ギンリョウソウ
前回のショウキランに続いて、これも菌根菌と共生することで栄養を得ている腐生植物だ。
イチヤクソウ科の多年草で“銀龍草(ギンリョウソウ)”という名が付けられている。
葉緑素をもたない蝋細工のような姿形から英語圏では“Wax-flower(ワックス・フラワー)”と呼ばれている。
中国語圏では“水晶蘭”と美しい呼び方だ。
わが国では、別名“幽霊茸”とも呼ばれるが、キノコの一種だと思われていたのだろう。
山中の陽が射さないところで、落ち葉が堆積し腐植化しているような環境に育つ。
こんなに変わった姿をしていても、れっきとした虫に花粉を運ばせる虫媒花である。
人間の目からは純白に見えても、虫の目でみると“虫心”を掴んで放さない模様をもつ花が多いのだが、本種は虫からみても純白なのだそうだ。
太陽光線を全草で反射することで存在をアピールし虫を誘う。
菌-植物-昆虫のコンビネーションのなかに生きている植物だといえる。
目には見えないコンビネーションを知ることも森林(やま)づくりにおいては必要なことだ。
20090627 ギンリョウソウ(後山)
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コメント
日向さん!
こんにちは!
前に紹介したシュンランなんかも、地上に葉を出すまでの数年間を腐生殖物のように過ごすんですよ!
お日様を浴びて春を謳歌する花も素敵ですが、日陰にひっそりと咲く花もまた魅力的なのです!
投稿: くま | 2009年7月 3日 (金) 11時37分
くまさん、こんにちは。
なんとも妖しい花ですね(そう見えるのは私だけ??)。
お日様の光をサンサンと浴び、きらきらと輝きながら咲く花が大好きなんですが、
影のある花も、無性に心を奪われます。
ついに、腐生植物というジャンルに突入ですね。
これからも楽しみにしています。
投稿: 日向 | 2009年7月 3日 (金) 09時10分