『木場ことば集』
宮原省久:『木場ことば集』、東京木材市場株式会社、1969年初版、2006年復刻
「角兵衛」「花魁」「粋物」「三味線」「太鼓」…等々等々。
これだけ聞いて何のことか分かる通人はまずいない。
何れも、かつて東京深川木場で木材の取引をする業者の間で使われてきた業界用語である。
深川の木場も江東区新木場に移転してからもう長いので、木材業者の間でも意味が通じない言葉が多いという。
本書は、深川木場時代から木材流通の要として機能してきた東京木材市場株式会社の創立50周年を記念して刊行され、その後同社の創立90周年を記念して復刻刊行された稀少書である。収録された用語は132語に及ぶ。
木材は、林木を育成し、伐倒し、搬出し、加工しなければ利用に供することはできない。そうした中で、流通・加工過程に関わった人々が仕事を円滑に、そして効率よく進めるために育んできた「ことば」が本書では紹介されている。
血の通わぬお役所言葉などではない、活きた「ことば」を通じて我々が学ぶことは多い。
森林(やま)づくりの目標、あるいは成果の一つとして、木材の利用を忘れることはできない。特に人工林を育てる作業に関わる場合、育てられた樹木がどのように姿を変え、どのように利用に供されるのかを知らなければ森林(やま)を育てることはできない。
残念ながら本書は少部数発行の非売品であるので入手は困難だろが、それでも紹介したい一冊だ。
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