木々の異常
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冬の森林(やま)は何もないように思われるが、そのようなことはない。
たしかに、新しい息吹が一斉に芽吹く春の賑やかさはないし、夏の力強さも、秋の豊饒とも違うが、冬には冬の良さがある。
春を待つ種子は、落葉の下で芽吹きの準備を着々と進めている。
カラマツ林の林縁で美しい造形を見せるのは、種子をとばした後のウバユリの実だ。
一本のウバユリが、おそらく千を超す種子を実らせる。
もし、全てが芽生えたら辺り一面がウバユリだらけになるはずだが、そうはならない。
まるで、他の生物の餌となることや、土を肥やす自分の役割を知っているかのようだ。
夏に咲くウバユリバユの花も綺麗だが、冬枯れの林床に凜と立つ姿もまた画になる。
20071208 カラマツ人工林の林縁で(中野地区)
NIKON D80 28-200
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12月9日は本年度第3回目の養成教室を実施した。
何を養成する教室かというと、森林(やま)づくりに関わることのできる人(市民)を養成する教室である。
森林づくりは、やる気だけでは行うことはできない。
確かな知識と確かな技術、そして森林や人、里に関する配慮ができる人でなければ行えない活動だ。
もし、やる気だけで関わってしまうと、森林そのもを台無しにしてしまったり、地域社会に大きな迷惑をかけてしまうことになる。
足もとの悪い場所で、刃物を使い、重量物を扱う活動であるから、自らの命を落とす場合もある。
そこで、私たちの教室では、一年間、四季折々の作業体験を積んでいただき、座学のお勉強にも耐えていただくことにしている。
この教室を終了した方が森林づくりの入り口に立つ有資格者となると考えている。
今年度の教室も、多彩な参加者を迎えての実施となった。
写真の女性は御歳77才!78才のご主人とのご参加だ。
今回の教室では枝打ちを学んでいただいたが、アルミのステップラダーを用いての高所作業も経験していただいた。
20071209 養成教室での枝打ち(中野地区・友好の森)
NIKON D80 28-200
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昨日、念願のNIKON D300が納品された。
新機種の導入に伴って、永くお世話になったD70は現役引退となった。
20年ほど前に、名機CONTAX RTSを知人から譲り受け、なけなしの小遣いをやりくりしながらモータードライブやストロボ、各種フィルターなどを少しずつ買い足したことが懐かしい。
当時の経済力では、フィルム代すらままならず、充分に写真の楽しさを味わうこともできず、次第に写真を撮ることも無くなっていった。
就職してからは、仕事の記録用の写真を時々撮影する程度の時期が長く続いたが、仕事柄、野山に持ち出せないカメラは非常にお荷物となるので、フィルムではコニカの“現場監督”という防水カメラを愛用していた。
その後、ほぼ同時期にコンパクトデジカメが普及しだしてからは、もっぱら記録用の写真をコンパクトデジカメで撮るようになった。これも、防水のオリンパスのミュウシリーズを活用してきた。
そのような時期を何年か過ごし、四年ほど前に、職場に出入りする業者の方からデジタル一眼レフを奨めていただいた。
それまでのデジタル一眼レフの価格は“1画素1万円”などと言われていたように記憶している。
それが、このD70の登場で、使いやすさ、画像の良さ、価格の手頃さの並立が実現した。
写真の魅力、写真を撮ることの楽しさを思い出させてくれた1台である。
その後、D80の登場によって、D70は完全にサブカメラの位置に定着したが、それでも現役で頑張ってくれてきた。
今回のD300の導入を機に現役引退とすることとしたが、時には引っ張り出してシャッターを切ってみたい。
このD70の写真がD300の初仕事となった。
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この数年、農家の方々が森林(やま)に注目しつつある。
手間暇とお金を投じなければ収穫を得ることができないと信じてきた農業のあり方に疑問を持ち始めたのだ。
深耕することもなく、農薬を散布するでもなく、施肥を行うでもなく森林は豊かさを保っている。
農文協は農業者を支援する出版物を多く手がける版元だが、主力定期刊行物である『現代農業』などでも、頻繁に森林に関する記事が掲載されている。
その内容も、山菜・炭焼き・間伐・枝打ち・落ち葉堆肥等々多岐にわたる。
この度、同誌の別冊として『野山・里山・竹林-楽しむ、活かす-』というムックが出版された。
山菜・キノコの収穫・生産方法から利用方法、竹林の利用や手入れの方法、野山の草木でクラフト製作、燃料としての木材利用、昆虫や野生動物の捕まえ方・飼育方法から味わい方、そして森林の管理方法まで、実に多岐にわたる構成となっている。
さらに、このムックの特徴は、全国津々浦々にわたる取材の結果、各地域で行われてきた方法を主体に組み立てられていることにある。
私たちの友好の森でも実践できることがまだまだ沢山ありそうだ。
農家も非農家も、川場村民も世田谷区民も、子どももおとなも、皆で楽しみながらできる森林づくりがあるはずだ。
楽しく、気楽に読むことができて、その上とても参考になる一冊だ。
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今森光彦:『里山を歩こう 』、岩波ジュニア新書、2002年初版
ジュニア向けといって侮るなかれ。岩波のジュニア新書シリーズは名著揃いである。
本書もその例に漏れない。
著者の今森氏は、東南アジア諸国を中心に世界を撮り歩く写真家であるが、決して珍しい物好きの海外信奉者ではない。
わが国の自然と人々の暮らしの接点に暖かい目を向け続け、素晴らしい写真と文章で綴られた多くの著書を上梓している。
本書も、そうした氏の著作のうちの一冊である。
書名のとおり、「里山」をキーワードに全編が綴られているが、そのバランスが見事である。
滋賀県大津市の仰木という集落を舞台に、里山の生物のこと、棚田と里山のこと、集落の伝統と里山のこと、河川と里山のこと等々が充分にして簡潔に描かれている。
そして、最終章は、里山は懐かしい風景ではなく、未来の風景であるという提言で結ばれている。つまり単に、ノスタルジーの世界ではなく、里山と、その存在を支える人々の生活や生産の姿こそが目指すべき姿であることを強調している。
悲観的なだけの農林業論でもなく、徒な楽観論でもなく、きちんとした目線で捉えられた里山を描き得るのは、著者自身の生きる姿勢の賜物だろう。
近い将来、川場を舞台にしたこんな一冊を世に出したい。
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12月8日に、中野地区の共有林組合・牧野組合の方々と世田谷区民とが一緒になって間伐と枝打ちの協働作業を実施した。スタッフも含めると100名近い大部隊となった。
両組合のメンバーも世代交代し、森林作業の経験が乏しい方々が多く、伐倒時の注意事項などを確認しながらの作業となった。
なかのビレジでの簡単な講義の後に、地元の方々の軽トラックの荷台に分乗し現場に向かった。
こうした協働作業の実施は、今年で5年目になる。
川場村での森林(やま)づくりも四半世紀を経たが、信頼関係で結ばれた協働作業を行うことが出来るようになるまでに20年近くかかったことになる。
焦らず、地道に森林づくりに関わってきた成果が一つ実ったように感じられて心から嬉しく思う。
20071208 中野地区の方々との協働作業
NIKON D80 28-200
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枯れ葉色の景色の中で、ひときわ目をひくのはウスタビガの繭だ。
蛍光色のような鮮やかな緑色をしている。
ヒロイド原では、ケヤキやヤマボウシの細い枝に目立って着いていた。
秋には羽化しているから空の繭だが、山の木々が葉を落とした冬景色によく似合っている。
ウスタビガはクスサンなどと同じヤママユガの仲間だ。
この仲間の成虫は、餌をとる口さえなく次世代を生み出すためだけに存在する。
こうした生活史をもつ生物もいることを知ると、命とは何のために存在するのだろうかと、柄にもなく哲学的なことさえ思ってしまう。
目をひく色彩であるのに、けして下品ではなく、軽やかであるのに強靱なこの繭は、「山かます」と呼ばれている。
20071201 NIKON D80 70-300
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川場の森林(やま)づくりのことだけしか載せないという勝手なルールを作って始めてみたこのブログも半年目を迎えることが出来ました!
どれくらい続けることが出来るのだろうかと不安も抱えつつのスタートでしたが、まだまだあれも載せたい、これも載せたいと思うことばかりです!
このページを立ち上げたことで知り合えた方々も少なからずいらっしゃいます。
立ち上げ以前から存じ上げていた方も、それまでにない会話を楽しませていただくことも出来ました。
森林(やま)の奥深さ、森林(やま)づくりの奥深さを今さらながら再確認しています。
思いつきで始めたこのブログですが、もう少し続けてみようかと思っています。
皆さんこれからもどうぞよろしくお願いします。
20071201 湯原の農村風景
NIKON D80 TAMRON18-250
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うっすら雪化粧のカラマツ林を観に川場スキー場の入り口付近まで行ってきた。
国有林内の人工林だが、なかなかどうして素敵な景観になっている。
カラマツは、スギやヒノキと並んで、戦後の拡大造林期の主要造林樹種のひとつだ。
信州のカラマツが北海道に至る全国に植栽されたという。
建築用材や坑木など、多彩な用途が期待されたが、若いカラマツの材は暴れる(反ったり曲がったりすること)うえに、外樹皮が労働者の肩にチクチクと刺さり扱いにくい材であったこと等々から、当初見込んだほどの需要がなく、放置されてしまっている林分が多い。
天唐(天然カラマツ材)の色艶や味わいは一朝一夕に出るものではないようだが、あと60年も経てば良い材になるに違いない。
民間には出来ないような息の長い仕事をするためにも国有林の存在意義は大きいのだが・・・
20071201 カラマツ林(川場スキー場付近)
NIKON D80 SIGMA10-20
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冬の気配がようやく漂いだしたヒロイド原でオオカマキリの卵嚢を見つけた。
オオカマキリは10月頃に産卵シーズンを迎えるが、その年の積雪高ほどの高さに産み付けるという。
雪を避けるのであれば、はじめから高いところに産めば良いし、雪に埋まる方が都合がよいのであればいつでも低いところに産み付ければよいのに、不思議なことだ。
雪に埋めたくはないが、寒風に吹きっ晒しにはしたくないということなのだろうか?
それより何より、その年の積雪高をどうして知るのかということが不思議だ。
カマキリのような肉食の昆虫がいなければ森林(やま)は、草食性の昆虫によってあっという間に丸裸にされてしまうだろう。
お百姓さん達だって農業を続けることはできないだろう。
20071201 NIKON D80 105MICRO
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仕事があって、12月1日に日帰りで川場村を訪ねた。
1時間ほどの会議のために往復で7時間程かけての川場行きだったが、まさに「師走」だなあ、などと思いつつ車を走らせていた。
仕事の前後に慌ただしく村内をまわったが、ホームグラウンドのヒロイド原には沢山の雪虫がふわふわと飛んでいた。
実は、タケさんのページや写真家の海野和男さんのページに紹介された雪虫の写真に触発されて、これは撮らねば!と思っていた。
とびきりのんびりしている一匹に目をつけて、しばらく追っていると真っ赤に紅葉したブルーベリーの葉にとまってくれた。
「雪虫」とは、粉雪が舞うように飛ぶ小さな虫の総称だが、晩秋から初冬にかけて、まるで近い降雪を告げるように現れる。
それ自体が雪のようだから雪虫なのか、降雪を告げる虫だから雪虫なのかは判然としないが、地域差もあるのだろう。
北海道では、トドノネオオワタムシが雪虫の代表だが、川場にはトドマツもヤチダモも存在しないので、たぶん違う種類なのではないだろうか。ケヤキヒトスジアブラムシの可能性が高いと思っているが自信はない。
写真の個体の大きさは約3mmほど。
20071201 雪虫(ヒロイド原)
NIKON D80 105MICRO (×1.4テレコン)
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