カテゴリー「川場の花図鑑2008」の40件の記事

2008年10月31日 (金)

チョウセンアサガオ

20081030tyousennasagao

写真は、9月1日にヒロイド原で見つけたチョウセンアサガオ。
ナス科の1年草で、“曼荼羅華”や“ダチュラ”などの名でも知られる。

大振りでトゲトゲの葉に、薄紫がかった白い花がとても目立っていた。

江戸時代に、わが国で初めて麻酔を用いた外科手術を行った華岡清州が用いたのが“通仙散”という麻酔薬だが、この通仙散の主原料がチョウセンアサガオであったことが伝えられている。
麻酔薬の多くがそうであるように、このチョウセンアサガオも極めて強い毒性を示す毒草でもある。

もともとわが国には自生しない植物で、江戸後期から明治期にかけて持ち込まれた帰化植物である。
比較的大型の種は、風によって運ばれるものでもないし、人間が意図的に持ち込まなければ増える類の植物ではないと思うのだが、現在、日本各地で自生がみられる。

ヒロイド原にはどのような経緯で根付いたのだろうか。

生物の持ち込みは、持ち出しにも増して地域の生態を攪乱することが多い。
今年気づいたのは1株だけだったが、来年はどうなることだろうか。
注意して見つめていたい。

20080901 チョウセンアサガオ(ヒロイド原)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月26日 (金)

オケラ

20080926okera

「やまで旨いはオケラにトトキ、里で旨いは瓜、ナスビ、嫁に食わすにゃ惜しゅうござる」と信州では詠われたほどの山菜だ。
雪融け間もない頃の新葉を和え物やお浸しにしたそうだ。
ちなみに“トトキ”とはツリガネニンジンのことである。

オケラの根茎には、健胃や風邪薬としての薬効も古くから認められていて、その薬効故に、蜜柑の皮や肉桂などとともに正月の屠蘇散の材料とされてきた。
また、乾燥させた根茎を焚き、蔵の防湿・防黴にも用いた記録もある。

キク科の多年草で、アザミに似たイガのような苞(ほう)に包まれた白い花を咲かせる。

これだけ、多用途に利用されてきた植物であるのに、用いられなくなったのはいつからなのだろうか。
どのような社会背景の中で、身近な自然との接点が失われたのかを知ることも森林(やま)づくりに必要なことである。

20080903 オケラの花(後山)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月25日 (木)

ヘクソカズラ

20080925hekusokazura

庭では厄介者のヘクソカズラも、クズやカナムグラの陰に隠れて森林(やま)ではほとんど気になることはない。
その蔓も、細く、それほど頑強ではないからだろう。
むしろ目立たぬ存在である。

“早乙女花(さおとめばな)”や“灸花(やいとばな)”の別名ももっている。
前者は、春に田植えをする女性のかぶる笠に花を見たてた名前だし、後者は、お灸の痕に花を見たてた名前だ。
小さく可憐な花をつけるこの植物を“早乙女花”と呼ぼうという運動もあるという。

正式和名である“ヘクソカズラ”は、漢字で書くと“屁糞葛”。
傷を付けたときに全草から臭う悪臭から付けられた名前だ。
万葉集にも詠われるこの植物だが、万葉の時代には“くそかずら”と呼ばれていた。
後に“屁”まで冠することになったのだ。
そこまで強調されるほどの悪臭ではないと思うのだが、命名者はよほどお気に召さなかったようだ。

ちなみに生物学上は、アカネ科ヤイトバナ属に分類されている。
属名を決めた学者と和名の名付け親は別人なのだろうか。
属名の決定者は、この和名をいくら何でもひどいと思ったのか。

20080902 ヘクソカズラ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月23日 (火)

ノダケ

20080922nodake 森林内の木漏れ日が射す空間に、ノダケの紫色の花が目立っていた。

山野に生えるセリ科の多年草で、霜の厳しくなる直前まで花を楽しませてくれる。
セリ科の植物は白い花を着けるものが多い中で、この花色は異彩を放っている。
草丈も、高いものでは150㎝にも及び、存在感のある植物だ。

冬には地上部が枯れるが、葉を落とした後にも、すくっと立ち上がった茎が残り、その姿が竹を連想させることから“野竹”の名が付けられたという。

全草に薬効成分が含まれ、刻んで入浴剤として用いると、冷え性やリュウマチ、腰痛などに効果があり、乾燥させた根に熱湯を注いで飲むと風邪の諸症状を緩和するほか、健胃、強壮、止血などに効果を現し“前胡(ぜんこ)”という生薬名で利用されてきた。

川場村の人々もこの草を利用してきたのだろうか。
実は、川場村は山菜やキノコ、野山の生薬などに関する知恵の蓄積が比較的少ない。
こうしたものを山野に求める必要が少ない、相対的には豊かな村だったようである。

20080903 ノダケの花(後山)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月22日 (月)

ワレモコウ

20080922waremokou

日当たりの良いところを好む多年生の草本。
沢山の花が花序を形成しているが花弁はなく、濃紫の小さな花弁に見えるのは萼である。

和名の由来については、実に様々な説があり、漢字表記も“我吾紅”“吾亦紅”“吾木香”“我毛紅”など様々に揺れている。
諸説ある中で、最も説得力のあるのは植物学者の前川文夫の説だ。
曰く、宮中の御簾の装飾具である帽額(もこう)を図案化した“木瓜紋(もっこうもん)”に花の形が似ており、さらに小さな一つ一つの花(萼)が4裂していることこから“割れ木瓜”の名が付いたという(湯浅浩史:『花おりおり』朝日新聞社より)。

遠目に見ると、すっと伸びた茎の先端に楕円形の玉が揺れていて、それはそれで可愛らしいのだが、こうして近づいてみて初めてこの花の美しさに気づく。

下刈りをしながらこの花が目に付くようになると、次の季節の作業、間伐や枝打ちの段取りを考えなければならない。

20080902 ワレモコウ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年9月18日 (木)

ゲンノショウコ

20080918gennnoshouko

林縁の藪に埋もれるようにして、小指の爪ほどの可憐な花を咲かせているのはフウロソウ科の“ゲンノショウコ”。

漢方ではなく、日本の民間薬として“ドクダミ”や“センブリ”とならんで古くから用いられてきた。
根、茎、葉、花、と全草に薬効成分が含まれる。少し前に、随分と流行したポリフェノール(タンニン)が有効成分だ。
乾燥後、煎じて飲むと整腸作用があり、下痢止めや胃薬として広く利用されてきた。
飲み過ぎても便秘などを引き起こしたりしないことから、お茶代わりにも用いられるほど、優秀な民間生薬であった。

“医者いらず”や“たちまち草”などと呼ぶ地域もある。
和名の“ゲンノショウコ”もその薬効から付けられたといわれている。
「そんな草が効くんかい?」
「現の証拠にもう効いてきた!」
そんな会話が聞こえてきそうな名前である。

20080901 ゲンノショウコ(友好の森)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月31日 (日)

クズ

20080831kuzunohana_3小学生たちとヒロイド原で散策をしていると、グレープジュースの香りがしてきた。
クズがタケニグサに絡まりついて鮮やかな花を咲かせていた。

軽く撫でた手にも香りが移る。
小学生たちには大人気だった。

クズはとても生長量の大きな蔓植物で、手入れ不足の人工林などは林冠部をすっかり覆われてしまい樹木の生長を著しく損ねられてしまう。
そのため林業関係者からは忌み嫌われる植物だ。

かつては、その根から澱粉質を採り“葛粉”として利用したりもしたが、大変な重労働を伴うのですっかり供給が途絶え、ただただ嫌われる存在になってしまった。

クズが自然界で果たす役割については以前も触れたが、多くの昆虫の食草にもなっている。

20080809 クズの花(ヒロイド原)
NIKON D300 70-300

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月25日 (月)

フシグロセンノウ

20080825husigurosennnou

やや湿り気があって、木々の葉が頭上を覆うような木陰に咲くのは“フシグロセンノウ”。
ナデシコ科の多年草だ。

夜露にあたったところから色落ちするし、強風にあおられると変色するし、何もなくても2~3日で萎れてしまうし、なかなかべっぴんさんには出会えない。

日本のものではないような濃い朱色の花で、一度見ると忘れられない花である。
夏の夕方、逢摩が時に林道を歩いていると、薄暗くなった林縁に、そこだけスポットライトを浴びたような鮮やかな朱色が目を引きつける。
ごく少人数で、ゆっくりと林道散策を楽しんでいる時などに出逢うと、息をのむような美しさに時間が止まったような不思議な感覚を味わうことができる。

フシグロセンノウは秋の訪れがもう目の前であることを教えてくれる。

20070824 フシグロセンノウ(小田川地区)
NIKON D80 TAMRON18-250

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月20日 (水)

ツリフネソウ

20080820turihunesou

林縁の湿り気の多いところに群生する一年草。

様々な物が、ヤジロベエのようにバランスをとりながらつり下げられた“モビール”という飾り物があるが、本種はまさに自然のモビールだ。

マルハナバチやハナアブなどが好んでこの花を訪れる。
手前に張り出した花弁は、飛来した虫たちを迎えるタラップになっている。
一度ここにとりついた虫たちが、筒状の花の内部に蜜を求めて潜り込むと背中に花粉を背負うこととなる。子孫繁栄のための戦略である。

この植物の繁栄戦略はこれに留まらない。

本種は、馴染みのホウセンカと同じ科に属す。
熟したホウセンカの種はちょっと指先でつついただけで勢いよく飛散するが、本種も同じように種を散らす。
これもまた、手の込んだ繁栄戦略だ。

20080806 ツリフネソウ(中野地区友好の森)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月25日 (金)

ホタルブクロ

20080725yamahotarubukuro

子ども達が捕まえたホタルをこの花の中に入れたからこの名が付いたとか、そもそも“ほたる”とは“火垂る”と書いて提灯の古称であったことから、虫のホタルより以前からの呼び名だとか諸説ある。

山野に多いキキョウ科の多年草。
開放地よりは林縁部に多く見られ、夏の訪れを告げる花だ。

下刈りの手を休めて雑木林に逃げ込み、涼をとっているようなときにふと目にとまることが多い。
この花の咲いているうちに下刈りを終えなければ、次の年の下刈りに手を焼くことになる。

20080712 ホタルブクロ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧