●可視化?見える化?
森林の広がりは人間の視野に入りきるものではない。
どんなに高い山の上に立っても、一人の人間の視野に収まらない場合が多い。
ましてや、その森林の来し方は、見ることができるものではない。
だからこそ、森林(やま)づくりには、想像力が大切なのだ。
最近、行政機関を中心に、“可視化”とか“見える化”などという言葉が、あたかも絶対の善であるがごとく振りかざされることが多くなった。
なにも、森林(やま)だけの話ではない。
医療の現場においても、工場製品の生産の現場においても、まかり通っていることが私には不思議でならない。
子どもの頃からの勉強嫌い故だろうか。
そんなに色々なことを勉強などしたくない。
自分自身には判断の材料も、手段もなくても、「あの人が言うのだから間違いない」という安心感のなかで生きていきたい。
それなりに経験できたことをつなぎあわせて、未知のことを想像し、判断を下すおおらかさで生きていきたい。
何もかも、見えることなど私は望まない。
色々な人がいて、それぞれに見えることがあり、それらを紡ぎ併せることで良いと思う。
森林(やま)をつくっていく上で大切なのは“信頼”である。
“可視化”とか“見える化”とか、“信頼”を放棄した考え方であるように思えてならない。
“信頼”の源泉は想像力だと思う。
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