後山のテン
以前にこのブログでも紹介した、内山節さんの『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』にも登場するのだが、キツネやタヌキとならんで、テンも人をだます動物であった。
「狐七化け、狸八化け、貂(テン)九化け」とも云われ、むしろキツネやタヌキよりも怪しい存在であったようだし、福島県の一部などでは、雪崩によって死亡した人間が化けたものと考えられていたらしい。
古い文物の膨大な所蔵で知られる奈良国立博物館では、テンのミイラ化した死体が、龍の一種である“虹龍(こうりゅう)”の遺存体として所蔵されている。
テンが人々にとって不思議な存在であったことをよく示してる。
一方で、テンは、狩猟対象獣として人々の生活と密接な関係を持つものでもあったようだ。
特に、冬に顔面の毛色を白く換え、体色を夏よりも鮮やかな黄色に換えるものを“キテン”と呼んで、最高級毛皮として高値で取引されていた。
各地に残る「テン捕りは二人で行くな」という諺は、猟の成果を独り占めしたくなった猟師が、もう一人を殺しかねないというものである。
友好の森でも、後山でもテンが記録された。
川場村の人々にとってテンはどのような存在だったのだろうか。
20081206 テン(後山)
自動撮影装置
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コメント
sugimotomさん
“ムジナ”とは、現在では多くの地方でアナグマを指すようです。
ただ、“ムジナ”は“六品”の意味で、タヌキとアナグマを体毛の模様から六種類に分けて呼んだことから来ているようですよ。
新潟県などでは、アナグマのことをムジナの内の一種で“ササグマ”と呼んでいました。
さらに“ササ”とは“細雪(ささめゆき)”などにみられるように、“細い”という意味だそうです。
植物の“ササ(笹)”も“細い葉をもつ植物”といった意味から名付けられたようです。
古い話の中に眠っている本質に迫るために、古い言葉の意味を知ることもとても面白いことだと思っています!
投稿: くま | 2009年6月 7日 (日) 23時01分
くまさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。
突然のブログ訪問、失礼しました。
キツネの取り持つ縁とでもいいましょうか。偶然の出会いとはおもしろいものですね。
ムジナというモノは聞いたことがありますが、テンが人を化かすという話は初めて知りました。
特に化け物とか妖怪とかを研究したわけではなく、ただ単に知り合いがキツネに化かされたという事件を聞き知っている程度の知識なのでお恥ずかしい次第です。
世にも不思議で、しかも古き良き日本が息づく貴重な実話だと思いますので、どんな話が飛び出すか楽しみにしておいてくださいね。
キツネの化かす能力について、私の勝手な推測も交えてみようかなとも思っています。(^o^)
投稿: sugimotom | 2009年6月 7日 (日) 09時40分