冬の森林(やま)
冬の森林(やま)も良いものだ。
林床が真綿のような雪に覆われ、茂る灌木で歩きにくかった所にも入っていける。
ときどき立ち止まって、深呼吸をすると清涼な空気が胸の奥まで染みこんでくる。
いつもは使っていなかったかのような肺の奥底まで冷気が行き渡り、痛いほどだ。
木々の葉が落ちると、空がとても広くなる。
大気中の湿度も低く、澄んだ青空が見えるのも冬の楽しみだ。
そんな冬の森林(やま)を歩いていると、面白いものが目にとまった。
ケヤキの大木から斜めに突き出すように伸びていた一升瓶ほどの太さの枯れ枝が折れ、その先端に6~7cmほどの丸い穴が空いている。
カメラに望遠レンズを付けて大写しにしてみると、穴の回りが囓り広げられていることも分かった。
キツツキが雛を育てるために巣穴を空けたのが最初だったのだろう。
そして、その穴を利用してヤマネやリスやムササビなどが子育てをしたのではないだろうか。
リスなどの仲間は、思われているほど樹に穴を穿つのが得意ではないので、キツツキの仲間が空けた穴を少しずつ拡げて使うことが多いのだ。
そうこうしているうちに樹洞が大きくなり、風雪に耐えるちからを弱め、ついにはポキリと折れる日を迎える。
この枝が幹から生えた時には、まだ爪楊枝ほどの太さだったに違いない。
それからどれ程の歳月が流れたのだろうか。
そんなことを想像しながら、静かに歩く冬の森林(やま)もまた良いものだ。
20091220 枯れ枝の樹洞(友好の森)
NIKON D300 70-300
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