アナグマ
川場村には多様な哺乳動物が棲息しているが、季節によって活動の活発さや大胆さが異なるように思われる。
各所に仕掛けてある自動撮影装置に、ある動物が写り始めると、その後しばらくは実に頻繁にその動物が記録され続けるのだ。
8月の中旬以降は、アナグマの記録が増えている。
ところで、アナグマはイタチ科に分類されている。
イタチといえば、細長い躰に短い手脚、すばしっこい動きに上等の毛皮が思い浮かぶ。
アナグマは、ずんぐりむっくりの体格のせいだろう、タヌキと同じイヌ科の動物だと思われがちなのだがイタチの仲間なのである。
イタチの仲間は実に多彩で、北の海に棲む人気者のラッコや、川の魚採り名人のカワウソ、美しい毛皮をまとった名ハンターのテン、そしてこのアナグマなど、非常にバラエティーに富んだ顔ぶれがそろっている。
住処や食べ物、寒暖の差等々が、同種の生物にバリエーションを与えることを生物学では“適応放散”と呼んでいる。
逆に、同じ環境に棲む別種の生物が、互いに似通ってくることを“収斂進化(しゅうれんしんか)”という。
今現在、我々と同じ時間を過ごす生き物たちも進化の途上にあるのだ。
そんな壮大なことに思いを馳せるのも森林(やま)づくりの醍醐味だ。
20090823 アナグマ(後山)
自動撮影装置
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コメント
シルクさん
う~ん。
味までは難しいように思います。
ただし、噛みごたえとか、質感とかは似てくるかもしれませんね!
投稿: くま | 2009年9月14日 (月) 15時06分
仕事をしながら悩んでしまいました。タラバガニの形は「収斂進化」かもしれません。でも、あの味は?? 味はまさしくカニの味・・・ 味も「収斂進化」が起こるのでしょうか?
投稿: シルク | 2009年9月14日 (月) 14時40分
シルクさん
タラバガニの形状も、おそらく“収斂進化”で説明できるのでしょうね。
自然界は本当に不思議です。
ドングリ一粒に込められている遺伝情報は、宇宙ロケットを飛ばすのに必要な情報よりも多いのだそうですよ!
投稿: くま | 2009年9月14日 (月) 12時44分
「収斂進化」。。。ヤドカリの仲間だけどカニの形をしている、「タラバガニ」もこの収斂進化なのでしょうか? 自然界は不思議がいっぱいで面白いですね。
投稿: シルク | 2009年9月14日 (月) 08時58分