ミヤマセセリは春の蝶
ヒロイド原を散歩していると、カントウタンポポで地味な蝶が吸蜜していた。
ミヤマセセリは1年に一度だけ成虫が現れる蝶で、こうした蝶を“年1化性”という。
ちなみに、1年に何回か卵から成虫のサイクルを繰り返す蝶は“多化性”と呼ばれている。
1化性の蝶の中でも、このミヤマセセリは成虫の出現時期が短いのが特徴だ。
幼虫で冬を越し、雪解けとともに蛹となり、慌ただしく羽化をする。
そして、多くは5月中には産卵を終えてその一生を閉じるのだ。
コナラなどの葉を食べて幼虫が育つので、雑木林が無ければこのチョウが定着することはない。
けれど、この時期には木々はまだ樹液を出してはくれないので、早くから咲く野の花で吸蜜することになる。
つまり、雑木林と草原が接するような環境でなければ出逢うことができない蝶なのだ。
ところで、蝶も日光浴をすることをご存じだろうか。
蝶は変温動物であり、外気温に体温が大きく左右される。
そのため、朝早くなどは翅を拡げて胴体に陽の光を浴び、体温の上昇を待たなければ翔び立つことができないのである。
ところが、日中に翔んでいると、翅を動かす筋肉が熱を持ち体温が上がりすぎてしまう。
そのため、日中は葉陰などに身を潜めて、夕方近くになって行動を再開するものが多い。
写真の個体は、翅を半開きにしているが、陽光の具合との相談で半開きがちょうど良い塩梅だったのだろう。
20100515 吸蜜するミヤマセセリ(ヒロイド原)
NIKON D90 70-300
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