ウスアカオトシブミ
以前にも紹介したように、オトシブミの仲間は木々の葉を巻いて“揺籃”と呼ばれる揺りかごをつくることで有名だ。
種類によっては揺籃を切り落とすものもいて、樹上に残された揺籃よりも、林道などに落とされた揺籃の方がよく目につくことから、“落とし文”の名が付けれらた。
文(手紙)というよりは、短い葉巻のように見えてしまうのだが、イメージされたのは、封筒に入れられた手紙ではない。
電話もメールもない時代に、想い人に気持ちを伝えるためにしたためた手紙を堅く巻き、相手の目に触れるところに落としたのだそうだ。
ウスアカオトシブミは、北海道から九州までの広い範囲の山地で出逢うことができる昆虫だ。
オトシブミの仲間は、食草を特定の植物に限定したものが多いのだが、このウスアカオトシブミは、リョウブやミズキを筆頭に様々な植物を利用する。
春と秋の二度、成虫が発生することも本種の特徴だ。
揺籃をつくるためには軟らかな葉が必要だ。
植物の多くは盛夏には成長の度合いを弛め、酷暑を乗り切った後に再度新葉を展開するものが多い。
この虫は、秋の新葉を利用する戦略を立てているのだろう。
ウスアカオトシブミは秋の訪れを報せてくれる。
それにしても、こんなおとぼけ顔の生き物がいると思うだけで楽しくなってくる。
20080903 ウスアカオトシブミ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO
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