クスサンの繭(すかしだわら)
春のやわらかな陽射しの中に、アンティークのガラス細工のような飴色の繭を見つけた。
“すかしだわら”と呼ばれるこの繭は、クスサンが秋につくる。
晩秋には浅黄色をしていた繭も、雪の時期を過ごすうちに深いこくのある色に変わっていた。
綺麗なだけではなく、とても丈夫な繭で、かなり力を込めなければ破くことはできない。
幼虫はかなりの大食漢で、クリ畑などが丸裸にされてしまうこともある。
けれども、彼らのせいで森林の木々の葉が食い尽くされてしまうことはない。
他の虫や小鳥たち、そして様々な動物が彼らを食べるからだし、人間の目には見えないような微細な生き物たちも彼らを狙う。
そうして様々な生物が絶妙のバランスで共存する。
多くの耕作地でなされるように、薬剤等を用いて特定の生物を排除すると、この絶妙なバランスが崩れ、その影響が回り回って思わぬところでしっぺ返しを食らうこととなる。
最近、多くの農家が、薬剤も化学肥料も施用しない森林の木々が生き生きと成長を続けることに気づき、森林の仕組みに学んだ新しい農法を試みはじめている。
20080323 すかしだわら(ヒロイド原)
NIKON D300 28-200
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