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2010年5月 3日 (月)

生き物たちの時計合わせ

20100503usubasaisinn1カタクリの群生地に、人の目を惹かない地味な花を咲かせている植物をみつけた。
よく見ると、そこかしこにある。

ウマノスズクサ科のウスバサイシンだ。

ウスバサイシンは、ヒメギフチョウという可愛らしい蝶の幼虫が食草としている。
ヒメギフチョウは、川場村では一度しか確認ができていないが、以前に比べると、ウスバサイシンの株数が増えているようなので、これから次第に戻ってきてくれることを期待している。

ヒメギフチョウは、その名のとおりギフチョウの近縁種なのであるが、ギフチョウとヒメギフチョウは地域的に綺麗に棲み分けており、その棲み分けの境界線は、ギフチョウ・ヒメギフチョウの学名から“ルードルフィア・ライン”と呼ばれている。

川場村は、このうちのヒメギフチョウ生息域に入っている。

ヒメギフチョウは、年1化性の蝶で、一年のうちカタクリに代表されるような“春植物(スプリング・エフェメラル)”と呼ばれるような植物の出現時期にしか、その姿を見ることはできない。
ギフチョウやヒメギフチョウがカタクリの花を訪れ吸蜜している姿は、春の生態写真の定番になっているが、ごく自然なことなのである。

そして、このウスバサイシンが葉を繁らせる時期が重ならなければ、ヒメギフチョウの幼虫が成育することはできなくなる。

ウスバサイシン自身は、ヒメギフチョウに花粉を運ばせる植物ではなく、ハエを花粉運搬者に選んでいるので、一方的に食草にされてしまっているのだが、カタクリが花を着ける時期にウスバサイシンも成長を始める、そしてその時期にヒメギフチョウが羽化をする。
まるで、お互いが協定を結んでいるかのようなこの関係が成立していることがとても面白い。

それぞれに春の訪れを感知する仕組みは違うはずだし、春の訪れ自体は、日の長さや気温や地温の上昇によって知ることができるとしても、それ以前に準備を始めていなければ、蝶は羽化を迎えることはできないし、花は開花することはできないのだから、なかなかに難しいタイミング合わせなのである。

時計もカレンダーも持ち合わせない生き物たちが、どのようにして季節の移ろいを計っているのか、とても不思議なことである。

20100503usubasaisinn2

20100426 ウスバサイシン
NIKON D300 105MICRO 

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川場の花図鑑2010」カテゴリの記事

コメント

こにタンさん!
こんばんは!

そうですか!
赤城姫とご対面でしたか!!
川場村では、某所で一頭だけ目撃したことがあるのですが、残念ながら写真に収めることはできませんでした…

きっと昔は川場村にもいたんだと思います。
川場姫が戻ってきてくれたら嬉しいんですけどね!

投稿: くま | 2010年5月 4日 (火) 22時53分

今日、初めて赤城山のヒメギフチョウを見に行ってきました。
今年は5月2日と遅れたようですが、
ひらひらと舞飛ぶ様子や交尾を見ることができました。

川場村にも春の舞姫が戻って来て欲しいですね!

投稿: こにタン | 2010年5月 4日 (火) 22時02分

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