村と森林の歴史
昭和30年代までの川場村は、養蚕の盛んな村だった。
多くの家が桑園をもち、蚕を飼った。
わが国の経済が、海外貿易を主体とするものになるにつれ、安価で大量の生糸が輸入されるようになると次第に養蚕は下火になっていった。
10年ほど前までは僅かな農家が養蚕を続けていたが、現在では皆無となってしまった。
村内には、こうした歴史を垣間見ることができる痕跡が残されている。
僅かな桑の木を残したままの桑園の跡地や、養蚕農家の祭りである“春駒祭り”、そして独特の様式をもつ二階屋などである。
現金収入源の乏しかったこの村に、養蚕は計り知れない恩恵をもたらしたことだろう。
養蚕によって手にした蓄えから、スギの苗木を購入し、森林(やま)への投資を行った農家も少なくなかったはずだ。
自らは見ることのない子孫への贈り物として森林を育てたことになる。
写真は、村内に残る伝統的な養蚕農家の建物だ。
屋根に設けられた通風口は、過湿による病気やダニから蚕を守るための工夫である。
20090114 養蚕農家(生品地区)
NIKON D300 70-300
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コメント
ようじさん!
村内でも、こういう光景は殆どみられなくなってきてしまいましたね。
外来者にとっては素敵な景色でも、そこに住み続ける人にとっては暮らしにくさの原因になっていたり。
なかなか難しい問題ですね。
春駒、行きたいのですが現在調整中です!
投稿: くま | 2009年2月 3日 (火) 14時39分
これはAさん宅ですね。
村内でもかなりの資産を保有していたうちの一軒ですね。
今年も春駒にはいらっしゃいますか?
昨年よりも暖かい冬のように感じます。
投稿: ようじ | 2009年2月 3日 (火) 12時08分