二人静
フタリシズカはセンリョウ科の多年草。
薄日が射すような初夏の林床を目立たずに彩る。
その名から推測できるように“ヒトリシズカ”と近い仲間(同属)である。
ヒトリシズカは、一人舞う静御前の舞姿に花穂(かすい)を見たてた名だと云われているが、こちらのフタリシズカもやはり静御前に因み、世阿弥の能楽“二人静”から名付けられている。
“二人静”には、源義経が愛した静御前の没後のエピソードが描かれている。
神事につかう若菜を摘みにでた女性に静御前の霊が乗りうつり、神職の者に弔いを求め舞ううちに、女性から静御前の霊が姿を現し二人で舞を舞うというあらすじである。
フタリシズカの二本の花穂を二人の舞姿に見たてたのである。
ヒトリシズカは、川場村では、4月の終わりくらいから5月中頃にかけて花を楽しませてくれるが、フタリシズカは一月ほど遅れて清楚な花を見せてくれる。
ヒトリシズカが春を告げ、その後にフタリシズカが初夏の訪れを報せてくれるのだ。
フタリシズカの花が咲く頃、森林(やま)の下刈りを始めなくてはならない。
20100606 フタリシズカ(後山)
NIKON D300 105MICRO
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コメント
yuriさん!
こんにちは!
植物をはじめ、生物の和名を記す際にはカタカナを用いるのが一般的なのですが、漢字ではどう書くのか調べるのも楽しいものですよ。
その生き物を人間がどのように見てきたのか、人間とどのような関係にあったのか等々、様々なことが想像できます。
投稿: くま | 2010年6月26日 (土) 16時37分
くまさん、こんばんは。
昔のひとは、実にいい名前のつけ方をしますね。
でも、名前の由来についてこんなに詳しくは知りませんでした。
私は特に、この一人静、二人静の花の名前が好きです。もちろん、花そのものも。
投稿: yuri | 2010年6月25日 (金) 22時12分