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2007年8月 3日 (金)

『牧野植物図鑑の謎』

20070802makinoshokubutuzukannnonazo 俵浩三:『牧野植物図鑑の謎 』、平凡社新書、2007年初版

造園学分野の著名な研究者である著者が、偶然に出逢った一冊の植物図鑑によって「謎」の解明は始まる。

あまりにも有名な牧野富太郎とその業績だが、順風満帆委細支障なく積み上げられたものではなかった。
野口英世や北里柴三郎らがそうであったように、帝国大学閥の主流たり得なかった牧野の人生を垣間見ることができる一冊である。

帝国大学主流派との確執に加え、学童生徒への植物学知識の普及に尽力する村越三千男との壮絶な争いを軸に「謎」が解明される。わが国林学の黎明期の巨人、本田静六も牧野の「謎」に無関係ではなかった。
ライバルとの切磋琢磨などという爽やかさは微塵もない。見苦しいまでに骨肉相食む掴み合いの抗争は、己が信じた途を行く者にとって避け得ないものであったのだろう。

森林に親しむための重要なツールである植物図鑑を開くことに、新しい楽しみを加えてくれる一冊だ。

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