カテゴリー「虫と一緒に森林づくり2009」の49件の記事

2009年12月16日 (水)

アカスジキンカメムシの越冬

20091216akasujikinnkamemusi

ヒロイド原のコナラの森のなかを歩いていると、同行者が蹴立てた落ち葉の下で、何か黒光りするものが目にとまった。
立ち止まって見てみると、アカスジキンカメムシの5令(終令)幼虫だった。

このカメムシは、成虫になる一歩手前の5令幼虫で越冬する。
9月2日の記事で、アカスジキンカメムシの幼虫が集団をつくることを紹介したが、暖冬の今年でも、既に越冬体制に入っていたようだ。

この時期になると、目にすることができる虫は本当に少なくなる。
ニホンミツバチやハナアブの仲間、それにカメムシの仲間などが寒さに強いようだ。
それでも、陽が射す束の間にのろのろとした動きの彼らに出遭うくらいである。

けれども、虫たちはちゃんと命を繋いでいる。
少し考えれば分かることなのだが、冬の間に虫たちが死滅してしまうのではない。
人の目に触れないところで、様々に工夫を凝らして冬を乗り切っているのである。

卵で冬を越すもの、幼虫で冬を越すもの、蛹で冬を越すもの、成虫で冬を越すもの。
そして、その越冬場所も様々で、土の中、朽ち木の中、吹きさらしの木の枝、枯れ葉の間、等々多様だ。

草木が繁り、虫がいて、動物がいて、鳥がいて、多種多様な生物の存在が強く美しい森林(やま)をかたちづくっている。

20091212 越冬中のアカスジキンカメムシ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

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2009年11月11日 (水)

ベニシジミ

20091111benisijimi

ベニシジミは、一年中、そしてどこでも見かける普通種だ。
でも、普通種だからってバカにしたものでもない。
写真の個体のように、鮮烈なオレンジ色が目を惹く。

幼虫はスイバやギシギシなどタデ科の植物を食べて育つ。
タデ科の植物はシュウ酸を多く含み、酸っぱい味がするものが多いのだが、ベニシジミの幼虫は酸っぱいもの好きなのだろうか。

越冬は幼虫や蛹でする蝶なので、この個体は来春を迎えることはない。
そのことを知っていると、少し寂しい気持ちになる。

ベニシジミの成虫(蝶)を見かけなくなると、いよいよ本格的な冬がやってくる。

20091017 ベニシジミ(天神地区)
NIKON D90 70-300

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2009年11月 9日 (月)

コバネイナゴ

20091109kobaneibnago

秋の深まりとともに、川場村で出遭うことができる昆虫が少なくなってきた。
そんな中で、冬の訪れギリギリまで目にすることができるのがこのコバネイナゴだ。

イナゴは、漢字で書くと“稲子”
文字どおりイネ科の植物を食べて育つ。

当然、イネの害虫としての悪名も馳せてきた。
出穂直前のイネに、一株あたり0.8匹以上のイナゴがいると米の味や収量に影響が出るといわれている。

北海道から南西諸島まで広く分布する昆虫だが、戦後から使用量が激増した農薬の影響でその数を減らし、現代の若い農業者はイナゴがイネの害虫であることを知らない者も少なくないようだ。
最近では、休耕田の増加や農薬の使用量を控える傾向が強まったために再びその数を増やしつつある。

土中に生み付けられた卵で越冬し、5月中下旬に孵化。
7月くらいには成虫となる。

佃煮などにもなり、農山村の貴重なタンパク源となっていた昆虫である。
到来が予想されている深刻な食糧難に際して“昆虫食”の見直しが検討されているが、さしずめこの虫などはその筆頭候補だろう。

20091017 コバネイナゴの雌雄(中野地区)
NIKON D300 105MICRO

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2009年11月 2日 (月)

冬近し

20091102azamioohamusi

いつもお世話になっているタケさんのブログを覗くと、川場村に初雪が降ったことを報せてくれていた。
川場村の短い秋が、今年も足早に過ぎようとしている。

虫たちも冬の訪れを目前にして、来春へ命を繋ぐための支度に大わらわである。

写真は2週間ほど前に、ノハラアザミの葉の上で出会ったアザミオオハムシの雌。
ハムシの中では大型の種で、体長は10mmほど。
とは云っても、写真に写っている頭の先からお尻の先までは17~18mmもある。
産卵を控えた卵がお腹一杯に詰まってパンパンに膨れあがっているのだ。
ハムシ類に共通する態様だ。

名前のとおり、アザミ類の葉を食べる虫だが、アザミの他にもフキやギボウシ等にも見られる。

越冬は卵で行い、雪が融けた頃イモムシ型の幼虫が姿を現す。

20091017 卵を抱えたアザミオオハムシ(中野地区)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月24日 (土)

イモムシの脚の数

20091024assiharoppoenn

キアゲハの終令(5令)幼虫。
ちょうど花の盛りのヤマゼリで見つけた。

キアゲハは蛹で越冬するタイプなので、そろそろ幼虫にお目にかかるのも今年はおしまいだろう。

指先でつんつんすると頭から蜜柑色の角をにゅっと出して威嚇をする。
“臭角(しゅうかく)”あるいは“肉角(にくかく)”と呼ばれる器官なのだが、これが結構強烈な臭いを発する。
柑橘類の臭いを濃縮したような臭いである。
アゲハチョウの仲間の多くがサンショウやカラタチなどのミカン科の植物を食草としているので、食草に由来する臭いであるかのように思われるが、このキアゲハの幼虫はセリ科の植物を食草とするのに同じような臭いを発する。
どのようにしてこの臭いのもとをつくっているのだろうか。

ところで、キアゲハの幼虫をふくめ、イモムシは脚が沢山あるとお思いの方が多いのではないだろうか。

基本的に昆虫は脚が3対、6本なのだ。
卵→幼虫→蛹→成虫と、そのたびに同じ生き物とは思えないほど姿を変える“完全変態”型の生物ではあるが、基本形は変化しない。
つまり幼虫(イモムシ)も、脚は6本である。

写真では、草の茎からはなして空中に遊ばせている先の尖ったものだけが脚(歩脚)で、茎をしっかりと掴んでいる部分はお腹の突起なのだ。
もっとも、生物学でも、脚同様の器官として“疣足(イボあし)”と呼んでいるので、“脚が沢山”という表現もあながち間違いではないのだが、厳密には脚ではない。

足早に車の窓から眺めるだけでなく、じっくり、のんびりと自然を見つめてみるとそれまで気が付かなかったことが見えてくるものだ。

20091017 キアゲハの幼虫(生品地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2009年10月19日 (月)

オオクチブトカメムシ

20091019ookutibutokamemusi

ノハラアザミが群生している草原で、大型のカメムシが一匹の毛虫に取り付いて体液を吸っていた。

両肩から突き出た角のような突起、蝶や蛾の仲間の幼虫の体液を吸う口吻、“オオクチブトカメムシ”である。
北海道から九州までの全国に分布するが、個体数は多くなく、あまり目にすることのないカメムシだ。

詳細な生態は未解明なようだが、冬の厳しい地方では卵で越冬するといわれている。
腹部がパンパンに膨れあがっているのはお腹いっぱいに卵を抱えているからだろう。

一見恐ろしげにみえる昆虫だが、こうした昆虫のおかげで森林(やま)は丸裸にならずにすんでいる。

近年、農業の分野でも、こうした昆虫の存在に注目が集まってきており、農薬の使用量を低減するために天敵性昆虫(他の虫を補食する昆虫)を利用しようという試みが徐々に活発になってきている。

生産者の健康のため、生産コストを抑えるため、そして消費者の食の安全を守るためにも大切な試みである。

20091017 蛾の幼虫を補食するオオクチブトカメムシ(中野地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2009年10月16日 (金)

ノコンギクを訪れる虫たち

20091015nokonngikunikurumusi

秋の友好の森を歩いていると、日当たりの良い林縁に数種類のキクの花が咲いているのが目に入る。
なかでも、写真のノコンギクは虫たちに人気の花で、実に様々な虫たちが訪れる。

左上は、アシグロツユムシ。葉や花弁、花粉などを食べる目的でやってくる。
右上は、コアオハナムグリ。これは花粉が目当て。
左下は、ヤマトシジミ。シジミチョウの代表選手で、蜜を求めて訪花する。
右下は、コガネオオハリバエ。このハエの幼虫は、エビガラスズメという蛾の幼虫に寄生するのだが、訪花の目的は不明。

このように、ある一種の花(植物)でも、多様な虫たちが多様に利用していることが分かるだろう。
もちろん、これらの虫たちもノコンギクに限らず、様々な植物を利用して生きている。

植物と虫たちの、多様で不思議な関係を知ることも森林(やま)づくりには必要なのだ。

20091010 ノコンギクを訪れた虫たち(友好の森)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月12日 (月)

ナガメ

20091012nagame001

後山の山裾を歩いていると、黒とオレンジに塗り分けられた鮮やかなデザインのカメムシが目にとまった。
まるで熱帯地方の昆虫のような配色だ。

このカメムシの名は“ナガメ”という。
漢字で書くと“菜亀”。
読んで字のごとく、「菜の花につく亀虫(カメムシ)」という意味である。
名前のとおり、野生種ではイヌガラシやタネツケバナ、栽培品種ではダイコン、キャベツ、ナタネなどの、いずれもアブラナ科の植物で吸汁する。

ところが、この日はどうした訳か野生のミツバの蕾にとまっていた。
セリ科の植物であるミツバにどうしてナガメがいたのだろうか。
秋の訪れとともに、アブラナ科の植物が減り、仕方なくミツバにやって来たのか。
それとも、何か別の理由があったのだろうか。

本当のところはナガメに訊ねるしかない。

20091012nagame002ところで、このナガメ、向きを変えてみると何かに見えてこないだろうか。
以前から思っていたのだが、筋骨隆々とした巨漢が通せん坊をしているように見えるのは私だけだろうか。
まるで「俺を倒してから行け」と行く手を阻んでいるように見えて仕方がない。

20091011 ナガメ(生品地区)
NIKON D300 105MICRO

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2009年10月 9日 (金)

蜂侮る無かれ

20091009suzumebatinosu

明日(10/10)から一泊二日の行程で、“森林(やま)づくり塾養成教室”が開催される。
教室の内容は、間伐作業である。

どの時期でも、教室の開催に際しては安全の確保が最重要ポイントなのだが、この時期は特に蜂による刺傷被害の防止がそのウェイトを重くする。

春から形成され続けた蜂の巣は、蜂の個体数の増加ともにその大きさを増していく。
そして、秋に向かうに従って蜂の攻撃性も高まり、刺傷事故の発生件数も比例して高まる傾向にある。

都市のスズメバチ”という充実したホームページがWeb上に開設されているが、このページによると、9月をピークに8~10月が事故の発生件数が多いという。
また、蜂の種類別に見ると、コガタスズメバチによる被害が群を抜いて多く、次いでキイロスズメバチ、オオスズメバチとなる。

上の写真は、建物外構に架けられたコガタスズメバチの巣である。
大きさは長径40cmほど、短径30cmの中型の巣だ。

下の写真は、スギの立木につくられたキイロスズメバチの巣で、長径70~80cm、短径50cmほどの極めて大型の巣である。

数え切れないほどのイモムシ類を捕食する彼女たちは、森林(やま)づくりの大切なパートナーなのだが、やはり事故は避けなければ人手による森林保全がままならないのも現実である。

近年では、毎年ほぼ20名程度の人命が蜂によって奪われている(統計値は→こちらから)。
蜂による被害を食い止め、安全な森林(やま)づくりを進めていきたい。

20091004 スズメバチの巣(中野地区)
NIKON D90 70-300

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2009年10月 8日 (木)

ヤマトシジミ

20091008yamatosijimi

一週間ほど前、オサムさんのリンゴ園を訪ねて、リンゴについてあれやこれやと話を聞かせてもらってきた。
ちょうど“あかぎ”が収穫期を迎えている。
収穫までにはもう少し時間のかかる品種は、果実の色付きを均一にするための“葉摘み”をしなくてはならない。
葉摘みに、収穫に、出荷にとリンゴ農家は大わらわのシーズンだ。

リンゴ園で話をしながらふと足下に目をやると、エノコログサの穂の上でヤマトシジミが恋を謳歌していた。

ヤマトシジミは、北海道を除く全国に分布するシジミチョウ科の小さな蝶で、都市部にも農村部にも生息域を広げている。
おそらくわが国で最も頭数の多い蝶だろう。

雪のない時期を通して目にする蝶で、一年間に5~6回成虫が発生し、蛹で越冬する。
幼虫は、川場村では“まんじゅう草”と呼ばれるカタバミを食草としている。
幼虫の背中には蜜腺があり、アリがここから分泌される蜜を得るために幼虫を守るという興味深い関係を築いている。

どこででも見ることができる普通種なので、見かけても興味を示す人は少ないが、光線の加減によっては羽の表麺がコバルトブルーに輝き実に美しい。

20091004 交尾中のヤマトシジミ(中野地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

※昨夜から日本列島を縦断した台風18号による被害情報は、今のところ川場村からは聞こえてきていない。
被害が僅少であることを祈るばかりだ。

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