おじい?
後山の麓のセンサーカメラ(自動撮影装置)に、いつものように一頭のニホンカモシカが記録された。
頬からあごにかけてたくわえた豊かな顎髭、けっして楽しいことばかりではなかった人生のはずなのに、それをおくびにも出さないやわらかな眼差し。
きちんと歳を重ねてきた老爺のようだというのが第一印象だった。
けれども、写真をじっと見ていると、どうも体つきがやさしい。
もしかしたらと思い、角の部分を拡大してみると角輪の間隔が不均等だ。
以前にも触れたように、ウシの仲間であるカモシカには、雄ばかりではなく雌にも角が生え、ニホンジカなどとは違って角が生え替わることなく伸び続ける。
そして、餌の豊富な夏は角の生長も良く、逆に餌が不足する冬には角の生長が遅くなる。
そのため、一年に一つの段々ができることになる。
この段々を“角輪(かくりん)”という。
さらに雌の場合、妊娠・出産という、膨大なエネルギーを必要とするイベントがあった年には、角の生長にもブレーキが掛かり、結果として不均等な間隔の角輪が形成されることになるのだ。
つぶらな瞳の好々爺然としたこのカモシカは、実は経産雌なのだった。
人間の女性を相手に、こんな間違いをしでかせば、こっぴどくとっちめられてしまいそうだが、カモシカは許してくれていると思いたい。
幻の霊獣はそんな些細なことでカリカリしないのだ。
20100529 ニホンカモシカ(後山)
自動撮影装置
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コメント
ふじさん!
宮崎駿作画の“アルプスの少女ハイジ”に出てくる“おんじ”の雰囲気をもってると思いませんか!?
女の子なんですけど…(笑)
投稿: くま | 2010年6月14日 (月) 14時08分
市原悦子さんがかもしかになると、
こんな感じ。
投稿: ふじさん | 2010年6月14日 (月) 08時53分
yuriさん!
こんばんは!
こういうお爺ちゃんいますよね!
女の子なんですけどね(笑)
投稿: くま | 2010年6月12日 (土) 22時05分
くまさん、こんばんは!
何ともいえない、やさしい眼をしていますね!
投稿: yuri | 2010年6月12日 (土) 21時04分
ごんさん!
こんばんは!
“少女”は、いくら何でもきびしくありません?
あごひげだし…
でも、かわいいですよね!
投稿: くま | 2010年6月12日 (土) 00時10分
少女のような女性ですね(o^-^o)
投稿: ごん | 2010年6月12日 (土) 00時01分