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2008年1月16日 (水)

『丹精で繁盛』

20080115tannseidehannjou瀬戸山玄:『丹精で繁盛 物づくりの現場を見にゆく 』、ちくま新書、2007年初版

「こだわり」という言葉にずっと違和感を感じてきたが、どうして違和感を抱くのか、自分でもうまく説明ができずにいた。
それが本書を読むことで心の中にストンと落ちついた。
「こだわり」は自分自身の行為に対してもつ意識であるからだ。
もちろん、仕事に「こだわり」は大切だ。けれどそれは、他人に押し付けるものではなく、自分自身の中にそっと秘めておいて、むしろ他人には隠すべきものなのだろう。

真心を込めて物事にあたることを「丹精」という。
「こだわり」が内向するものであるのに対して、「丹精」は常に他者を意識する。

「こだわりは狭く、丹精は広い(本文より)」

自らを「ドキュメンタリスト(記録する人)」と呼ぶ筆者は、都市農業、干物づくり、農家林業、造船技術者が挑む建築、左官、家具製造など、多彩な現場と、そこで働く人々を見つめ、記録している。
何れも、厳しい寒風にさらされている業種ばかりだが、その中で生き残り、「繁盛」さえしている人々に共通するのは「丹精」を込めるという姿勢である。

農林業の振興や、農山村の振興には、補助金の拠出など外部からの援助が必要な場合もあろう。
しかし、何にもまして必要なキーワードが「丹精」なのではないだろうか。

川場村にも丹精を込めて仕事をする人々がたくさん居る。
こうした人々の姿勢を、そして仕事の成果を正当に評価することから再出発したい。
川場村の地域振興は、これまで一定の評価を得てきたが、これまでの評価のうえに胡座をかくのではなく、今も解決が望まれる多くの課題を残していることから目を背けたくない。
本書に紹介される家具職人は「多くの場合、昔の成功体験がいまの失敗をつくります」と明言する。

川場の森林(やま)づくりを進めるために必要な厳しい示唆を与えてくれる一冊だ。

◆昨年中に紹介した新書はこちらからどうぞ◆

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コメント

ようじさん

おばあちゃんが手間暇かけて孫のためにどてらを縫ったり、お米作りには八十八の手間をかけたり、みんな「丹精」という言葉に集約されそうですね。

正直なところ、この本を読んでギクッとしました。
「丹精」こめた森林(やま)づくりをしてきただろうか、と。
頑張りたいと思います!


投稿: くま | 2008年1月18日 (金) 13時01分

「こだわり」と「丹精」。
良い勉強になりました。

丹精を込め、こんにゃく玉、製粉を
これからも作りたいと思います。(^^)

投稿: ようじ | 2008年1月18日 (金) 00時54分

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