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2009年6月の16件の記事

2009年6月29日 (月)

グリーン・ワールド

20090629shuregeruaogaeru

野生動物の調査のために後山に出かけてきた。
ひとしきり山腹をまわってから、人里付近の状況を知るために、後山の山裾に位置する生品地区に足を運んだ。

かつて養蚕が盛んだった頃の名残の桑畑に踏み込むと、これもまたかつての名残なのか、あるいは現在でも利用しているのか、結構な面積がミョウガで埋め尽くされていた。

食痕や足跡など、動物の痕跡がないか注意しながら辺りを見まわしていると、緑一色だった視界のなかに金色で縁取られた黒い瞳が突然に現れた。

まぶたを閉じて、葉陰でじっとしていたシュレーゲルアオガエルが目を開いた瞬間をたまたま見つけたのだった。

アマガエルのように黒いアイラインもなく、鮮やかなグリーンの体色のこのカエルがまぶたを閉じていると、本当にすっかり葉の色にとけ込むことに改めて驚かされた。

梅雨も半ばに入り、動物も植物も次第に初夏の装いを見せ始めた。

20090627 シュレーゲルアオガエル(生品地区)
NIKON D300 105MICRO

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2009年6月24日 (水)

オカトラノオ

20090624okatoranoo

ヒロイド原ではオカトラノオが清楚な花を咲かせ始めていた。
いよいよ夏の入口にさしかかったようだ。

オカトラノオはサクラソウ科の多年草。
地下茎を走らせて増えるので、一箇所に群生することが多い。

小さな5弁の花を房状に着ける姿を虎の尾に見たてた名前がつけられており、植物の同定が苦手な人にも憶えやすい一種である。

“虎尾珍珠菜”の名で、打ち身などに効く生薬とされるが、素人の生療法は怪我のもと浅薄な知識での服用は避けるべきだ。

本種に限らず、植物には薬効成分をもつものが多いが、自らが動いて敵や過酷な環境から逃げる術をもたない植物が自衛するために編み出したのが、自らにとっての有用成分を体内に蓄積するという手法なのだという。

20090620 オカトラノオ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

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2009年6月23日 (火)

シカも衣替え

20090623natugenosika

6月13日の朝、一頭のニホンジカが記録された。

頭部には角座(かくざ)から僅かに袋角が盛り上がりはじめていて、オスの成獣であることが分かる。
先日紹介した一頭は、これよりも早い時期に、既に枝分かれした袋角をもっていたので別の個体だ。

体躯に斑点をもつのは、まだ赤ちゃんのシカ(=バンビ)だと思いがちだが、そうではない。
ニホンジカの場合は、成獣でも夏毛の間は写真のように白斑をもつ。

狩られる側の草食動物であるシカが、このように美しい模様をもっていれば、目立ってしまって不都合なように思うかもしれないがその逆である。
森林(やま)の木々に葉が繁り、地表には木洩れ日が射すようになると、こうし模様が保護色として働くのだ。

20090613 夏毛のニホンジカ(友好の森)
自動撮影装置

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2009年6月22日 (月)

ヨツボシトンボ

20090622yotubositonbo2

中野地区にある休耕田を利用した溜め池を訪れた。
池の中にも、岸にも湿性の植物が繁茂し、すばらしい水辺環境を形作っている。

「トンボや蛍などの繁殖地として最適な環境だろう」と話していると、同行者が草の葉にとまった一匹の見慣れないトンボを見つけた。
アキアカネなどに較べて、翅にある黒斑が多いし、尾部も短めだ。

帰宅してからあれこれ調べてみると、トンボ科のヨツボシトンボであることが分かった。
北方由来のトンボだそうで、東日本では普通種だが、西日本では稀少であるようだ。

20090622yotubositonbo1

アップにしてみると、頭部や胸部が細かな毛に覆われていることが分かったが、これも本種の特徴だそうだ。

20090621 ヨツボシトンボ(中野地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2009年6月21日 (日)

半鐘

20090621hannshou

先日“ハンショウヅル”のことを記事にしたら、何人もの若い人たちから「半鐘ってなんだ?」
という質問があった。
やっぱりである。

そこで早速、半鐘の写真を撮ってきた。
火の見櫓のなかに吊り下げられているのが“半鐘”である。

ちなみに、除夜の鐘を鳴らすようなお寺の鐘のことを正式には“梵鐘(ぼんしょう)”というが、口径1尺8寸(約54.5cm)以上のものでないと梵鐘とは呼ばれない。
そして、それ以下の口径のものを“半鐘”と呼ぶのだそうだ。

梅雨の合間の青空に火の見櫓が似合っていた。

20090621hannshou2

20090621 火の見櫓に吊された半鐘(中野地区)
NIKON D90 70-300 

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2009年6月17日 (水)

ダイミョウセセリ

20090617daimyouseseri

友好の森の、ほの暗い雑木林のなかで一匹のセセリチョウに出遭った。

翅を広げてとまる習性があり、その様子を、裃(かみしも)をつけた大名に見たてた名だとも、裃をつけた武士が大名にひれ伏す姿に見たてた名だとも伝えられるが、真偽の程は定かではないようだ。

個人的には、家紋の入った裃を威風堂々と着こなす大名であるとする説に軍配を上げたい。

春から秋までの無雪期をとおして目にする小さな蝶だが、こうして木洩れ日のスポットライトを浴びている姿には、何故か見入ってしまう。

この蝶の学名は“Daimio tethys”といい、わが国で発見・命名されたことから属名にまで“大名”の名が付いている。

20090607 木洩れ日を浴びるダイミョウセセリ(友好の森)
NIKON D300 105MICRO

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2009年6月16日 (火)

半鐘蔓

20090616hannshouduru_4

友好の森のなかで、ひっそりと木陰に花を着けていたのはキンポウゲ科のハンショウヅルだ。

園芸品種として人気の高いクレマチスの仲間である。
在来種でも、“仙人草”や“鉄線”“風車”などの近縁種と並んで古くから愛好家をもつグループだ。

“ハンショウヅル”の名は、火の見櫓に吊され、火事を報せる鐘である“半鐘”にその花(花弁ではなく萼片)の形を見たててつけられている。

他の植物に絡まりながら成長する蔓植物であるうえに、長辺が2cmほどの小さな花を下向きに着けるので見つけにくい植物だが、それだけにその存在に気づいたときには頬がゆるむ。

20090607 ひっそりと咲くハンショウヅル(友好の森)
NIKON D300 105MICRO   

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2009年6月14日 (日)

袋角

20090614sikanouhkuroduno

近すぎてストロボでテカってしまっているが、面白いものが写った。

頭部から袋角(ふくろづの)を生やしたニホンジカのオスだ。

ニホンジカは、秋に恋の季節を迎え、“カィーヨ”とか“フィーヨ”とか聞こえる声でオスがメスを誘う。
この声は“ラッティング・コール”とよばれている。
その時に、充分に成長したオスは、三叉四尖(さんさよんせん)の角を誇らしげに振るいながら恋の相手を求めるのだ。

立派な角は、時にはオスどうしの争いの時にも使われるが、主な用途はメスに見せつける装飾具なのだ。
その証拠に、立派な角が完成するのは秋の発情期の直前なのである。

雪解けの頃に前年の角を落とすと、すぐに“袋角”の形成が始まる。
袋角というだけあって、ビロードのような毛に覆われた革袋に包まれている。
内部には、血管も汗腺も通り、血流によってカルシウムが運ばれ、沈着し、次第に大きく堅く育っていく。
9月頃になると、袋の中には立派な角の準備が整い、立木などに擦りつけながら袋を刮ぎ落としていく。
僅か4~5ヶ月の間に、長さにして40~50cmもの角を成長させるのだから驚きだ。

手元の記録では、10月12日にすっかり角のできあがった個体を確認している。

20090529 袋角を生やしたニホンジカ(友好の森)
自動撮影装置

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2009年6月13日 (土)

『冬虫夏草ハンドブック』

20090613toutyuukasouhanndobukku 盛口満・安田守:『冬虫夏草ハンドブック 』、文一総合出版、(2009年初版)

文一からマニアックな一冊が出版された。

冬虫夏草(とうちゅうかそう)とは、漢方薬などで知る人ぞ知るところだが、虫に取り付いたキノコの菌(子嚢菌)が虫を殺し、その後ににょきにょきとキノコを生やすというもので、古い時代の中国では、動物から植物へ変身する不思議な生物であると考えられていたようだ。

わが国では、300種類を超す冬虫夏草の存在が確認されているが、本書ではそのうちの68種類が紹介されている。

冬虫夏草は、どこにでも存在する生物であるのに、その存在を知っていなければ野外で発見することはまず不可能だ。
森林(やま)には、こんな不思議な仲間もいることを認識したい。

安田氏の手による美しい写真と、盛口氏の軽妙な文章とイラストが、冬虫夏草の世界へと読者を案内してくれる。

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2009年6月11日 (木)

梅雨入り

20090611taue

関東地方は昨日、そして今日は北海道を除く全国が梅雨に入った。

森林(やま)の木々も、梅雨入りとともに一気に成長をはやめ、淡緑色の若葉もしっかりと陽の光を受け止めるために濃緑色に装いをかえる。

それと同時に、目に見えない微細な生物たちもその活動を活性化させる。
前年の秋から冬にかけて地表に積もった落ち葉の分解が加速され、森林(やま)の土壌を栄養豊かなものへと変化させる。

そこに降った雨が、土の中の栄養を溶かし込みながら、ゆっくりじんわりと滲み出て田を潤す。

田んぼに水道水を注いでも、まともな稲作は望めない。
森林(やま)があり、そこに棲む様々な生物の営みがあることで初めて米づくりが成就する。

古人達は、山の神が田に降りてきて田の神になると考えたのだそうだ。

20090607 春の風に揺れる早苗(川場湯原地区)
NIKON D90 70-300

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2009年6月10日 (水)

早苗蜻蛉

20090610sanae

田んぼの脇を流れる小川のほとりを散歩していると、一匹のトンボが目にとまった。
サナエトンボの一種だとは思うが、私には種名までは判別できない。
トンボの仲間のなかでも、イトトンボと並んで同定が困難なのがサナエの仲間らしい。

この“トンボ”という呼称の由来については、“翔ぶ棒”だとか“翔ぶ穂”だとか諸説あるようだが、“田んぼ”と同義だという説が説得力がありそうだ。
そもそも、“田んぼ”とは、湿地を意味する“だんぶり”“だんぶ”“どんぶ”などという言葉からできたようで、“ドブ”とも同義であるようだ。

わが国が稲作文化を取り入れ、農民達の弛まぬ努力の成果として津々浦々までに田んぼがひろがり、稲作と共に数を増やしたこの虫を“トンボ”と呼んだというのは、とても説得力がある。

また、トンボには“蜻蛉”の字が充てられている。
“青”という字にも、“令”という字にも、“美しい”という意味があるそうだ。
それぞれ、虫偏に“青”と“令”。
美しさに美しさを重ね、すべてが美しい虫という意味が込められているのだという。

話は前後するが、一方の“サナエ”とはいうまでもなく“早苗”を指す。
“早苗”とは稲の苗のことなので、“サナエトンボ”は“田植えの頃に姿を見せる蜻蛉”ということになる。

田植えが終わり、一息つくと、森林(やま)の下刈りの時期となる。
しばらくぶりに使う大鎌の手入れを始めたい。

20090607 サナエトンボ(生品地区)
NIKON D300 105MICRO

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2009年6月 9日 (火)

友好の森のカモシカ

20090609kamosika

友好の森に設置してある自動撮影装置にニホンカモシカが記録された。
昨年の8月に設置してから初めてのことだ。

このブログでもお知らせしてきたように、友好の森の中でも何度も視認しているのだが、自動撮影装置には記録されなかったし、カモシカの痕跡すら近くでは見受けられなかったので、何らかの理由でカモシカの行動範囲が決定しているのかと思い始めたところだった。

20090609kamosikatamehunn ところが、6月7日に自動撮影装置のデータ回収にむかうと、設置場所のすぐ近くに溜糞があるではないか。
ノウサギのものとは明らかに異なるし、ニホンジカは糞を溜めることはしないので、カモシカのものだとすぐに分かった。
しかも、糞塊の中に古いものが混じっておらず、一両日中のもののようだった。

カモシカもこの獣道を使い始めたのかと、期待してデータを回収し、確認したところ写真の個体が記録されていたのだった。

カモシカは牛の仲間なので、ニホンジカのように角が毎年生え替わることはなく、角も一生涯伸び続ける。
この角は、季節によって成長に差があることから、一年に一段ずつ“角輪(かくりん)”と呼ばれる段々が刻まれてゆくのだが、メスの場合は妊娠・出産というイベントをこなすと角の成長が阻害され、角輪の幅が狭くなるという特徴をもつ。
つまり、角輪の幅がほぼ均一ならばオスで、不均等ならばメスであると見当をつけることができるのだ。

写真を拡大してみると、この個体の角輪は不均等な成長をしている。
どうやらメスの成獣のようだ。

もう少し継続して記録を続けていけば、友好の森のカモシカの動態が見えてくるだろう。

20090607 友好の森のカモシカ
自動撮影装置

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2009年6月 7日 (日)

田んぼのある風景

20090607dennenn

今日、6月7日の川場村は、梅雨前の晴天がひろがっていた。

遠堂の岩観音から見下ろすと、すっかり田植えのすんだ田んぼに早苗が揺れて気持ちがいい。

時間を気にせず、のんびりと楽しみたい景色に出逢うことができた。

20090607田園風景(谷地地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2009年6月 6日 (土)

☆2周年!☆

20090606tigoyuri

なんと!
このブログを開設してから、まる2年間が経過しました!

この間の総アクセス数は、約64000件!
こんなにも沢山の方にアクセスしていただいたことに、ただただ感謝です。
本当にありがとうございます。

記事数も509件になりました。
ずいぶんと書いたものだと、わがことながら思います。
けれど、川場の森林(やま)づくりには、まだまだ面白いことが目白押しです。

これからも“川場の森林の愉しみ方”をお伝えしていきたいと思いますので、どうぞお付き合い下さい!

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2009年6月 4日 (木)

『リンゴが教えてくれたこと』

20090604ringogaosietekuretakoto_2 木村秋則:『リンゴが教えてくれたこと 』、日経プレミアシリーズ、(2009年初版)

“リンゴは薬で作る”といわれるなか、著者が無施肥、無農薬でリンゴ生産に挑戦し、見事に成功した顛末は『奇跡のリンゴ』に紹介され、多くの生産者と消費者を瞠目させた。

本書は、木村さんが新たに書き下ろした半生記である。

氏が無農薬でのリンゴ生産を志してから11年目にして初めて、リンゴが実をつけた。その間、9年間もの無収入期間さえも経験した。

「自然を見る、それも長く観察するということは、百姓仕事にとって一番大事なことです。」
「今の農業は観察する力を失っています。」
氏が、“自然栽培”とよぶ生産方法(理念)は、徹底して自然を見つめることに要諦があるという。

「若い人は農業が嫌いではありません。これまでの農業に魅力を感じなかっただけです」と断言する氏の言葉はとても重く、様々なことを考えるきっかけをくれたように思う。

農業に、林業に、農村に、山村に、森林(やま)に関心を持つ人々に一読を勧めたい一冊だ。

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2009年6月 3日 (水)

後山の動物事情

20090603kamosika1

後山に設置してある6台の自動撮影装置は、雨の日も、風の日も休むことなく記録を続けてくれている。

この記録から見えてきたのだが、5月中旬以降、後山の動物たちの様子がちょっとおかしい。
これまで頻繁に撮影されてきたキツネやテン、タヌキ、ノウサギなどが全くといっていいほど写らなくなったのだ。
一回だけハクビシンが記録されたが、コンスタントに記録され続けているのはカモシカだけである。

どういうことなのだろうか。
冬期間は後山で過ごし、その後は生息域を他に移すのだろうか。
それとも他に何か理由があるのだろうか。

イノシシとニホンジカが後山にいないことに加えて、もう一つ明らかにしたいことが見えてきた。

上の写真は、疾走するカモシカの赤ちゃん。
写りの良くない写真だが、落ち葉や枯れ枝などを蹴散らしながら駆けている。

下は、静かに立つ成獣。
なかなかに画になる個体だ。

20090603kamosika2

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