakkirinnwotokiakasu 全国林業改良普及協会編:『長伐期林を解き明かす (林業改良普及双書 153) 』、全国林業改良普及協会、2006年初版

最近になって「長伐期化」という言葉をよく聞くようになった。
従来30~50年程度とされてきた植栽から伐採までの期間を80~100年程に延長しようという考え方だ。

森林内には、フクロウが巣をかける洞(うろ)のあるような古木も必要だ。食物連鎖の頂点に立つ肉食の生物の存在も欠かすことはできないからである。
柱材の生産を中心に進められてきたわが国の林業は、人間にとっては生産に長い年月を要する産業ではあるが、森林の成立を考えるとごく若い樹木を主な生産物としてきたので、わが国の森林面積の約4割を占める人工林の中には古木はほとんど存在しない。
こうしたことから考えると、長伐期化にも一片の利点を認めることができる。

しかし、わが国の人工林の生産目的を考えた場合、長伐期化によって得られる大径材に、長期にわたる生産期間に見合うだけの価格形成がなされるとは考えにくい。
また、現在のスギ人工林には、戦後急増した木材需要に早く応えるために早生品種が多く植栽されていることも考えあわせなければならない。
早生品種は、一定年月を経ると材の中心部に腐りが入り、大径材としての価値を著しく減じることも早くから指摘されている。

林野庁等によって長伐期林業が喧伝される現在、長伐期化のメリットとデメリットについて深く考えることが必要だ。
本書では、多くの著者がそれぞれの立場から長伐期化の功罪について論じている。長伐期化について様々なことを考える糸口を与えてくれる一冊だ。

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