ベニシジミの恋
川場村には、護岸工事が施されていない昔ながらの小川が残されている。
地形に沿ってゆったりと蛇行しながら雪解け水をサラサラと運び、田植えを待つ田んぼを潤している。
そんな小川を散歩していると、春の麗らかな陽射しの中で一頭のベニシジミがアブラナ科のハルザキヤマガラシに吸蜜にやってきた。
しばらく見ていると、もう一頭のベニシジミが翔んできて近くにとまると、翅を激しく、小刻みに振るわせ始めた。
先に来ていたのは雌のベニシジミで、後からやって来たのは雄蝶だ。
雌の気を惹こうと、求愛のダンスを始めたところだったのだ。
ベニシジミは、年に何度も羽化を繰り返す“多化性”の蝶で、川場村では4月の終わり頃から11月の中旬頃までの無雪期を通して出逢うことができる。
幼虫の姿で越冬し、雪解けとともに蛹となり、春の花が咲き始める頃に羽化するという生活史をもっている。
春に羽化する個体は“春型”と呼ばれ、“夏型”に較べると翅色が鮮やかだ。
この後、雌は、幼虫の食草であるスイバやギシギシのところへ翔び、卵を産み付けるのだろう。
ベニシジミが恋を謳歌し始めると、いよいよ春も本番だ。
20100508 ベニシジミ(生品地区)
NIKON D90 70-300
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コメント
ふじさん!
ありがとうございます!
そう言っていただけると舞い上がってどこにでものぼっちゃいそうです!
ベニシジミは都会でも見かける、ごくごく普通種なのですが、好きな蝶の一つです。
春の淡い光の中に見るベニシジミは、とくに大好きです。
投稿: くま | 2010年5月13日 (木) 16時30分
くまさんの写真は、
撮られている生き物たちが、
呼吸をしているように活き活きしていますね。
そして周りの空気も活き活きしています。
川場の五月のさっぱりした空気を感じて、清々しています。
投稿: ふじさん | 2010年5月13日 (木) 15時00分
yuriさん!
こんにちは!
コンクリート3面護岸を施された河川は死んでしまいます。
多様な生きものたちの住処とならないからです。
けれども一方で、農業生産のことなどを考えると、維持の手間がかからない方法ですので、農業にこれ以上コストをかけられないことを考えると必要な側面もあります。
難しい課題ですが、両立を図る途を探りたいものです。
投稿: くま | 2010年5月13日 (木) 10時37分
くまさん、こんにちは!
護岸されていない自然のままの川が川場村にはあるのですね! なんて素敵なんでしょう!
投稿: yuri | 2010年5月12日 (水) 19時43分
ごんさん!
そうですね。
ちゃんと四季があることも川場の魅力の一つですね!
投稿: くま | 2010年5月12日 (水) 14時25分
四季が失われつつあるとよく耳にするようになりましたが、こうした景色に出会えることは幸せですよね。
投稿: ごん | 2010年5月12日 (水) 13時32分