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2009年10月の24件の記事

2009年10月30日 (金)

●可視化?見える化?

森林の広がりは人間の視野に入りきるものではない。
どんなに高い山の上に立っても、一人の人間の視野に収まらない場合が多い。
ましてや、その森林の来し方は、見ることができるものではない。

だからこそ、森林(やま)づくりには、想像力が大切なのだ。

最近、行政機関を中心に、“可視化”とか“見える化”などという言葉が、あたかも絶対の善であるがごとく振りかざされることが多くなった。

なにも、森林(やま)だけの話ではない。

医療の現場においても、工場製品の生産の現場においても、まかり通っていることが私には不思議でならない。

子どもの頃からの勉強嫌い故だろうか。
そんなに色々なことを勉強などしたくない。

自分自身には判断の材料も、手段もなくても、「あの人が言うのだから間違いない」という安心感のなかで生きていきたい。

それなりに経験できたことをつなぎあわせて、未知のことを想像し、判断を下すおおらかさで生きていきたい。

何もかも、見えることなど私は望まない。
色々な人がいて、それぞれに見えることがあり、それらを紡ぎ併せることで良いと思う。

森林(やま)をつくっていく上で大切なのは“信頼”である。
“可視化”とか“見える化”とか、“信頼”を放棄した考え方であるように思えてならない。

“信頼”の源泉は想像力だと思う。

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2009年10月28日 (水)

ヒロイド原の動物たち

20091028hiroidonodoubutu

川場村の中野地区には、私たちの森林(やま)づくりの拠点となっている“友好の森”という森林がある。
この友好の森に仕掛けた自動撮影装置(センサーカメラ)には、連日様々な動物たちが写りに来てくれる。

左上の写真は、もうすぐ冬眠の時期を迎えるアナグマ。
川場村の人々は“ムジナ”とよんでいる。
アナグマは、川場村に棲む動物たちのうち、冬眠をするグループの中では最も早く冬眠に入る。

右上は、初めて記録されたハイタカ(たぶん)。
クロツグミやカケス、キジバト、ヤマドリ、キジなどは、これまでもときどき記録されたが、猛禽類が写ったのはこれが初めてだ。
このカメラは背の低い広葉樹林の中に設置してあるので驚いている。

右下は、立派な角をほこる雄のニホンジカ。
この季節は彼らの恋のシーズンなので、雄鹿が雌を誘って鳴く“ふぃーよ ふぃーよ”というラブコールの声が夜の森林(やま)にこだましているはずだ。
このラブコールを生物学では“ラット・コール”と呼んでいる。

そして左下。
バカを沢山付けた“くま”の脚。
植物の繁殖に少しだけ貢献中。

20091011~20091017 ヒロイド原の動物たち
自動撮影装置

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2009年10月27日 (火)

愛帽

20091027metto1森林(やま)づくりは危険な作業である。

足場の悪い傾斜地で、刃物を持って、樹木という重量物を扱う。

転倒もあれば、枯れ枝や伐倒木等の落下もある。
他人が使う刃物が身体にあたることだってある。

森林(やま)づくりは、楽しいことばかりではない。

だからこそ、身の安全を確保するための装備がとても大切だ。

作業に適した服装や靴、手袋、水や救急用品などの携行品、それにヘルメットは必携なのだ。

けっして高価なものではない。
2000円程度の出費が身を護ってくれる。

本来の用途以外にも活躍する。20091017metto2_2
雨具として秀逸なのだ。
合羽のフードのように視界を遮ることもなく、防水も完璧で、雨中の利用も快適である。

私のヘルメットには、後頭部に初心者マークのシールが貼ってある。
事故は慣れた頃に起こるものだ。
初心忘るべからずである。

20091027 愛用のヘルメット
RICOH GR DIGITALⅡ

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黄葉のしくみ

20091027hitotubakaede

先日は、森林(やま)の葉が赤く染まる紅葉のしくみを解説したが、今回は、黄色く染まる“黄葉”のしくみのお話し。

緑の木の葉には、クロロフィルという緑色の色素とカロチノイドという黄色の色素が含まれており、葉の生命活動が盛んなときにはクロロフィルがカロチノイドの色を隠しているので、緑色に見える。
葉と枝の間に“離層”が形成されると、水分や栄養分の行き来がなくなり、クロロフィルがしだいに分解されていくのは“紅葉”の場合と同じなのだが、このときに赤色の色素であるアントシアニンが形成されないと、カロチノイドの色が目立つようになり、黄色く染まるのである。

写真のヒトツバカエデは、黄葉する樹木の代表だ。
一般的なカエデの仲間のように、葉に切れ込みが入らないためカエデの仲間だとはなかなか思えないが、れっきとしたカエデである。

ちなみに“カエデ”とは、その葉の形が蛙の手に似ることから“蛙手”と名付けられ、それが時代とともに“カエデ”と変化したものらしい。
その伝でいくと、このヒトツバカエデやメグスリノキなどは“カエデ”とは呼べないのかもしれないが、生物学上は“カエデ科”に分類されている。

紅葉の中に黄葉が混ざることで、森林(やま)の彩りは一層美しさを増す。
太郎のイチョウは色づきはじめただろうか。

20091017 ヒトツバカエデの黄葉(川場谷)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月25日 (日)

艶めく秋のしくみ

20091025kouyou

一週間ほど前に、標高1,000mほどの川場谷ダムのほとりではコハウチワカエデが色づきはじめていた。

森林(やま)の木々は、厳しい冬を乗り切るための工夫を様々に凝らしている。
紅葉もその一つだ。

秋になると人々を楽しませてくれる植物は、日中と夜間の寒暖の差が大きくなると、自らの成長を止めるために葉を切り離す準備を始める。
葉と枝との間にコルク質の“離層”とよばれる組織をつくり、水分の補給を断絶するのだ。
植物は、水にとけ込んだ養分を利用しているので、水分が止まるということは同時に養分の補給も止まることを意味する。

水分と養分の供給を絶たれた葉は、間もなく落葉の時期を迎えるのだが、その僅かな間に見せてくれるのが秋の艶やかな色づきなのである。

葉を朱く染める紅葉は、光合成によって生成された糖分が離層の形成によって植物体に送られなくなり、そうして蓄積された糖分がアントシアニンという色素に変成することで起こる。
このアントシアニンの生成には、日中には20℃を超え、夜間には8℃を下回る寒暖の差、大気が澄み、葉が充分な陽光を受けられること、葉が乾燥しない湿度、といった条件が重なる必要がある。

一枚一枚の小さな葉ごとに営まれるこうした働きによって、森林(やま)は深紅に染め上げられる。

20091017 色づきはじめたコハウチワカエデ(川場谷)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月24日 (土)

イモムシの脚の数

20091024assiharoppoenn

キアゲハの終令(5令)幼虫。
ちょうど花の盛りのヤマゼリで見つけた。

キアゲハは蛹で越冬するタイプなので、そろそろ幼虫にお目にかかるのも今年はおしまいだろう。

指先でつんつんすると頭から蜜柑色の角をにゅっと出して威嚇をする。
“臭角(しゅうかく)”あるいは“肉角(にくかく)”と呼ばれる器官なのだが、これが結構強烈な臭いを発する。
柑橘類の臭いを濃縮したような臭いである。
アゲハチョウの仲間の多くがサンショウやカラタチなどのミカン科の植物を食草としているので、食草に由来する臭いであるかのように思われるが、このキアゲハの幼虫はセリ科の植物を食草とするのに同じような臭いを発する。
どのようにしてこの臭いのもとをつくっているのだろうか。

ところで、キアゲハの幼虫をふくめ、イモムシは脚が沢山あるとお思いの方が多いのではないだろうか。

基本的に昆虫は脚が3対、6本なのだ。
卵→幼虫→蛹→成虫と、そのたびに同じ生き物とは思えないほど姿を変える“完全変態”型の生物ではあるが、基本形は変化しない。
つまり幼虫(イモムシ)も、脚は6本である。

写真では、草の茎からはなして空中に遊ばせている先の尖ったものだけが脚(歩脚)で、茎をしっかりと掴んでいる部分はお腹の突起なのだ。
もっとも、生物学でも、脚同様の器官として“疣足(イボあし)”と呼んでいるので、“脚が沢山”という表現もあながち間違いではないのだが、厳密には脚ではない。

足早に車の窓から眺めるだけでなく、じっくり、のんびりと自然を見つめてみるとそれまで気が付かなかったことが見えてくるものだ。

20091017 キアゲハの幼虫(生品地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2009年10月21日 (水)

“ふるさとかわば写真展”開催中

20091021iidayukotenn

昨日、飯田裕子さんの写真展にお邪魔してきました。
写真展の告知は少し前にしましたが、川場村を20年間にわたって撮り続けてくださった成果が展示されています。そのときのお知らせは→こちらから

飯田裕子さんは、このブログから生まれた新書“森林(やま)づくりの四季”のなかの季節の扉のページにも素敵な写真をご恵贈くださった方です。

今回は、長い間に撮りためた作品の中から140点を厳選しての公開です。

世田谷美術館の区民ギャラリーが会場ですが、白を基調としたスッキリとした空間に飯田さんが切り取った川場村の風景がひろがっています。

期間は、今月25日まで。
砧公園の散策も楽しめます。
是非お出かけください。

20091020 ふるさとかわば写真展(世田谷美術館)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2009年10月19日 (月)

オオクチブトカメムシ

20091019ookutibutokamemusi

ノハラアザミが群生している草原で、大型のカメムシが一匹の毛虫に取り付いて体液を吸っていた。

両肩から突き出た角のような突起、蝶や蛾の仲間の幼虫の体液を吸う口吻、“オオクチブトカメムシ”である。
北海道から九州までの全国に分布するが、個体数は多くなく、あまり目にすることのないカメムシだ。

詳細な生態は未解明なようだが、冬の厳しい地方では卵で越冬するといわれている。
腹部がパンパンに膨れあがっているのはお腹いっぱいに卵を抱えているからだろう。

一見恐ろしげにみえる昆虫だが、こうした昆虫のおかげで森林(やま)は丸裸にならずにすんでいる。

近年、農業の分野でも、こうした昆虫の存在に注目が集まってきており、農薬の使用量を低減するために天敵性昆虫(他の虫を補食する昆虫)を利用しようという試みが徐々に活発になってきている。

生産者の健康のため、生産コストを抑えるため、そして消費者の食の安全を守るためにも大切な試みである。

20091017 蛾の幼虫を補食するオオクチブトカメムシ(中野地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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実りの秋

20091018donnguri

川場谷の入口辺りまで足を延ばしてきた。
標高970mほどの、桐の木平キャンプ場の入口辺りまで紅葉が降りてきていた。

渓流沿いの小道を歩きながら、ふと足下に目をやると、辺り一面にミズナラのドングリが落ちているのに気が付いた。
今月の7日から8日にかけて日本を縦断した台風18号の影響もあるのだろうが、今年は森林(やま)の木の実は豊作であるようだ。
例年以上に多くのドングリが散らばっていた。

片方の掌で一度に握れるだけのドングリを集めてみると13粒と殻斗が2つ。
殻斗のうち1つには未成熟のドングリも入っていた。

森林に(やま)に木の実が豊富な秋は、野生動物が里へ降りてくることが少ないように言われることも多いが、森林(やま)の実りと野生動物の里への出没の因果関係については、未だはっきりしたことは分かっていないようだ。
しかし、森林(やま)の動物が飢えずに冬を越す可能性が高いことだけは確かだろう。

クマ、イノシシ、サル、リスなどをはじめとして、多くの動物たちが森林(やま)の実りを切望している。
そして、彼らの食欲を満たした残りは、次の世代の森林(やま)をつくっていく。

20091017 ミズナラのドングリ(川場谷)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月16日 (金)

ひこばえ

20091016kousinn_2ヒロイド原の一画に“カブトの森”と呼んでいる森林(やま)がある。

17年ほど前に、地上部の長さが50cmほどのコナラの苗を運び、スコップと唐鍬で一本一本植え付けた。
その後も、成長の段階に併せて下刈りをしたり、間伐をしたりしながら今日を迎えている。

成長の早いもので、太さは20cmあまり、高さは6mほどになっている。

林内には、間伐の際に得られた枝葉や樹幹を数カ所に積み上げ、カブトムシを始めとする様々な小動物の繁殖場所としてきた。

その甲斐あって、数年前からカブトムシやクワガタが増え、そうした虫を狙って野鳥や哺乳動物も訪れる楽しい森林(やま)に育ってきた。

一週間ほど前にカブトの森を訪れると、切り株から新しい芽が萌えだしているのが目に入った。
今年の夏に、川場村と世田谷区の小学生たちが行った間伐の名残の切り株である。

一般に、ナラの仲間は地際から幹を伐採しても、切り株から新芽を出す力が強い。
こうして出た新芽を“蘖(ひこばえ)”という。
林学の専門用語では“萌芽(ぼうが)”と呼ばれている。

蘖は、種から芽生えた新芽(実生)に較べると成長が随分と早いのが特徴だ。
幹を伐採される以前に大地に張った根の力で成長するからである。

けれども、伐採を夏に行った場合は、切り株に雑菌や虫などがとりつき、根株自体を弱らせてしまい、蘖を生やさないことが多い。
そのため、里山の管理を行う場合は冬に伐採を行うのが一般的なのである。

写真は、夏季の伐採にもかかわらず、生命力たくましく蘖を生やした株なのだ。

これから迎える冬を乗り切れば、春には旺盛な成長をはじめることだろう。

20091011 コナラの蘖(ヒロイド原カブトの森)
NIKON D300 70-300

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ノコンギクを訪れる虫たち

20091015nokonngikunikurumusi

秋の友好の森を歩いていると、日当たりの良い林縁に数種類のキクの花が咲いているのが目に入る。
なかでも、写真のノコンギクは虫たちに人気の花で、実に様々な虫たちが訪れる。

左上は、アシグロツユムシ。葉や花弁、花粉などを食べる目的でやってくる。
右上は、コアオハナムグリ。これは花粉が目当て。
左下は、ヤマトシジミ。シジミチョウの代表選手で、蜜を求めて訪花する。
右下は、コガネオオハリバエ。このハエの幼虫は、エビガラスズメという蛾の幼虫に寄生するのだが、訪花の目的は不明。

このように、ある一種の花(植物)でも、多様な虫たちが多様に利用していることが分かるだろう。
もちろん、これらの虫たちもノコンギクに限らず、様々な植物を利用して生きている。

植物と虫たちの、多様で不思議な関係を知ることも森林(やま)づくりには必要なのだ。

20091010 ノコンギクを訪れた虫たち(友好の森)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月15日 (木)

水辺を利用する動物たち

20091015nihonnjika

子どもたちと一緒にヒロイド原に掘った池は、当初の目論見どおり様々な動物たちが利用をはじめた。

今年の9月7日に池のほとりに仕掛けた自動撮影装置には、これまでに、アナグマ、ハクビシン、タヌキ、ニホンカモシカ、ヒト、ホンドキツネ、ニホンジカが記録された。
10月11日までのほぼ一ヶ月間の有効撮影カット数は24カット。
アナグマ:1、ハクビシン:1、タヌキ:5、ニホンカモシカ:7、ヒト:4、ホンドキツネ:1、ニホンジカ:4、という内訳だ。

たった一月の間に、コウモリ類とネズミ類を除けば、川場村に生息する野生動物のうち、殆どの種が記録されたことになる。
どの種が直接に水辺を利用し、どの種が単に通過経路としたかなどはもう少し詳細な調査を行う必要があるが、ともかく多くの動物にとって有用な環境となったようだ。

写真は、袋角がすっかりとれた立派なオスジカ。
今年は、9月22日に袋角がとれた鹿が初認されている。

20091011 ニホンジカの雄(ヒロイド原)
自動撮影装置

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2009年10月14日 (水)

安全作業リーダー講習会

20091014annzennsagyou

養成教室と並行開催で“安全作業リーダー”の認定講習会を実施した。

友好の森を拠点に進めている私たちの森林(やま)づくり活動では、数名に一名はこの資格の保持者がいなければ道具を使った作業を実施してはならない約束をしている。

言うまでもなく、森林(やま)づくりが危険な活動であるからだ。
森林(やま)づくり活動は、傾斜地で刃物を使い、樹木という重量物に対峙する活動である。

服装から、救急用品の携帯。
安全の確保を第一においた作業の手順。
正しい道具の取り扱い。
仲間への声かけ。
必要なことは、まだまだ沢山ある。

森林(やま)づくり活動の中でも、最も大きな危険を伴う伐木作業を安全に実施できることを審査され、合格した方が晴れて“安全作業リーダー”となる。

この制度を設けてから、今年で4年目になる。
資格の有効期限は3年間なので、今回は初の更新講習も同時開催となった。

20091010 安全作業リーダー講習会
NIKON D300 50

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除間伐

20091014youseikyousitu

2009年度第二回目の養成教室。
“除間伐”をテーマに10月10日から11日の一泊二日の行程で開催された。

“除間伐は”森林(やま)の管理に必要な重要な作業だ。

建築材料の生産を目的とするスギやヒノキの人工林の場合、1haあたりに3000本ほどの苗木を植栽するのが一般だが、苗木が生長をはじめると、すぐに辺りは茂った枝葉で覆われてしまう。

そうなると苗木は太陽の光を充分に受けることができなくなるので、陽光を求めて真っ直ぐに上方伸長をはじめる。
こうした樹木の生理を利用して、人間の利用に供しやすい通直な樹木を育てるのがわが国の林業が培ってきた智恵なのだ。

けれども、それだけでは太い材を得ることはできないので、適宜に間引きを行って林内に光を導き入れ、樹木の肥大成長を促す作業が必要となる。
そのための作業が“除間伐”である。

苗木の植栽から収穫までには半世紀もの歳月を必要とする。
先人達はどのようにしてこうした智恵を獲得してきたのだろうか。
想像を絶する文化である。

こうした文化を伝えていくことも私達の森林(やま)づくりの役割なのだと思う。

※昨年度の様子は→こちらから

写真左上:20091010 ロープを使っての伐倒作業
NIKON D300 50
その他の写真:20091011 コナラ林の間伐作業
NIKON D300 70-300

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2009年10月13日 (火)

ばか

20091013baka002_2この季節、野山を歩き回った後で、ズボンの裾や靴ヒモなどに目をやると、草の種子がびっしりと着いている。

その数も、種類も実に多い。
そして、種子が服などに着く仕組みも様々で、北川尚史氏が監修した『ひっつきむしの図鑑 』(トンボ出版)では、①堅いフック型、②柔らかいフック型、③逆さトゲ型、④イカリ状のトゲ型、⑤ヘアピン型、⑥粘液型の6種類に分類している。

これらは、もちろん動物の毛に付着して自生域を拡げようとする植物の繁殖戦略なのだが、進化の過程で如何にしてこのような仕組みをもつに至ったのかとても不思議なことである。

こうした植物の仕組みに興味をもった人は海外にも居たようで、ジョルジュ・デ・マエストラルというスイス人は、犬の毛や服に付着した野生のゴボウの実を観察し“面ファスナー(通称:マジックテープ)”を開発したのだという。

良くも悪くも生活に密着したものには多彩な名称が付けられるものである。
こうした植物の種子にも地域ごとに様々な呼び名がある。

ばか(北海道、東北、北陸、関東地方)、ひっつきむし(東北、関東、東海、近畿、四国、中国地方)、どろぼう(東北、北陸、関東、東海、近畿地方)、等々が代表だが、その他にも実に様々ある。

わが川場村では、もっぱら“ばか”と呼ばれる。
野原で遊んだ子どもが帰宅すると「ばか付けて帰ってきた」と叱られた。

下の写真にも、様々な“ばか”が付着している。
ナポレオンの帽子のような形の大きな種はヌスビトハギ。
弾けたクラッカーのような形のものはキンミズヒキ。
細く長い毛を付けているのはチカラシバやチヂミザサ。
クリップのような形はヒナタノイノコズチ。

それぞれに付着するための工夫も様々で面白い。

そういえば、「ばかだなあ~」ってよく言われたなあ~

20091013baka001

20091011 様々な“ばか”
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月12日 (月)

ナガメ

20091012nagame001

後山の山裾を歩いていると、黒とオレンジに塗り分けられた鮮やかなデザインのカメムシが目にとまった。
まるで熱帯地方の昆虫のような配色だ。

このカメムシの名は“ナガメ”という。
漢字で書くと“菜亀”。
読んで字のごとく、「菜の花につく亀虫(カメムシ)」という意味である。
名前のとおり、野生種ではイヌガラシやタネツケバナ、栽培品種ではダイコン、キャベツ、ナタネなどの、いずれもアブラナ科の植物で吸汁する。

ところが、この日はどうした訳か野生のミツバの蕾にとまっていた。
セリ科の植物であるミツバにどうしてナガメがいたのだろうか。
秋の訪れとともに、アブラナ科の植物が減り、仕方なくミツバにやって来たのか。
それとも、何か別の理由があったのだろうか。

本当のところはナガメに訊ねるしかない。

20091012nagame002ところで、このナガメ、向きを変えてみると何かに見えてこないだろうか。
以前から思っていたのだが、筋骨隆々とした巨漢が通せん坊をしているように見えるのは私だけだろうか。
まるで「俺を倒してから行け」と行く手を阻んでいるように見えて仕方がない。

20091011 ナガメ(生品地区)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月11日 (日)

ゲンノショウコの種子散布

20091011gennnoshoukoゲンノショウコはフウロソウ科の多年草。
わが国では、北海道から九州に至る全国の山野で見ることができる。

開花期は夏から秋遅くまでだが、秋にはいると種子を実らせる。

植物は、その自生域を拡大するために、種子や鞘、果実などに様々な工夫を凝らしている。

鳥や動物などに種子を運ばせるもの(動物散布)、雨滴や水流に運ばせるもの(水散布)、地球の重力を利用するもの(重力散布)など、実に多彩で巧妙な繁栄の戦略をもっている。

その中でも興味深いのが、本種をはじめとするフウロソウ科や、ツリフネソウ科、カタバミ科などの植物が編み出した“自動散布”とか“機械的散布”とか呼ばれる方法だ。

この“自動散布”という方法は、鞘の乾湿による形状変化などを利用して種子を弾き飛ばすというもので、いわば種子ロケットの発射台を備えているような方法である。

一番上の写真は、ゲンノショウコの受粉後の花であるが、この後に花弁が枯れ落ち、二番目の写真のようになる。
とがった褐色の部位が“発射台”であり、緑の萼の上に5つある卵形のものが種子である。
種子の成熟を待って、条件が揃うと“発射台”が勢いよく5つに裂け、その力で種子を2~3mも跳ね飛ばすのだ。

一番下の写真は、種子を跳ね飛ばした後の“発射台”。
一つ一つは、投石機と同じような形状と仕組みをもっていることが分かる。

可愛らしくガッツポーズをとっているようにも見えるこの姿を御輿の飾りに見たてて“御輿草(みこしぐさ)”という別名でも呼ばれている。

小指の爪ほどの小さな部位に精巧な仕組みが備わっていることには驚かされる。

20091011 ゲンノショウコの種子散布(中野地区)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月 9日 (金)

蜂侮る無かれ

20091009suzumebatinosu

明日(10/10)から一泊二日の行程で、“森林(やま)づくり塾養成教室”が開催される。
教室の内容は、間伐作業である。

どの時期でも、教室の開催に際しては安全の確保が最重要ポイントなのだが、この時期は特に蜂による刺傷被害の防止がそのウェイトを重くする。

春から形成され続けた蜂の巣は、蜂の個体数の増加ともにその大きさを増していく。
そして、秋に向かうに従って蜂の攻撃性も高まり、刺傷事故の発生件数も比例して高まる傾向にある。

都市のスズメバチ”という充実したホームページがWeb上に開設されているが、このページによると、9月をピークに8~10月が事故の発生件数が多いという。
また、蜂の種類別に見ると、コガタスズメバチによる被害が群を抜いて多く、次いでキイロスズメバチ、オオスズメバチとなる。

上の写真は、建物外構に架けられたコガタスズメバチの巣である。
大きさは長径40cmほど、短径30cmの中型の巣だ。

下の写真は、スギの立木につくられたキイロスズメバチの巣で、長径70~80cm、短径50cmほどの極めて大型の巣である。

数え切れないほどのイモムシ類を捕食する彼女たちは、森林(やま)づくりの大切なパートナーなのだが、やはり事故は避けなければ人手による森林保全がままならないのも現実である。

近年では、毎年ほぼ20名程度の人命が蜂によって奪われている(統計値は→こちらから)。
蜂による被害を食い止め、安全な森林(やま)づくりを進めていきたい。

20091004 スズメバチの巣(中野地区)
NIKON D90 70-300

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巨大イノシシ再び

20091009inosisi

あの巨体のイノシシが久しぶりに記録された。
前回記録されたのが、昨年10月1日のことだからちょうど一年ぶりのお目見えだ。

写真から推定される体躯の大きさや顔つき等々、同じ個体に間違いなさそうである。

野生の動物にも個性はちゃんとある。
いや、没個性の現代人に較べれば、動物の方がそれぞれの個性が際立っているかもしれない。

好奇心が旺盛な個体もいれば、極めて用心深い個体もいる。
活動的な個体もいれば、怠惰ともいえるほど一所に留まる個体もいる。

けれど、厳しい自然のなかで、この巨躯を誇るイノシシのように齢を重ねるには、一定の条件があるのではないかと思う。

それは、好奇心旺盛だけれども充分に用心深く、体力に満ちているけれども落ち着きがある。
そんな個体だけが長い生を許されるのではないだろうか。

実際に、各種の罠にかかるのは若い個体が多いのだ。

この老イノシシも、広大な範囲を自由に徘徊し、様々な餌を摂り、命を脅かす種々の困難に打ち克ってきたに違いない。

野生動物による被害を防ぎ、共存の途を探るためには、種レベルの大雑把な特徴把握では不十分なのだ。
極めて困難なことではあるが、個体レベルでの把握を必要としている。

森林(やま)づくりの新たな課題であろう。

20090927 巨躯のイノシシ(ヒロイド原)
自動撮影装置

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2009年10月 8日 (木)

ヤマトシジミ

20091008yamatosijimi

一週間ほど前、オサムさんのリンゴ園を訪ねて、リンゴについてあれやこれやと話を聞かせてもらってきた。
ちょうど“あかぎ”が収穫期を迎えている。
収穫までにはもう少し時間のかかる品種は、果実の色付きを均一にするための“葉摘み”をしなくてはならない。
葉摘みに、収穫に、出荷にとリンゴ農家は大わらわのシーズンだ。

リンゴ園で話をしながらふと足下に目をやると、エノコログサの穂の上でヤマトシジミが恋を謳歌していた。

ヤマトシジミは、北海道を除く全国に分布するシジミチョウ科の小さな蝶で、都市部にも農村部にも生息域を広げている。
おそらくわが国で最も頭数の多い蝶だろう。

雪のない時期を通して目にする蝶で、一年間に5~6回成虫が発生し、蛹で越冬する。
幼虫は、川場村では“まんじゅう草”と呼ばれるカタバミを食草としている。
幼虫の背中には蜜腺があり、アリがここから分泌される蜜を得るために幼虫を守るという興味深い関係を築いている。

どこででも見ることができる普通種なので、見かけても興味を示す人は少ないが、光線の加減によっては羽の表麺がコバルトブルーに輝き実に美しい。

20091004 交尾中のヤマトシジミ(中野地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

※昨夜から日本列島を縦断した台風18号による被害情報は、今のところ川場村からは聞こえてきていない。
被害が僅少であることを祈るばかりだ。

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2009年10月 6日 (火)

秋景色

20091006akigesiki

盛夏の時期に種を播かれた秋蕎麦が満開の花を楽しませてくれた。
収穫は今月下旬くらいだろうか、秋の新蕎麦が楽しみだ。

一面に咲き誇る蕎麦の花の向こうには、刈り取りを終えた稲が干されている。
手間のかかる“はって架け”は、一時期敬遠され見ることが少なくなったが、この数年間で少しずつ増えてきているように思う。
やはり天日干しされた米は味がよいのだ。

リンゴにキノコに米に蕎麦。
実りの秋がやって来た。

20091004 蕎麦の花(谷地地区)
NIKON D300 SIGMA10-20

※このブログが本になりました!詳細は→こちらから

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雨中のオスジカ

20091006sika

昨年の夏からはじめた、ヒロイド原の水辺づくり。
※そのときの様子は→こちらから

まだ不透層の形成が不充分で、流入する水量が少ないときには涸れてしまったりと安定しないが、それでも様々な動物が利用するようになってきた。

写真は、先月末の雨の日の一枚。

立派な角を生やしたオスのニホンジカが自動撮影装置に記録された。

全身泥にまみれている。
子どもたちと造った池でヌタをうってきたようだ。

山中を歩いていると、常に水が溜まってドロドロの土が露出しているような場所をみつけることがある。
こうしたところを“ヌタ(=沼田)”とか“ヌタ場”とかいう。
イノシシやニホンカモシカ、ニホンジカなどの動物達は、こうしたところで転げ回りながら躰に泥をこすりつける行動を見せる。
“ヌタをうつ”とはこうした行動を指す言葉である。

ちなみに、苦しんで転げ回る様を“のたうち回る”というが、この“ヌタをうつ”を語源としている。

躰についたダニなどを落とすのが目的だと考えられているが、他にも何か目的があるのかもしれない。

20090930 ヌタをうったばかりのニホンジカ(ヒロイド原)
自動撮影装置

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2009年10月 4日 (日)

秋到来

20091005akinota

もう少しで日没を迎えようとしている時間に、関越自動車道を尾瀬沼田インターチェンジで降りて川場村に入ると、目の前に秋の景色がひろがっていた。

刈り入れを待つ黄金色の田と、刈り取った稲を天日に干す“はってがけ”が行われている。

このところ天候が優れず延び延びになっていた作業がいよいよ本格的に開始されたようだ。

田が稲刈りの季節を迎えると、森林(やま)では間伐の時期である。

20091003 秋の田(立岩地区)
NIKON D300 50

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2009年10月 1日 (木)

キアゲハ三態

20091001kiageha_4撮影は上から9月3日、4日、5日。
たった一日ずつでこんなに姿を変えるわけはない。
もちろん別々の個体である。

キアゲハは非常に適応能力も飛翔力も高いため、海岸沿いから標高3,000mほどの高山帯までの非常に広い範囲を生息域としている。

卵から孵った幼虫は、合計4回の脱皮の後で蛹となり、その後に成虫(蝶)となる。

卵から孵ったばかりの1令幼虫とその後の2令幼虫は黒と白のツートンカラーだが、3令幼虫(写真上)と4令幼虫は黒色部分に小さくオレンジ色の斑点が入る。
終令(5令)幼虫は、真ん中の写真のように、グリーンの地色に黒のストライブ、そこにオレンジ色のスポットが入った鮮やかなデザインとなる。

幼虫の食草は、セリ科の植物で、農作物ではパセリやアシタバ、ニンジンなどを食害する。
野山では、ヤマゼリ、ハナウド、シシウドなどを好む。

昆虫の中には、ある時期に一斉に孵化し、ほぼ同時期に成虫となるようなタイプと、五月雨式に孵化から羽化までを繰り返すタイプがある。
キアゲハは後者。

川場村では、4月から10月までの長い期間お目にかかることのできる蝶だ。

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