小さなチャレンジャー
写真の状態で一円玉ほどの小さな蝶。
薄褐色と白の縞模様をさざめく波に見たてた名が付けられている。
シジミチョウの仲間の“ウラナミシジミ”だ。
後翅の端にある二つの黒点と糸のような尾状突起は、それぞれ目玉と触角を模しているといわれており、敵の目を大切な部分から逸らす役割を持っていると考えられている。
この蝶は、小さいけれど飽くなきチャレンジャーである。
成虫の発生を年に何度も繰り返しながら日本列島を北上し続けるのだ。
しかし、もともと南方系の蝶なので、暖かい地方でないと越冬ができずに死に絶えてしまう。
成虫は、北海道の南部でも観察記録があるようだが、関西地方あたりでさえも越冬は難しいと言われている。
北へ北へと分布域を広げる戦略を採っているのだろうが、世代を繋ぐことができないような地域への進出を繰り返すのは何故なのだろうか。
暖地化や突然変異個体の出現を期待して、挑戦を続けているのだろうか。
川場村では、晩夏から秋にかけて稀に見られる蝶である。
20090911 ウラナミシジミ(門前地区)
NIKON D300 105MICRO
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コメント
こにタンさん!
こんばんは!
言われてみれば不思議なことですね!!
はじめは、哀しい蝶だと思ったのですが、段々と勇敢な冒険者に見えてきました。
投稿: くま | 2009年9月11日 (金) 23時05分
ウスバキトンボと同じような生態なんですね。
子孫を残せないのに北を目指す生き物。
ロマンチックな感じがして、惹かれます。
北へ向かう“気持ち”の強い個体は自分の遺伝子を残すことができないのに、
この北へ向かう性質が脈々と受け継がれているのは
不思議だなと思うのですが・・・
投稿: こにタン | 2009年9月11日 (金) 22時48分