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2007年8月 3日 (金)

『照葉樹林文化』

20070802shouyoujurinnbunnka 上山春平:『照葉樹林文化―日本文化の深層』、中公新書、1969年初版

本書は、わが国の基層を形作ったのは照葉樹林帯の文化にあるとする。
従来、わが国の文化形成に当たっては稲作が決定的な要因であるとする考え方が一般的であったが、稲作(水田耕作)技術渡来以前と考えられている縄文の文化こそがわが国の基礎をなすものであり、その縄文の文化は照葉樹林帯の文化であったという。

照葉樹とは、葉の表面が堅く光沢を持つような樹木を指す用語で、椎や樫などの南方由来の樹木群がこれに当たる。

本書の出版は大変な議論を巻き起こすものであったが、その後、北方由来のブナ帯の文化も一大勢力であり、照葉樹林帯の文化とブナ帯の文化のせめぎ合いがわが国の文化を形成したとする説が現在の定説となっている。
東北出身の小説家である熊谷達也が鮮烈に描くような、大和と蝦夷の衝突がまさにこれに当たる。

ともあれ、こうした議論を巻き起こす嚆矢となった一冊である。

森林(やま)づくりを考えるときに、我々の祖先達が依拠しながら生きてきた自然環境に思いを馳せることもまた楽しい。

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