雪の中の仔リス
このところ、仕事(本業)が忙しかったり、体調が優れなかったりで、川場村にご無沙汰が続いてしまっている。
なんと、今年、2010年に入ってから一度も訪れていないのだ。
こんなことは、この数年来無かったことである。
もういい歳なんだから静かにしていなさいという啓示なのかもしれない。
そんなこんなで、古い写真ばかりを引っ張り出してはページを埋めていて、このブログはまだ年が明けていないのだ。
今日の写真も、昨年末のもの。
自動撮影装置が、雪景色のなかのリスを写してくれた。
真っ白な雪面に冬枯れの灌木の影が映り、その中にシルエットでまだ子どもと思われるホンドリスが静かに佇んでいる。
なかなかに画になる光景だ。
ホンドリスは、ペットショップなどでよく見るシマリスなどとは違って冬眠はせず、冬の間も元気に活動を続けている。
秋には樹木の小さな洞や根元などにクルミやドングリなどを仕舞い込み、冬の間の食料としている。
こうした行動は“貯食行動”と呼ばれているが、仕舞い込んだドングリなどのうち1割程度は隠し場所を忘れてしまうらしい。
この忘れられたリスの食料が、植物の分布域の拡大に一役買っている。
ドングリなどでは、あまり役に立たないように思われるが、クルミの仲間には大きな働きとなる。
クルミの仲間は“水散布”といって、河川の流れを利用して種子を運ばせ、分布域を拡げるのが一般的なのだが、そうなると河川沿いにしか分布できないことになってしまう。
そこで、栄養価が高く、美味しい実を着け、リスなどに運んでもらう(“動物散布”)という、もう一つの繁殖戦略を併せたてているのだ。
ところが、実を全て食べられてしまっては元も子もない。
リスが貯食行動をとること、そして一定数を忘れてくれることが必要なのである。
地上に水の流れがないような森林(やま)のなかで出遭うクルミの木は、どこからかリスが運んできたものに違いない。
20091222 雪の中に佇む仔リス
自動撮影装置
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