『ぼくは猟師になった』
このブログにもよく遊びに来て下さっている日向さんからとても面白い本を紹介していただいた。
著者は千松信也(せんまつ しんや)さん。
1974年生まれ、兵庫県出身の現役猟師だ。
猟師を志すに至った背景や、猟の方法、獲物の捌き方、料理のしかたに至るまでを気負いのない文章で綴ってくれている。
若くして猟師になったというと、世捨て人の変人のように思いがちだが、全くそうでないところが面白い。
獲物のイノシシやシカの解体が庭先で可能な家に住むが、そこは携帯のアンテナが3本立つことや、ADSL回線でインターネット環境も完備していることなど、ちゃんと現代人なのである。
狩猟という行為は間違いなく生物の命を奪う行為である。
けれども、猟師は決して単なる殺戮者ではない。
動物たちの生に目を背けることなくきちんと向きあい。
自分が生きるために動物たちの生命を奪う。
狩猟という行為を考えると、否応なく自分自身の人生と向きあうことになるという著者の言葉を気持ちよく受け止めることができる一冊だ。
川場の森林(やま)を考える人々に一読を勧めたい。
千松信也:『ぼくは猟師になった』、リトル・モア社、2008年初版
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コメント
日向さん
コメントありがとうございます!
そうですね、とても深い話が淡々と描かれているのが、この本の売りなのでしょうね!
投稿: くま | 2008年12月27日 (土) 00時08分
くまさん、こんばんは。
読んでくださってありがとうございます。
私はこの本を読んで、正直いうと少し怖かったんです。
千松さんが初めてシカを仕留めるシーンなど、なぜか泣きそうになりました。
人が生きていくには、さまざまな命を奪わなければいけないってこと、それを真正面から受け止めることの苦しさ、怖さ。
この本を読んで、改めて私の中にいろんな感覚がうまく収まったように感じます。
投稿: 日向 | 2008年12月26日 (金) 23時08分