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2009年3月 4日 (水)

●「剥皮被害」?

毎日新聞社がWeb上でニュースを配信する“毎日jp”で、昨日次のようなニュースが配信された。

「シカやクマが樹木の表皮を食べたり傷つける被害が、国内の森林の約1割で見られることが、林野庁の調査で分かった」というのだ。

どういう事かと思って、読み進めてみた。

国土を4km四方の格子で区切り、格子の交点が森林であった場合、その周辺の1,000平方メートルのブロックを調査し、その中の1本以上の樹木が動物によって皮を剥がされていると、そのブロックが被害を受けているものとしてカウントしたというのだ。

1,000平方メートルというと、約30m四方にあたる。
仮に、これがスギやヒノキの標準的な新植地だと仮定すると300本程度の立木が存在する計算になり、間伐などを繰り返した林分でも50本やそこらの立木が存在することになる。
これが、広葉樹を主体とする混交林ならば、立木本数は遙かに多い。
これら立木のうちの1本に剥皮がみられたことをもって“被害”があるというのだろうか。

そして、同ニュースでは「樹皮の損傷は商品価値を下げるほか、木が枯れて土壌流出など森林の環境悪化にもつながる」と説明している。

林内の樹木、50本に1本が剥皮によって枯死したとして、それが「土壌流防」などに繋がるわけはない。
それよりも、多様な生物が林内に生息することこそが強くしなやかな森林環境をつくることを意識する必要の方がずっと高いはずだ。

枯死した樹木は、昆虫などをはじめとする多くの生物の生存環境をつくり、それらの生物が次世代の樹木の生育を支える土壌をつくるなど、多様な働きをしている。
森林内には、枯死木を含め多様な樹木が必要なのだ。

林野庁の情報提供に問題があるのか、毎日新聞社の報道に問題があるのか、この記事から読み取ることはできないが、偏向報道と言われてもしかたのない記事には違いない。

※配信されたニュースはこちらから確認できます。 → 毎日jp

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コメント

日向さん!

こんにちは!

そうなんですよね。。
困ったことです。
行政関係者や報道関係者、社会科学系統の研究者たちは自然科学の成果をないがしろにしすぎているように思います。
地球温暖化だって、自然科学系統の研究者の中では、その後に来る寒冷期の方が問題は深刻だってことになって来ているのにね。

やはり、サイエンスジャーナリストの出現に期待大ですね!

投稿: くま | 2009年3月11日 (水) 12時24分

困った報道ですね。
興味がない事柄を記事にしなければならない時、企業や行政が出したプレスリリースをそのままトレースしてしまうことは、よくあると思います。
今回の件について言えば、単に興味がなかったのか、本当に被害が深刻だと思ったのか、悩むところですが・・・。
自然環境に対する軽率な思考や、なんでも地球温暖化のせいにする風潮等々、なんとかなりませんかね。

投稿: 日向 | 2009年3月11日 (水) 09時07分

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