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2010年6月12日 (土)

落とし文の季節

20100612higgenagaotosibumi

春のものとも初夏のものとも感じられるそよ風が肌に心地よい。

林道をのんびり歩いていると、展葉をはじめたアブラチャンの葉裏で信じられないような重労働に勤しむ一匹の小さな昆虫を見つけた。

雌の“ヒゲナガオトシブミ”だ。

この後、葉に卵を一つ産み付けると、そこを中心に器用に巻いていく。
やがて、卵から孵った幼虫は、自分の周りにある葉を食べて生長するのである。
いわば、食材でできた揺りかごで“揺籃(ようらん)”と呼ばれている。

写真の個体は、葉の中央に走る、主脈と呼ばれる葉脈に噛み傷を付けて、葉に水分と養分が届かないようにしてから、葉を縦半分に折りたたもうとしているところだった。

1cmにも満たないこの昆虫にとって、一枚の木の葉をくるくると巻いていく作業というのは、どれほどの重労働なのだろうか。
葉の長さだけで、体長の10倍近いし、幅だって5倍程度はあろう。
葉の厚みにしても体長の10分の1はある。
仮に身長が150cmの人間の女性ならば、長さ15m、幅7.5m、厚み15cmのシートに、手脚と口(歯)だけで挑んでいるようなものだ。

躰の仕組みも、力を出す機構も、人間とは全く異なる生物なので、人間に例えることにあまり意味はないのだが、それでも驚嘆すべき大仕事である。

ヒゲナガオトシブミが揺籃をつくる時期もそろそろ終わりを迎える。
木々の葉が、次第に堅くなり、同時に昆虫にとって有害な物質を貯め込みはじめるから、幼虫の餌にはむかなくなるのだ。

こんな小さな虫たちも、森林(やま)の時の流れを教えてくれる。

※“落とし文”の名の由来は→こちらから

20100606 揺籃を巻くヒゲナガオトシブミ(友好の森)
NIKON D300 105MICRO

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コメント

ふじさん!

過分なお言葉ありがとうございます!
励まされます!

ただ、そよ風のおかげで揺れて揺れて…
ピントが合いませんでした…
実は、記事中の第一行目はさりげない言い訳なのでした…

投稿: くま | 2010年6月14日 (月) 14時11分

そよ風の色がうつっていますね。

投稿: ふじさん | 2010年6月14日 (月) 08時56分

ごんさん!
こんばんは!

そうです!
短い短い新緑の季節ですよ!
森林(やま)に出かけなくっちゃ!

投稿: くま | 2010年6月13日 (日) 00時41分

そんな時期なのですね~。

オトシブミさんの揺りかごを見つけると嬉しくなりますo(*^▽^*)o
となりのトトロでメイちゃんがドングリ見つけるのと同じような気持ちかな♪

投稿: ごん | 2010年6月13日 (日) 00時14分

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