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2009年1月24日 (土)

『森はよみがえる』

20090124morihayomigaeru 石城謙吉:『森はよみがえる -都市林創造の試み』、講談社現代新書(1994年初版)

つい先日、『森林と人間』という一冊を紹介したが、本書は、同氏による15年前の上梓。

『森林と人間』は、定年退官後の著者が演習林の再建にかけた半生を振り返りつつ纏めた好著だったが、本書は、著者が現役時代に執筆している。

刊行時には既に仕事の大略はなされているものの、演習林改革のただ中で執筆された奮闘記である。
それだけに、記述内容が具体的で、現場担当者の苦労や喜びがストレートに伝わってくる。

著者は、本書の冒頭で都市林整備の方向性、あるいは理念を次のように述べている。

曰く、「身近な自然のなかに住民の多様な生業、つまり日常的な生活行為を改めて持ち込むことなのだ。日本における近年の都市林の論議は、この観点が欠落したまま郊外における公園的な行楽地作りに直結してしまっている。」

そして、「公園的な整備をされる休養緑地では、それを担う主体は造園業の技術であって、林業の技術や労働の入り込む余地は全くない。林業の排除、つまり林地の生産性の否定によって緑地が確保されている」点を、当時の憂うべき現状として喝破している。

静かに全体を俯瞰する近著、『森林と人間』と併せ読むことで、私たちの森林(やま)づくりに一層の勇気と示唆を与えてくれる一冊である。

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