『地球温暖化を考える』
宇沢弘文:『地球温暖化を考える』、岩波新書、1995年初版
以前このページで紹介した『社会的共通資本』の著者である宇沢氏の著作。
1992年にブラジルのリオで開催された地球サミットでクローズアップされた問題が、本書の表題ともなっている「地球温暖化」問題だ。
二酸化炭素は、それまで無害の排出ガスとして社会に認知されてきた。むしろ如何に排出ガスを二酸化炭素にするかという観点で様々な技術開発が為されてきたと言っても過言ではない。
それが、一夜にして悪者になった。
森林(やま)づくりには、ローカルな視点が極めて重要であり、このページでも、その点を重視してきた。
もちろんローカルな視点の重要性を撤回するつもりはないが、やはりグローバルな視点も必要である。
「地球温暖化」というきわめてグローバルな問題の発生のメカニズムの分析と、「温暖化防止」に向けた具体的な提言が本書ではなされている。
「地球温暖化防止」に向けたアクションは、これまで経済の枠組みから除外されてきたが、社会の形成と発展に必要な様々な事象を社会的に認知することの重要性が強調されている。
森林(やま)づくりの持つ意味は、樹木が炭素を固定するからなどという狭隘なものではない。
森林を護り、林業を振興することの意味を矮小化してはならない。
本書も、我々の森林づくりに大きなヒントを与えてくれる。
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