ホソオビヒゲナガ
V字型の白い糸くずがフワフワと風に乗って漂っていた。
糸くずの長さは10cmほど、ヘリウムガスがだいぶん抜けてしまった風船が上がるでもなく、下がるでもなく漂っているときの動きとよく似ている。
こうして写真で見ると、躰の方が目立つのだが、飛んでいるときには不思議なほどにヒゲしか見えない。
ヒゲナガガ科に分類される“ホソオビヒゲナガ”だ。
成虫には、初夏の日中にしかお目にかかることはできない。
夏も盛りにはいると、静かに姿を消してゆく。
体長は2cmほどしかないのに、その数倍もの長さのヒゲをもっている。
もっとも、これほどまでに長いヒゲは雄にしかなく、雌のヒゲは雄のものの半分もない。
雄はヒゲが長すぎて上手く翔ぶことができず、タンポポの綿毛のように、ヒゲに風をうけて漂っている。
この長いヒゲは雌の発するフェロモンをいち早く察知するための感覚器官だと考えられているのだが、フェロモンを発する雌を発見できても、雄の行動は風任せ。
雌の臭いは風に乗って風上から、雄自身は風に乗って風下へ。
こんな状態でよく子孫を残せるものである。
20100606 ホソオビヒゲナガ(後山)
NIKON D300 105MICRO
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コメント
ミミミさん!
運命だねえ~
投稿: くま | 2010年6月18日 (金) 18時10分
あっはっは。
香りの元にはたどり着けず、むしろ遠ざかっていってしまう。
そんな状況を、ただ、じっと、胡座に腕組みでやり過ごしている。
渋くてコミカルな、お侍さんがみえます。
「運命かな」とか言っちゃって~♪
投稿: ミミ ミ | 2010年6月18日 (金) 14時40分
yuriさん!
なるほど!
言われてみればそう見えますね!
投稿: くま | 2010年6月18日 (金) 10時11分
くまさん、こんばんは。
葉っぱにとまっている時は、袴をはいた、まるで侍のような、凛々しい後姿にみえますが・・・。
投稿: yuri | 2010年6月17日 (木) 20時44分