カテゴリー「虫と一緒に森林づくり2008」の17件の記事

2008年7月19日 (土)

エサキモンキツノカメムシ

20080719esakimonnkitunokamemusi_3

友好の森には種数・個体数ともに多くのカメムシがいる。
カメムシは、セミやアブラムシ、アワフキムシ等と同じ半翅目というグループに分類されている。ストローのような口をもつのがこのグループに分類される虫たちに共通する特徴だ。

カメムシの仲間が出す臭い匂いは、外敵に対する防衛手段だと考えられてきたが、捕食性の昆虫も鳥類も匂いに臆することなくカメムシを餌にするので、どうもこの説は疑わしいということになってきている。
そういえば、タイ料理などに載せられてくるパクチーという野菜は、現地の言葉で“カメムシ草”という意味だそうだ。ちゃんとカメムシの匂いとして感じながらも好んで食されている。
人間ですら食べるのだから、防衛手段としてそれほど有効なわけはない。
ちなみに、パクチーは、中国語では“シャンツァイ(香菜)”日本語では“ういきょう(茴香)”ヨーロッパでは“コリアンダー”と呼ばれ、世界中で食されている。

写真のカメムシは“エサキモンキツノカメムシ”という種類。
背中のハートマークが同定の目印だ。
メスは産んだ卵が孵り、最初の脱皮をするまで寄り添うようにして世話をする。

20080712 エサキモンキツノカメムシ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

※フォトアルバム“川場の虫図鑑”公開中です!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月16日 (水)

ヤマトアシナガバチ

20080716yamatoasinagabati

森林(やま)づくり塾の体験教室でヒロイド原を訪れた。

ヒロイド原では何種類かのアシナガバチを見ることができるが、今年は少し違和感を感じていた。
この違和感は何なのだろうと考えてみて、2つ思い当たることがあった。

一つは、昨年よりも巣が低いところにあること。
もう一つは、風が吹いても揺れ動くことのないような、どっしりした物に巣がつくられていることだ。

写真のヤマトアシナガバチも、ヒロイド原の入口に設置された案内板の支柱の基部に巣を掛けていた。
地元の森林組合の職員も「今年の蜂はおかしいぞ、巣がガッシリしたところにかかってるぜ」と知らせてくれたので、私の思い違いではなさそうだ。

蜂が低いところに巣をつくる年は台風が来るといわれているが、頑丈なところに巣を掛けるのはどのような年なのかは不明である。
強烈な雨に見舞われるのか、それとも、猛烈な風が吹き荒れるのか。
この夏は天候を注視したい。

20080712 しっかりしたところに巣を掛けるヤマトアシナガバチ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 8日 (火)

オオヒラタシデムシ

20080708oohiratasidemusi

野山で昆虫や動物の死骸を目にすることは少ない。
多くが他の生物に補食され最期を迎えるからだが、食い残しさえもみる機会は少ない。
都市的な環境下ではゴミから腐臭がしたりすることもよくあるが、森林内で腐臭をかぐこともまれだ。生物が死を迎えると、まもなく何処からともなく多くの生物が集まり死骸を解体・採食し、自らの体内に取り込むことで自然を浄化するためだ。

シデムシもそうした生物の一種だ。「死出虫」あるいは「埋葬虫」。和名を漢字で書くと、何とも不吉な、恐ろしい感じがするが、自然界になくてはならない働きをしている。

本種は、北海道から九州までの、平地から山地にまで普通に見られ、公園や人家周辺でも見ることができる。至る所で生と死が繰り返され、生と死の間を取り持つ彼らの存在が必要であるからだ。
昆虫は、花粉を媒介し、種子を運び、植物に害を為す虫を補食し、糞をすることで土壌を肥やし、様々に植物の生育を助けている。そして、死してなお、土となり多くの生命の存在を支えている。

遠く人為のおよばぬ自然の連鎖の中でのみ、農業も林業もその営みを続けることが可能である。シデムシの仲間は、その生態から、一般には敬遠されがちではあるが、彼らの存在を忌み嫌わず見直す必要がある。

地表で暮らし、生き物の死骸やゴミ溜め等に集まる。
オオヒラタシデムシの幼虫は、まるで三葉虫のような体型だ。親がつくった肉団子を地中で食べ、ある程度育った後、地上に出てくる。

20080619 干からびたミミズを食べるオオヒラタシデムシ(川場湯原地区)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 6日 (日)

キタテハ

20080706kitateha

2週間ほど前になるが、ヒロイド原でキタテハを見かけた。
キタテハは、タテハチョウの仲間の中では、川場村で最もよく目にする種類なので珍しさはないが、大好きな蝶の一つである。

キタテハには、“夏型”と“秋型”と言われる二つのタイプがあり、“夏型”よりも“秋型”のほうが赤味が強く、斑紋も鮮明で美しい。
普通、この季節に出現するのは“夏型”の方である。
しかし、この個体は明らかに“秋型”の色彩をもっている。
羽の欠損やかすれ傷もなく、前年の生き残りとも考えにくい。
それどころか、羽化したての個体のように思われる。

川場村では、昨年末にはほとんど降雪が無く、年明けから大雪となったり、4月に入ってから数十センチもの積雪に見舞われたりした。
花の咲く時期や様々な昆虫の出現期にも、例年と較べて、若干の差異があるようだ。
何でもかんでも“異常気象”とか“地球温暖化の影響”とか言うのはあまり良いことだとは思えないが、それでも何かがズレ始めているような気がしてならない。

20080619 キタテハ(ヒロイド原)
NIKON D80 70-300

※昨年秋のキタテハはこちらから

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 1日 (火)

カワトンボ

20080701kawatonbo

10日ほど前に、これまでヒロイド原では見かけなかったトンボが数多く飛び交っていた。
“カワトンボ”という種類のトンボだ。

ヒロイド原は、どこを掘っても水が湧くので“広い井戸の原”っぱだとか、ちょっと掘れば水が出るから“平い(浅い)井戸の原っぱ”だとか、そんなふうに言い伝えられてきた。
この言い伝えの真偽が知りたくて、ヒロイド原の一角を少し掘ってみた。
すると言い伝えどおり、一年中涸れることのない水場が出現した。

こんな10年ほど前のいたずらも、時を経る毎にカエルの種類を増やし、湿性植物が定着し、そして今年になってカワトンボの繁殖をみるようになった。

今年からは、現在の池から少し離れたところで、本格的な水辺環境をつくってみようと思っている。
小さな子どもからお年寄りまでの人力で友好の森をさらに豊かにしていきたい。

20080701 カワトンボを確認(ヒロイド原)
NIKON D80 70-300

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年6月29日 (日)

ジョウカイボン

20080629joukaibon

村内のあちこちのブルーベリー畑では、まだ青い実が次第にふくらみ始めていた。
ふと見ると、あちらこちらにハナカミキリによく似た昆虫がいる。

わりとよく見かける普通種なのに、幼虫時代の生活がほとんど解明されていないという不思議な虫だ。
堅い翅をもつ甲虫の仲間に分類されるのに、翅もやわらかい。

漢字で書くと“浄海坊”。
“浄海坊”とは平清盛の法名(僧侶としての名前)である。
話はややこしいのだが、カミキリモドキという昆虫がいて、これがジョウカイボンとよく似ている。
カミキリモドキは、皮膚に付くと火傷のような炎症を起こすカンタリジンという物質をもっており、熱病に苦しんだ平清盛の法名がこの虫に付けられるはずだったのに、間違えられてジョウカイボンに付けられたというのだ。

この虫は、他の虫を補食する肉食昆虫だ。
ブルーベリー畑に多かったということは、ブルーベリーを好む虫を狙っていたのだろう。
木の上を忙しそうに歩き回っているかと思うと、直ぐ隣の木に飛んでいって餌を探していた。

20080629joukaibon2_2こうした捕食生の昆虫がいるおかげで森林もその姿を保っている。

20080619 ジョウカイボン(中野地区・川場湯原地区)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月22日 (日)

アカスジキンカメムシ

20080622akasujikinnkamemusi

嫌がられる虫の筆頭に挙げられるのがカメムシの仲間だ。

良きにつけ悪しきにつけ馴染みのあるものは、多彩な名称をもつ。
わが川場村のある群馬県では“わくさ”が通り名だ。
“へっぴりむし”や“へこきむし”と呼ぶ地方は多く、青森県では“くせんこ”、秋田県では“どんべむし”、新潟県では“へたがに”、岡山から広島県にかけては“はっとうじ”、九州一帯では“ふう”などと呼ばれる。

敬遠されがちなカメムシも熱烈な愛好家も多い。
写真の“アカスジキンカメムシ”は、彼らからは“歩く宝石”とも形容される美麗種だ。
わが国の昆虫の中でも群を抜く美しさだと思うがいかがだろうか。

個体数が少ないうえに樹上性であるため、なかなか目にすることができない。
フジやコブシ、ミズキなどの広葉樹が中心だが、スギ、ヒノキ、マツ類などの針葉樹も食草として利用するが、川場では圧倒的にキブシに多く見られる。

4回の脱皮を経て終齢(5齢)幼虫になって越冬し、今頃の時期に最後の脱皮をおこなって成虫となる。
写真のような体色を示すのは成虫のみで、幼虫期は色も模様も全く異なる。

この“わくさ”の成虫を見かけたら下刈りのシーズンだ。

20080619 アカスジキンカメムシの成虫(なかのビレジ前)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月16日 (月)

クモの仲間

20080616kumo

ちょうどひと月ほど前、新緑のまぶしい若葉の上でメタリックグリーンに輝くとても美しいクモを見つけた。
“ウロコアシナガグモ”だろうか。
クモの同定には全く自信が持てない。

いったい川場には何種類のクモがいるのだろうか?
大小取り混ぜてかなりの種類がいることは確かだ。

もしクモがいなかったら、と考えるだけでも恐ろしい。
あっという間に木々も草も虫たちによって食い尽くされてしまうことだろう。

花の写真を撮るときに必ずと言っていいほどクモの巣が邪魔をする。
植物は昆虫に花粉をはこんでほしくて、巧妙な工夫を凝らした花を咲かせる。
その努力の甲斐あって花には虫がよってくる。
その虫を狙ってクモが網を張るのだから、あたりまえといえばあたりまえだ。

クモの仲間はどうしても嫌われ者にされてしまいがちだが、彼らもまた森林(やま)づくりを支えてくれている。

20080515 クモの仲間(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

キボシアシナガバチ

20080616kibosiasinagabati

一昨年の夏に、何年か下刈りを繰り返してきた若い林の中で、これまで出逢ったことのなかったハチを多く目にした。
地元のベテラン林家も見たことがないという。

下刈りの最中に何人かが刺されもした。痛みは鋭いもののあまり腫れたりはしないし、巣に近づいてもハチたちのそぶりも平静だ。
毒性も攻撃性もあまり高くないハチのようだ。

実習などの際に学生がハチに刺されることがあるが、「巣はどこだ」と聞いても、「あの辺のようです」などと心許ないのが普通なのだが、この年の夏は違った。「あそこです」と明確な答えが返ってくる。
見てみると育室(巣の中の六角形の小部屋)に、黄色い蛍光色の蓋がしてあり、それがよく目立っている。
幼虫が確認できる育室には蓋がないのでおそらく蛹室なのだろう。

調べてみるとキボシアシナガバチであることがわかった。やはり蛹室の蓋が黄色いことが本種の特徴のようだ。まだ蓋をしていない育室の幼虫は、サングラスをかけたタモリのような憎めない顔をしている。

本種は林縁部の草花上を飛びながらイモムシの類を捕まえ、肉団子状にして巣に持ち帰る。林縁部の植生はスカートのように森林を覆い、林内の過乾燥を防いでいる。イモムシが増えすぎると、このスカート状の植物群落が貧弱なものとなり、林内の環境を壊してしまう。このハチも生物の世界のバランスを保つのに一役買っているのだ。

最近の研究から、樹高の低いスギ植林地などで営巣の密度が高くなることがわかってきた。キボシアシナガバチが目につくようになると枝打ちがやや遅れ気味と判断できるかもしれない。

20060820 キボシアシナガバチ(ヒロイド原)
NIKON D70 28-200

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月 3日 (火)

セグロアシナガバチ

20080603seguroasinagabati  

もう少しすると川場の森林(やま)にも、気むずかしい仲間が飛び回る季節がやってくる。
スズメバチやアシナガバチの仲間だ。

スズメバチの仲間のどう猛さや刺された際の被害については、新聞やテレビ等でも盛んに取り上げられるので随分と周知されてきたようだ。
けれども、アシナガバチの仲間についてはあまり知られていないようだ。
確かに、痛みや腫れ方からするとスズメバチほどのことはないのだが、それでもアナフィラキーショックを起こす場合もあるので注意が必要だ。

川場での森林(やま)づくり作業中にも、ハチに刺される人が毎年いるが、そのほとんどがアシナガバチによるものだ。
スズメバチに較べて圧倒的に巣の数も個体数も多いのだから当たり前といえばあたりまえだ。

単体で行動中のアシナガバチに刺されることはまず無く、巣に不用意に近づいたり触ってしまった場合に攻撃を受けることが多い。
といって、気をつけることも難しい。
巣は、藪の中の、人の背丈以内ほどの高さにあるので、手で直接触れようとはしなくても、下刈りの鎌でかき分けた草が巣に触れたりすると、彼女たちはたちまち臨戦態勢に移る。

巣を見つけたら、静かにその場を離れることだ。
このブログでも、このちょっと気むずかしい仲間達とのつきあい方をお報せしていきたい。

20070823 セグロアシナガバチ(ヒロイド原)
NIKON D80 TAMRON18-250

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月25日 (日)

オジロアシナガゾウムシ

20080524ojiroasinagazoumusi

5月11日の友好の森で、一匹の虫が目にとまった。

白黒のツートンカラーの体色は、鳥の糞に似せた擬態であるといわれている。

この日は、冷たい雨が降り続いたが、このゾウムシは灌木の枝にしがみついたまま何時間も動かずにいた。
実は、雨の中どころか、こうして吹きっさらしの枝にしがみついたまま越冬するのだから昆虫界の変わり者である。
越冬する虫の多くが、物陰や土中などで寒風を避けて越冬するというのに不思議なことだ。

この虫は、成虫も幼虫もクズを食べる。
クズも自然界では、弱った樹木に巻き付き、世代交代のサイクルを速やかに進行させるという大切な役割を担っている植物なのだが、人工林においては迷惑な厄介者として忌み嫌われている。
同じ蔓植物でも、フジやアケビは蔓を工芸品その他に利用できたりするので、人間からは比較的温かい目で見てもらえるのだが、クズはそうした利用に供されることもないため目の敵にされている。

こうした虫がいることで、クズの蔓延も、その勢いが抑えられている。

※フォトアルバム“川場の虫図鑑”公開中です。是非ご覧下さい!

20080511 小枝にしがみつくオジロアシナガゾウムシ(友好の森)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 2日 (水)

クスサンの繭(すかしだわら)

20080402sukasidawara

春のやわらかな陽射しの中に、アンティークのガラス細工のような飴色の繭を見つけた。
“すかしだわら”と呼ばれるこの繭は、クスサンが秋につくる。
晩秋には浅黄色をしていた繭も、雪の時期を過ごすうちに深いこくのある色に変わっていた。
綺麗なだけではなく、とても丈夫な繭で、かなり力を込めなければ破くことはできない。

幼虫はかなりの大食漢で、クリ畑などが丸裸にされてしまうこともある。
けれども、彼らのせいで森林の木々の葉が食い尽くされてしまうことはない。
他の虫や小鳥たち、そして様々な動物が彼らを食べるからだし、人間の目には見えないような微細な生き物たちも彼らを狙う。
そうして様々な生物が絶妙のバランスで共存する。

多くの耕作地でなされるように、薬剤等を用いて特定の生物を排除すると、この絶妙なバランスが崩れ、その影響が回り回って思わぬところでしっぺ返しを食らうこととなる。

最近、多くの農家が、薬剤も化学肥料も施用しない森林の木々が生き生きと成長を続けることに気づき、森林の仕組みに学んだ新しい農法を試みはじめている。

20080323 すかしだわら(ヒロイド原)
NIKON D300 28-200

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月29日 (土)

コブハサミムシ

20080329kobuhasamimusi

ハサミムシの仲間は、動物の死体や枯れ葉などを食べる森林(やま)の掃除屋である。
彼らのような掃除屋がいなければ、森林は悪臭に満ちた不快な環境に変わってしまうだろうし、木々を育てる土壌がつくられなくなり、森林の生命のリレーが途絶えてしまう。

このコブハサミムシは、街中ではあまり見かけない種類のハサミムシだ。
渓谷沿いの林内などに生息するが、倒木や石の下などにいることが多いので、漫然と林内を歩き回ってもなかなかお目にかかることは少ないのだが、この日はエゴノキの樹幹の大人の目の高さほどのところを歩いていた。
成虫で越冬するタイプの虫なので、冬ごもりから覚めたばかりだったのだろう。

雌は卵を産んだ後、外敵から卵をまもり、幼虫が孵った後もかいがいしく世話をする。
昆虫の仲間には珍しく微笑ましい光景なのだが、微笑ましいのも束の間で、孵化後しばらくすると幼虫が母虫に群がりむさぼり尽くしてしまう。
その間も、母虫はしばらくは生きているのだが、逃げることも反撃することもなく身を委ねている。
人間の感覚からは信じられないような行動なのだが、厳しい自然の中で彼らが身につけた生きる術に違いない。

20080323 コブハサミムシ(中野地区友好の森)
NIKON D300 28-200

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月13日 (木)

フユシャク

20080312huyushaku

来週末の3月22日~23日は森林(やま)づくり塾の養成教室と体験教室を同時開催する。写真は昨年の教室開催中に体験教室に参加してくれた小さい子どもが発見してくれたフユシャクと呼ばれる蛾の仲間だ。

フユシャクは漢字で書くと“冬尺”。
名前のとおり、冬季に成虫が出現する蛾で、幼虫はおなじみの尺取り虫である。

成虫は雄雌ともに口吻が退化しており、餌はおろか水さえも摂ることがない。
次世代を生み出すためだけに成虫になるわけだ。
またさらに、この仲間の雌は、翅も退化しており飛ぶことができない。雄には翅があり飛ぶことができるが、もとより口がないのだから餌を探すためではなく、パートナーとなる雌を探すためだけに飛翔する。

写真の個体は、見たとおり翅のない雌で、ケヤキの大木に捕まってじっとしていたところを子どもに発見された。
近くに落ちていたアカマツの樹皮に乗せて私のところにもってきて見せてくれたが、「ようちゅう!ようちゅう!」と大興奮。
もう大人の蛾であることや雌には翅がないこと、ご飯も食べないこと等々を教えると、目を輝かせながら聞いてくれた。
「ものすごい宝物を発見してくれたね!」と私が言ったときの誇らしげな顔が忘れられない。

今年の教室ではどんな発見があるだろうか。
今から楽しみだ。

20070325 フユシャクの仲間(中野地区)
NIKON D80 60MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

雪上の生物(クモ)

20080312setujounoseibutu

先日、雪面に夥しく群れるトビムシを紹介したが、その他にも意外なほど様々な生物を見つけることができる。
様々な生物がいるということは、それらを補食する生物にも生存の余地があるということで、純肉食生物であるクモも雪上で見かけることがある。

体温調節ができない変温動物であるにもかかわらず、俊敏な動きで雪上を走り回っている。

残念なことに、私はクモの仲間は全く判別ができないので、何という種類なのかご存じの方がいらしたら是非教えていただきたい。

20070325 雪上を走り回るクモ(友好の森・ヒロイド原)
NIKON D80 60MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月 4日 (火)

雪面の不思議生物(トビムシ)

20080304setujounohumeityuu002_3

写りの悪い写真だが、2月10日16時13分の友好の森での撮影。

一面の雪景色だったが、足もとをよく見ると1mm程の黒い生き物が無数にいた。
トビムシの仲間のようだ。
コナラやエゴノキが優占する雑木林の中で、数十メートル四方にわたって写真の様な状況が見られた。

動物の踏み跡のなかに特に多いように感じたが、何か理由があるのだろうか。
単に日陰を好んでいるだけだったのかもしれない。

これまで気付かなかっただけなのか、はじめて見る不思議な光景だった。

下の写真は、上の写真の一部を拡大したもの。

20080304setujounohumeityuu003_2

トビムシの仲間は、世界中で3000種以上も確認されていて、日本国内でも360種も存在が報告されているそうだ。腹部にバネ状の器官をもっていて飛び跳ねることからこの名が付いた。
湿った土壌を好む種類が多いが、雪面や氷河表面にも生息し、英語ではスノー・フリー(雪蚤)と呼ばれている。

雪と氷の世界は生物の生存を許さない死の世界であると考えられてきたが、近年になって様々な生物の存在が確認されはじめた。そうした生物について研究する“雪氷生物学”という学問も存在するようだ(※詳しくは千葉大学の竹内望先生のHPをご参照下さい)。

私が、友好の森で見かけた現象も珍しいものではなかったようで、わが国を始め、世界各地で一般的に見られるもののようだが、どうして集団発生するのかは未解明であるらしい。

トビムシの仲間は、腐葉や菌類などを食べ、土壌をつくる役割を持っている。
一面の雪景色の中でも着実に生命の営みは続けられている。
こうした不思議で楽しい出会いも、森林(やま)づくりに活かしていきたい。

20080110 雪面の不思議生物(友好の森)
NIKON D80 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月 9日 (水)

季節外れのルリタテハ

20080108ruritateha

一月ほど前、ヒロイド原の日だまりでルリタテハを見つけた。
翅もぼろぼろで色もくすみ痛々しい。

ルリタテハは成虫で冬を越す蝶だが、この時期まで越冬体制に入らずにいることは希だ。
夏の雑木林で滲み出す樹液に集まり、体温調節のために翅を閉じたり広げたりしている姿は、瑠璃の蝶という名前のとおり宝石のように美しい。
手入れ不足で暗くなってしまった森林に手を入れ始めてしばらく経つが、明るい林床が増え、サルトリイバラなどが目につくようになってきた。
サルトリイバラはルリタテハの幼虫の食草なので、以前に比べてルリタテハを雑木林で見かけることが多くなってきたように思う。

暖冬・寡雪の影響でルリタテハの越冬も遅れている。
昆虫にとって越冬も命を落とす可能性の高い闘いであることも確かだが、越冬という命がけのイベントを経なければ春の繁殖はおぼつかないだろう。

自然界のリズムが急速に変調をきたしているように思えてならない。
写真の個体は無事越冬に入っただろうか。

20071201 冬のヒロイド原で
NIKON D80 70-300

| | コメント (2) | トラックバック (0)