タネツケバナ
雪が融けると一斉に葉茎を伸ばし、春を謳歌する植物がある。
写真のタネツケバナもそうした植物のうちの一つだ。
タネツケバナはアブラナ科の2年草。
最近でこそ、農家も田植え用の稲の苗を購入するのが一般的になったが、ほんの少し前までは各戸が苗作りも手がけるのが普通だった。
田んぼの一角や、あるいは専用のスペースで種籾を播き、一定の大きさまで育った苗を田植えに供した。
タネツケバナの名を漢字で書くと“種漬け花”。
苗作りのために種籾を播く前に、水に漬け、発芽効率を高めるのが“種漬け”と呼ばれる作業である。
この作業の適期を報せてくれるのが、この花だった。
写真からはわかりにくいが、大きくてもせいぜい15cmほどの高さにしかならない小さな小さな植物で、茎の先端部分に5~10輪ほど咲く花の一つ一つは直径2~3mmといったところ。
知らなければ見過ごしてしまうようなこの花を、稲作の作業適期と重ねて観た古人の感性には驚くばかりだ。
20090405 タネツケバナの開花(中野地区友好の森)
NIKON D300 105MICRO
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