« 2010年2月 | トップページ | 2010年4月 »

2010年3月の24件の記事

2010年3月31日 (水)

ヒロイド原のニホンジカ

20100331nihonnjika1

ヒロイド原のヌタ場に仕掛けておいた自動撮影装置(センサーカメラ)が、様々な成長のステージにあるニホンジカを記録してくれた。

左上は、三叉四尖の大きな角を頂いた壮齢の雄鹿。
少なくとも、生後5~6年は経つ男盛りの鹿である。

右上は、対照的に、ようやく生後一年を迎えるのではないかと思われる子鹿。
頭が大きいのは、哺乳動物の赤ちゃんに共通する特徴だ。

左下は、子連れの若い雌鹿。
この親子は頻繁にこの水辺を利用している。

右下は、おそらく、もうすぐ三歳になろうかという若い雄鹿。
“ゴボウ角”といって、まだ枝分かれしない角を生やしている。

一所で、様々な成長のステージにある生物を、それも短期間に確認することができたということは、その生物が安定的な繁殖に成功している証でもある。

全国的には、農林産物への被害などを巻き起こす動物として認知されつつあるニホンジカだが、川場村では、それほど深刻な被害を引き起こしているという話は聞かないが、手を拱いていては全国の状況に近づいていくのだろう。

戦中から戦後にかけての乱獲によって、ニホンジカを絶滅寸前にまで追い込んだのは人間である。
そして、個体数の激増への対処が間に合わず、現在のような状況を生み出したのも人間である。

森林(やま)の仲間である鹿達を、再び絶滅の憂き目に遭わせる前に、人間との共存の途を探らなければならない。

20100116~201010316 ヒロイド原のニホンジカ
自動撮影装置

| | コメント (0) | トラックバック (0)

コナラの冬芽

20100331konara

コナラの冬芽が早春の柔らかな日差しの中に力強く屹立している。

細長い5角形の鎧を幾重にもまとい、新芽がはぜるタイミングを今か今かと待ちわびているようだ。
この鎧は“芽鱗(がりん)”と呼ばれる器官で、生物学上は葉が変形した器官であるとされている。

芽鱗は新葉の展開が始まると剥がれるように落ちて、僅かな痕跡だけを残すのだが、柔らかな新葉を冬の厳しさから護るために必要な器官なのだ。

温帯や冷帯の樹木では一般的な芽鱗も、温かい地域での植物では稀で、芽鱗に包まれない新芽は“裸芽(らが)”と呼ばれる。

樹種によって様々な顔を見せる冬芽や芽鱗を楽しむことができるシーズンもそろそろ終盤だ。

20100327 コナラの芽鱗(ヒロイド原)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月30日 (火)

カタクリ二態

20100330katakuri2

「けけけけけくぇ~」などと鳴きながらふらふらと翔んでいきそうなカタクリの株。
松本零士氏が描く漫画に出てくる怪鳥のごとき姿である。

もう数日もしたら可憐な花を開かせるのだろう。

20100330katakuri1_2 もうひとつは、何枚もの枯葉を串刺しにしたカタクリ。

根茎から真っ直ぐに伸びた芽が、落ち葉に空いた穴からさす陽光を求めて成長したのだろう。

この株は、このあと葉を展開することができるのだろうか。

春の短い季節に、一気に成長するカタクリが葉を拡げることができなければ、その後の成長にも影響がありそうだ。

カタクリというと綺麗な写真が多い中で、こうした不思議な姿に接するのも楽しいものである。

20100328 カタクリ
NIKON D300 105MICRO

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年3月29日 (月)

体験教室・養成教室

20100329youseitaikenn

3月27日から28日にかけての一泊二日で、森林(やま)づくり塾の体験教室と養成教室を並行開催した。

体験教室は、親子での参加が基本の教室で、今回の教室は2歳から69歳と、幅広い年齢生の参加者を迎えての開催となった。

もう一方の養成教室は、15歳以上限定の教室で、今回は36歳から72歳と、こちらも幅広い層の参加者を得た。

今回の教室は、両教室ともに植林とキノコの駒打ちと伏せ込みをメインプログラムとしたが、これらは何れも“森林(やま)のスタートを切る”活動だ。
植林は言わずもがなだが、キノコは森林の成立に不可欠な土をつくる仕事をしてくれている生物なのだ。詳しくは→こちらから

その他にも、群馬県最後の木挽き職人である平方氏(高山村)を迎えての木挽きの実演見学と体験や、川場村内の竹細工職人である田口氏を講師に実施した竹とんぼづくりなどなど、多彩なプログラムを用意した。

体験教室では、森林(やま)と川場村を楽しんでもらおう。
養成教室では、森林(やま)づくりの“いろは”を知ってもらおう。
そんな目的を掲げている。

今回ご参加いただいた、体験教室の38名、養成教室の13名の方々が再び川場村を訪れてくれることを期待したい。

20100327-28 体験教室・養成教室

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月27日 (土)

うんちうんちうんち

20100327unchi

友好の森で見つけた“うんち”三種。

上から、イノシシ、ノウサギ、ニホンカモシカ。

イノシシのうんちは、いくつものコロコロうんちをぎゅっとまとめたような形。
雑食性の彼らのうんちは、形は共通していても色や中身は様々だ。

ノウサギのうんちは、やや扁平でマーブルチョコのような形をしている。
よく見ると、細かく裁断されたような草の繊維がたくさん詰まっている。

カモシカのうんちは俵型で、一つだけ見たらニホンジカのうんちと見分けがつかない。
けれど、カモシカは一カ所にまとめてうんちをするのですぐにわかる。
四つもある胃で丹念に消化されているので、目で見ただけでは草の痕跡も見つからない。

ほんの30分ほど、森林(やま)を歩いただけで3種類の動物のうんちが見つかった。

厳しい冬を乗り越え、春を迎えて、お腹一杯食べているのだろう。
泄すものも盛んに泄している。

どんな動物がどれくらいいるのか。
動物たちは子どもを増やすことができているのか。
食料は豊富なのか。
etc…

うんちを見ると、色々なことが見えてくる。

20100322 糞三種(友好の森)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月26日 (金)

冬の造形

20100326sarutoriibara

サルトリイバラの実が、長い冬の間に乾燥し、レーズンのようにしわしわになって残っている。

小動物や鳥などに食べられることもなく、一冬を越したのだ。

早春のやわらかな光に落ちついた輝きを見せている。

どんな生き物にとっても餌が不足する冬の間に、どうしてこの実が食べられずに残ったのか。
周りにも沢山の実があり、その中では美味しくなさそうだったのだろうか。
それとも、まったくの偶然が重なって、本当にたまたま残されたのか。
真相はわからないが、果肉が鳥などに食べられて、中の種子だけが排泄されることで自生域を拡げる作戦を立てているこの植物にとって、残されたことが良かったのか、悪かったのか。

何気ない光景の中にも“不思議”がつまっている。
それもまた森林(やま)の楽しさだ。

熟したサルトリイバラの実は→こちらから

20100322 フリーズドライのサルトリイバラ(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月25日 (木)

雪中のニホンジカ

20100325sika

雪のヒロイド原を一頭の雌ジカが歩いてる。

観光地で餌付けされたシカと違って、川場村のシカ達は人擦れしていないので肉眼で彼らの姿を見る機会にはなかなか恵まれない。

けれど、自動撮影装置を使って記録をとると、ずいぶんと沢山のシカが棲息していることが分かる。

足跡や糞、それに食痕などからも、彼らの存在を知ることができるのだが、やはりこうして姿が映し出されると、ぐっと彼らの存在感が増してくる。

雪の晩の森林(やま)は、雪が周囲の音を吸い取って、幻想的なほどに静まりかえっている。
そんな森林のなかを、人知れず動物たちが活動していることを想像するのも楽しいものだ。

20100321 雪中のニホンジカ(ヒロイド原)
自動撮影装置

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年3月24日 (水)

アブラチャン

20100324aburatyann

早春の友好の森を、けぶるようなレモンイエローで彩るのはアブラチャンの花。

アブラチャンはクスノキ科の落葉低木で、同じ仲間のクロモジオオバクロモジダンコウバイなどととてもよく似た花をつける。

アブラチャンの名は、以前紹介したように油分を樹木全体が多く含みよく燃えることに由来している。

例年の川場村では、アブラチャンの花は4月にならないとお目にかからないのだが、今年はやはり春が早い。
この木は、3月22日に満開を迎えているのだから、例年に較べて2週間ほどは早い開花だ。

まだまだ枯れ葉色の森林(やま)に爽やかな彩りを添えるこの花が、深刻な気候変動を報せるものでなければよいのだが。

20100322 アブラチャンの花(友好の森)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月23日 (火)

チェーンソー講習会

20100323chainsow

私が塾長を仰せつかっている“森林(やま)づくり塾”は、“農業塾”、“茅葺き塾”とともに“健康村里山自然学校”の中に位置づけられている。

この“里山自然学校”の直営講座として、チェーンソーや刈り払い機等の動力付きの農林業機械を安全に使うための教室を開催している。

今回は、3月21日から22日の2日間の行程で、チェーンソーの講習会を実施した。
この講習会は、里山自然学校の“専科教室”でもあると同時に、林業・木材製造業労働災害防止協会(通称、林災防)群馬県支部の“伐木作業者安全衛生講習会”としても位置づけられている。

講座の名が示すとおり、チェーンソーを使う技を磨く技術講習会ではなく、安全に作業を実施するための安全講習会である。

私は、折に触れて発信しているように、動力付き機械の使用はなるべく避けたいと考えている。
それでも、森林(やま)づくりにおいては、やはり大きな力を発揮することは確かであるし、なにより、機械好きな人々にとってはなかなかに魅力的な機械であるようで、使用を控えるようにいくら発信しても、なかなか聞き入れてもらうことができずにいる。

しかし、作業に際して、大きな力を発揮するということは、とりもなおさず、いったんそのパワーが人体に向いたときには深刻な事故を引き起こす機械であることは間違いのないところである。

そうしたことから、定期的に講習会を開催してきた。

今回は、川場村と世田谷区から、約30名の参加者を迎えての実施となった。

関連法規から、構造の理解、分解整備、ソーチェーンの目立て、実際の伐木と、2日間をかけ、座学と実技講習の双方をこなしていただいた。

楽しく、安全な森林(づくり)のための有意義な2日間となった。

20100321-22 チェーンソー講習会(友好の森)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

春の足音

20100323katakuri

3月21日から22日にかけて、川場村に春の足音を聞きに行ってきた。

21日の午後から翌朝まで、結構な降雪があり、5~6cmほどの積雪となった。
それまで暖かい日が続いていたので、谷部の日陰を除けば、雪は殆ど消えていたので、辺り一面が真っ白になるのは久しぶりのことに感じた。

けれども、春は確実にやってきている。
既に地温も上がってきていたようで、22日の昼頃までには雪はすっかり消えて、もとの景色が戻ってきていた。

今年は、様々な植物の発芽や開花などが、例年と較べて2~3週間も早いようだ。
例年、4月にならないと姿を見かけないような春の植物が既に動きを始めている。

昨年、初めて存在を確認することができたカタクリの自生地を訪ねてみると、開花こそ未だだったものの、多くのカタクリの株を見つけることができた。

ここのカタクリは、一斉に発芽するのではなく、次々と芽生えるようで、様々な成長度合いの株を見ることができた。
褐色のペン先が地面を突き破って、いきなりニュッと顔を出し、その後に葉を拡げ、蕾が頭をもたげてくる。
成長の早いものは、もう数日で凛とした花を咲かせてくれることだろう。
※昨年の開花の様子は→こちらから

雪解け直後に地上に出現し、樹々が新葉の展開を始める前に姿を消してしまう植物を“スプリング・エフェメラル”と呼んでいる。
カタクリは、このスプリング・エフェメラルの代表だ。

かつては、全国の里山で当たり前のように見ることができたこの植物も、現在ではその生息域を大きく狭めている。
現在では、乱獲なども問題となっているが、根本問題は別にある。
森林(やま)の恵みを多様に利用していた人間の生活が大きく変化したことが、最大の原因なのである。

森林(やま)に生かされ、森林を生かしてきた歴史が、カタクリを咲かせてきた。

20100322 カタクリの芽生え
NIKON D90 105MICRO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月20日 (土)

冬毛のテン

20100320tenn

後山の山裾に設置している自動撮影装置(センサーカメラ)に、忍び足で歩く、とても綺麗なテンが記録された。

足先だけが黒く、ほぼ全身が黄金色で、顔が白い。
冬毛の特徴である。

夏毛のテンは、全身の色はもう少しくすんだ色で、足先と顔面が黒い。
※夏毛のテンは→こちらから

テンは、非常に慎重に行動する動物であることが知られており、川場村でも、自動撮影装置には頻繁に記録されるものの、目視する機会は殆どない。

獲物に近づくときにも、何度も傍まで近づきながら、また離れ、周囲の危険をよく観察し、退路を確認してから初めて食らいつくことが知られている。
ただし、いったん安全であることを確認すると、大胆に振る舞い、人家内まで侵入したりもする。

最近、佐渡のトキ保護センターで、飼育中のトキがテンに襲われるというニュースが報道されたが、テンが慎重に行動する動物ではなく、飼育舎の周りをうろうろするようであったならば、トキを守る手だてが事前に講じられたことだろうし、大胆さを併せもつ動物でなければ人工飼育下のトキを襲うこともなかっただろう。
テンの性質をよく表す事件だったように思う。
それにしても、この事件。人災であって、テンには何の罪もない。

もうすぐ、テンも装いを夏仕様にかえる季節がやってくる。

20100225 冬毛のテン(後山)
自動撮影装置

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2010年3月19日 (金)

ここにも春が

20100319siitake

昨年の春に植菌(駒打ち)をして、夏に天地返しをおこなった榾木(ほだぎ)から、小指の先くらいにふくらんだシイタケの赤ちゃんが顔を出した。

やはり、例年よりも少し成長が早いように思う。

だいぶん前になるが、このブログでも紹介したように、キノコは森林(やま)のスターターである。
何が最初か、などという話になると、“卵と鶏”のようなものなのではあるが、森林内の物質循環の要となっている。

正確にいうと、“キノコ”と呼ばれるのは、ある菌類の成長のステージの一場面に過ぎず、その菌が子孫を残すためにつくり出す形態で、高等植物でいえば花に相当する。

キノコは“木の子”。
森林(やま)が生んだ子どもであり、次の世代の立役者なのである。

20100314 顔を出したシイタケの赤ちゃん(友好の森)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

シカ柵の試験設置

20100319sikasaku

ヒロイド原の一画に、試験的にシカ柵を設置した。
シカ柵は正式には“防鹿柵(ぼうろくさく)”といって、その名のとおり柵内の植生をシカの食害から守るための設備である。

柵の高さは、約2m。
ニホンジカが跳び越すことができない高さだといわれているが、跳び越えて内部に侵入した例も各地で報告されており、万全の備えとは言い切れないのが実情である。

また、倒木や着雪などによって柵が倒れたり、ネットの一部が破れたりすれば、当然そこが進入路となる。
全国各地で、こうした柵が設置されながらも芳しい効果を上げていないのは、柵を設置したことで安心し、柵の補修などを疎かにするケースが少なくないことによる。

戦前から戦中に掛けての乱獲によって、シカやカモシカが激減していた時期には、林業被害をもたらす“害獣”の筆頭は“野鼠(やそ)”と呼ばれた野ネズミの仲間であったのだが、このシカ柵ではネズミの往来を防ぐことはできない。

ニホンジカをはじめ、ニホンカモシカ、イノシシ、ツキノワグマ、ノウサギなどの侵入を阻むであろうこの設備が吉と出るのか凶と出るのか。
少なくとも、動物たちによる草刈り効果は期待できなくなるはずである。

ともあれ、この柵の内側と外側でどのような植生の変化が起こるのか、これから観察を続けていきたいと思っている。

20100314 シカ柵の試験設置(ヒロイド原)
NIKON D300 70-300

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2010年3月18日 (木)

シカの角研ぎ

20100318tunotogi

雪が深く、行きそびれていた自動撮影装置のデータを回収してきた。
2ヶ月ほど前の、小雪が降る夕刻に、三叉四尖の立派な角を頂いた雄のニホンジカが記録されていた。

雪に隠れて見えないが、このシカの鼻先には、伏流水が浸みだして一年中涸れることのない水場がある。
直径60cmほどの小さな小さな水場だが、様々な動物が訪れる。

シカは、頭上の灌木に角を擦りつけている。
痒いから掻いているのか、縄張りの主張なのか、判然としないがシカの行動の一面をカメラが捕らえた。

以前、別のカメラがシカの角突きを記録したが、今回はそれに続く生態写真となった。

シカが増えすぎるのも困ったものだが、シカのいない森林は不完全な森林だと思う。

20100116 角研ぎをするニホンジカ(ヒロイド原)
自動撮影装置

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2010年3月17日 (水)

ひなたぼっこ

20100317hukinotou

2008年の夏から、手作業でこつこつと整備を進めてきたヒロイド原の水辺も随分と安定してきて、この季節は雪解け水がサラサラと流れている。

水辺のまわりには様々な植物が根を張り始め、安定性を高めてくれている。

辺りには、まだ雪も残っているがフキノトウがすくすくと育ち、まるで春の陽射しの中でひなたぼっこをしているようだ。

この水辺は、カモシカやノウサギ、ニホンジカ、タヌキ等々の動物たちも足を運び利用している。

この水辺が、これからどのような変化を見せてくれ、そして、周辺の環境にどのような影響を与えるのか、のんびりと観察を続けたい。

20100314 水辺のフキノトウ(ヒロイド原)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

春の使者

20100317hiodosityou

先週の日曜日、コートを着ていると汗ばむような陽気の小春日和に後山に上がった。
虚空蔵様の前を通り過ぎて、展望台がある辺りに足を延ばすと、ヒオドシチョウに出遭った。

ヒオドシチョウは、タテハチョウ科の蝶で、成虫(蝶)は初夏に蛹から羽化すると、そのまま夏を越し、秋を越し、冬を乗り切る。
そして春を迎えると、主に幼虫の食草であるエノキに産卵するという生活史をもっている。

タテハチョウの仲間一般に見られる特徴なのだが、チョウの仲間の中では成虫の時期がとても長い。

今回は写真に収めることはできなかったが、翅の裏面は雑木林でよく見られるような広葉樹の樹皮にとてもよく似た色合いで、翅を閉じて樹木にとまっているとなかなか見つけることができないほどだ。
樹液を主に吸う蝶なので、理にかなった保護色なのだ。

先に書いたように、成虫で越冬するため、春が訪れると一早く翔び始める。
ヒオドシチョウも春の使者である。

20100314 ヒオドシチョウ(後山)
NIKON D90 70-300

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月16日 (火)

生と死と

※今日の写真は動物の死体です。20100316inosisinositai_5   
写真をクリックすると拡大表示されますが、あらかじめご承知おき下さい。

まだ雪の残る川場村を散策していると、雪の上にカラスが数羽、何かに群れていた。

これはもしや、と思い近づいてみると、やはり想像したとおり、動物の死体が横たわっていた。

おそらくは昨年生まれの子どものイノシシであった。
体長は、欠損部分を含めて60cmほど、雌雄は判別不能。

臀部から右後肢にかけてがきれいに欠損している。

周囲にはキツネやタヌキの他、数種類の鳥類の足跡が乱れ付いている他、この死体を引き摺った後が数メートルにわたって残されていた。

まだ、腐臭もないことから、死後それほどの時間は経過していなかったと思われる。

もう少し後の季節であれば、すぐに腐敗も始まっただろうし、スカベンジャー(掃除屋)と呼ばれる様々な昆虫も取り付いていたことだろうが、まだ本格的な活動を開始していないのか、そうした虫の姿も見られなかった。

こうした光景を目の当たりにして、私自身も決して“美しい”などと思うことはできないし、多くの方も同じであろう。
けれども、生があり、そして死があって森林(やま)は成り立っていることを忘れてはいけない。

一頭のイノシシの死は、様々な生物に食料を提供し、土をつくり、次の森林(やま)に繋がっていく。

厳しい冬をやっと越したばかりの季節に、この幼いイノシシに何が起こったのかは想像するしかないが、これもまた森林(やま)の日常である。

20100314 イノシシの幼獣の骸
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年3月15日 (月)

ツノハシバミの花

20100315tunohasibami

森林(やま)には雪が残っているが、いよいよ春が訪れたようだ。

写真はカバノキ科の落葉低木のツノハシバミの花だ。
下の写真は、雄花が集合してできた“花序”と呼ばれるもので、川場村では、前年の10月中旬ぐらいから形成されはじめ、冬期間にこのように成長する。
それに対して、雌花(写真上)は春の訪れを待ってから形成される。

大きさは、この時期の雄花が長いもので10cmほど、雌花は長径が1cmにも満たない。

雌花は、数個の花が鱗片状の“芽鱗”に包まれた構造をしていて、先端部から覗く赤い部分は柱頭(雌しべ)である。
風によって花粉が運ばれる“風媒花”であるのに、雌しべが、こんなにも鮮やかに染まるのは何故なのだろうか。

20100314 ツノハシバミの花(ヒロイド原)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月13日 (土)

風景が教えてくれる

20100313kesiki

川場村を訪れるときには、かなりの確立で立ち寄らせてもらっているBerryさんのカフェの辺りからの一枚。

遠く赤城の山々を借景に、手前には川場村の人々が丹誠込めた田んぼがひろがっている。

まさに自然と人為が織りなす里の風景だ。

「風景」と一言で済ませてしまうことが多いが、風景とは実に面白いものである。

例えば、土壌の性質が異なれば生育する植物が変わり、植物が変われば昆虫やその他の生き物も構成を変える。
土地の起伏の具合が異なれば、水の移動に変化が起こり、田畑の広がりがそれに左右される。
そうした様々な要素が、その土地、その土地の人々の生活の有り様を決定づけ、それによって人々の気質も影響を受ける。

そういった諸々が織りなすのが風景・景観なのだ。

この写真にも、墓地が見え、田畑が写り、森林(やま)が記録されている。

その土地の風景が持つ意味や歴史を想像することも、森林(やま)づくりには必要なことだし、何より楽しいことである。

20100221 農村の風景(川場湯原地区)
NIKON D300 70-300

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年3月12日 (金)

もうすぐ春

20100312yukigesiki

半月ほど前の川場の森林(やま)。

真っ白な雪景色のなかに、くっきりと、そして長く、木々の影が映えている。
冬のお日様は低いところから陽を投げかけるので、このような景色を生み出してくれる。

木々の影が次第に短くなり、残雪の間から春の植物が顔を見せるようになると春が訪れる。

森林(やま)づくりの仕事では、植林、そしてキノコの駒打ちの季節がやってくる。

多くの針葉樹や落葉性の広葉樹は、本格的な春を迎える前に植栽することが必要だ。
木の根が盛んに水分を吸い始め、樹液を幹や枝葉にめぐらせる前に植栽をしないと活着率(植栽した木が根付く割合)が低くなってしまう。

原木(榾木:ほだぎ)を使ったキノコの駒打ちも、気温が上がり、多くの菌類が活性化する前に行わないと、他の菌に邪魔されてしまい沢山のキノコを収穫することができなくなってしまう。

そろそろ春の森林(やま)づくり準備を始めなくてはならない。

20200220 雪の雑木林(友好の森)
RICOH GR DIGITALⅡ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月11日 (木)

雪中のハクビシン

20100311hakubisin

写真は、先月20日のヒロイド原、たっぷりと積もった雪の上を歩いているのはハクビシンである。

ハクビシンはジャコウネコ科の帰化動物(在来種だという説もある)で、冬眠するとか、分厚い脂肪を蓄えるとかいった、厳しい冬を乗り切るための工夫を持ち合わせていない動物だと考えられている。

そのためか、川場村でのこれまでのデータからは、夏には森林内の自動撮影装置に記録されることが多いが、冬は人里に近い所での記録に限られてきた。

山中に仕掛けたカメラが捉えたこの画像は、何を伝えてくれているのだろうか。

たった一枚の画像データからは何も断定することはできないが、冬期間中にも断続的に無雪状態があったことなどと考えあわせると、やはり自然界に何らかの変化が起きているのではないかと考えてしまう。

自然界の変化は、必ず連鎖して人間にも影響を与える。

この一匹のハクビシンが、山中の雪の上を歩いていたのは何故なのだろうか。
単なる気まぐれか、変わり者の一匹なのか。

浅薄な思いこみを排除して観察を続けていきたい。

20100220 雪中のハクビシン(ヒロイド原)
自動撮影装置

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月 6日 (土)

樹の根元に

20100306hukurou1

暗くて、はっきりしない画像だが、何が写っているか分かるだろうか。

後山に設置してある自動撮影装置が、ある生き物をとらえた。

根元がやや湾曲したスギの樹の根元、谷側部分にうずくまるようにして何かがいる。
私にも、この画像だけでは何が写っているのか判断できなかっただろうと思うのだが、次の一枚で、この生き物の正体が分かった。

20100306hukurou2

フクロウである。

夜行性のフクロウが、昼間に活動をしていた。

実は、この画像と前後して、同じような行動をしているカケスも記録されている。
このスギの根元に何かがあったのだろうか。

現地ですぐに画像のチェックをしなかったことが、とても悔やまれる。
画像のチェックさえしていたら、すぐにこのスギの根元を調べたのに、後悔しきりである。

フクロウについて調べてみると、基本的には夜行性であるのは確かだが、荒天が続くなどして餌が不足すると昼間でも狩りをすることがあるようだし、狩った獲物を保存しておき、後でそれを食べることもあるのだという。

とすると、今回記録された画像もある程度理解することができる。

狩った獲物を保存して食べるくらいだから、死肉を食べることもあるのではないだろうか。
フクロウまたは他の動物が狩った獲物か、あるいは何らかの理由で死んだ動物がスギの根元にあり、それをカケスも見つけて食べていた(あるいは、毛などを採取していたのかもしれない)のかもしれない。
そして、フクロウもまた、このスギの根元に食事に訪れたのではないだろうか。

20100206 フクロウ(後山)
自動撮影装置

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年3月 4日 (木)

☆10万アクセス到達☆

なんと、このブログへのアクセスが、延べ10万件に到達しました!

2007年の6月6日に開設して以来、2年9ヶ月が経ちました。

そして、この記事でちょうど700の話題をお届けしてきました。

こんなにも長い間書き続けて来られたのも、ひとえに皆様と川場の森林(やま)のおかげです。

昨年の秋には、このブログから一冊の本を世に送ることも出来ました。

川場村が大好きで、森林(やま)が大好きです。

まだまだお届けし切れていない川場村の魅力は沢山あります。
まだまだ発見できていない森林(やま)の不思議も沢山あるはずです。

もう少し、このブログを続けていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします!

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2010年3月 2日 (火)

穏やかな冬

20100302sarunojuhihagi

川場湯原地区の太郎から木賊にかけては、ニホンザルの群が頻繁に出没する。
これまでも、このブログでも何度か紹介してきたが、農作物の被害や生活不安は小さなものではなさそうだ。 ※以前の記事は→こちらから

先日もこの辺りを車で流しながら様子を窺ってきた。

サルそのものに遭うことはできなかったのだが、確かに今年も人家近くまで出てきているようである。
ただし、この数年間の中ではその頻度は小さい。

地元の方に聞くと、畑に出てくるサルを追い払うためにロケット花火を用意したのだが、ほとんど使うことが無かったというし、写真のような“樹皮剥ぎ”も例年になく少ない。

別の場所に仕掛けてある自動撮影用のセンサーカメラにも、例年ならまだ冬眠中のアナグマが写ったり、雪の森林(やま)の中を出歩くハクビシンが記録されたりと、今年の冬は、例年とは少し様子が違うようだ。

サルの個体数が減少したとは考えにくいし、危険を冒してまで人家近くに出没するまでもないほど森林内に食べ物が豊富なのではないだろうか。

野生生物にとって、冬は間違いなく受難の季節なのだが、この冬は比較的穏やかなものだったようである。
穏やかな冬だったということは、命を落とすことなく無事に冬をこす生物が増えるということに直結する。

農林産物や人身への被害など、雪解け後のシーズンにどのような影響が出るのかきちんと見続ける必要がありそうだ。

20100220 ニホンザルの食痕(太郎地区)
NIKON D300 70-300

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年2月 | トップページ | 2010年4月 »