ウマオイ
草原性の昆虫だが、林縁部の草原などに多くみられ、広大な開放地でみることは少ない。スイーチョン、スイーチョンと長鳴きをする「ハヤシノウマオイ」とシッチョン、シッチョンと短く鳴く「ハタケノウマオイ」に区別されることもある。夏から晩秋にかけて大きな澄んだ声で鳴く声が、馬子が馬を追う声に似ることからこの名が付く。体色は淡緑色で、頭部から前胸の背面に濃褐色の太いラインが走るのが特徴だ。
夜行性の昆虫だが、下刈りなどによって起こされて眠そうな足取りで顔を見せる。
性質はどう猛で幼虫時から他の昆虫を補食する。キリギリスの仲間は幼虫の時には花粉や花弁、草の葉等を食べ、成熟にしたがって肉食性を強めるものが多いが、本種は生まれついてのギャングである。
肉食性の昆虫の存在は、餌となる昆虫が豊富に生息していることの証明だ。針葉樹の人工林、雑木林、草原等がモザイク状に配置されることで多様な環境を生み、多くの生物の生息を可能にする。
湿潤温暖なわが国の気候は、一般に森林の成立に適しているため、刈り払いや火入れといった人為が作用しなければ単純な生物相へと移行する。また、肉食性の生物が存在しなければ、草食性の生物が爆発的に増加し、短時間に食草を食い尽くし自らの生息も不可能となる。
林業は自然の生態系と人為が織りなすコンビネーションプレーだ。収穫を目的とする樹種にのみ焦点を当てた保護・管理は短期的には収量の増大をもたらしても、長期的には尻すぼみとなる。
20060820 NIKON D70 60MICRO
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