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2010年7月の26件の記事

2010年7月31日 (土)

ヤマネの生息状況調査

20100731yamane

8月2日から6日の4泊5日で“こどもやまづくり教室(小学校4~6年生が対象)”と“川場まるごと滞在記(中学~高校生が対象)”を並行実施する。
どちらの教室も私が塾長を仰せつかっている“森林(やま)づくり塾”のなかに位置づけられている教室である。

この夏の統一テーマは、森林に棲む様々な生き物を知ることだ。

具体的なプログラムは、蓋を開けてのお楽しみでもあるし、天候や参加者の健康状態等々によって流動的になるものなので、ここでは伏せておくことにするが、企てを一つだけ紹介しておこう。

川場村の森林(やま)には、ヤマネが棲んでいる。
正式和名は“ニホンヤマネ”。
わが国の固有種であり、成獣の平均体長(尾を含めない)は8cmほど、同じく平均体重は、なんと、僅か18g。鶏卵の三分の一ほどの重さしかない極めて小型の齧歯類(ネズミの仲間)だ。

夜行性の動物であり、また樹木の上で生活する動物であり、さらに、前述のように極めて小さい動物でもあるため、人間の目に触れることはまず無い。

わが国最古の哺乳動物であるとも考えられていて、“生きた化石”などと呼ばれることもある。

今回の教室では、こんなヤマネの生息調査をしてみようと思っているのだ。

ヤマネの巣箱を作成し、森林内に仕掛け、センサーカメラで記録を行いたいと思っている。

参加者たちの川場村滞在中に、彼らの姿を確認することは難しいだろうが、動物研究の専門家が用いるのと同じ方法で子ども達が調査を開始するのだ。

国の天然記念物でもあり、群馬県・国の双方のレッドデータリストに“準絶滅危惧種”として記載されている動物の調査を子ども達が行うことにワクワクしてしまう。

今回の写真は、いつもお世話になっている“世田谷区民健康村”の若手のホープ、本木美穂さんから拝借した。
一昨年の秋に、なんとバーベキュー場の薪の間から転がり出てきた、生後約2~3週間ほどのヤマネの赤ちゃんだ。
一緒に写り込んでいる新聞の文字の大きさと較べてみると、その小ささが分かるだろう。

20080925 ヤマネの赤ちゃん(友好の森・本木美穂撮影)

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2010年7月30日 (金)

カモシカの夏の乗り切り方

20100729kamosika_3後山には、片手の掌でせき止めることができるほど小さな小さな湧水点がある。
これほど細い流れなのに、一年中涸れることがない。

この湧水点に向けて自動撮影装置を設置してからほぼ一年が経とうとしている。

その結果、これまでに、様々な動物が訪れてくれていることが分かってきた。

ホンドリス、テン、ホンドキツネ、ノウサギ、タヌキ、アナグマ、ハクビシン、ニホンカモシカなどである。

なかでも、ニホンカモシカの写る頻度が突出して高い。

画像からの判断では、写真のパンダのように四肢が黒く胴が白い個体と、全身が黒褐色の個体の、2個体が入れ替わり立ち替わり利用しているようだ。

けれども、同時に記録されることはないので、どうやら重なり合う別々のテリトリー(縄張り)をもつ個体の共同使用地になっているようだ。

この日も、午前11時頃に現れると、ほぼ1時間もの間、腹を水に浸け休んでいった。

全身を地べたに擦りつけるような、いわゆる“ヌタを打つ”と呼ばれるような行動ではなく、静かに利用する水辺であるようだ。

定点の観測を続けていると、じわじわと色々なことが見えてくる。

20100706 腹を冷やすニホンカモシカ(後山)
自動撮影装置

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2010年7月29日 (木)

季節外れの赤い実

20100729totibaninnjinn2

サルトリイバラの実のように、赤い実は秋冬の実だというイメージがある。

10日ほど前にタケさんのところの“前の森”を散歩した際に目についた。
その時には、何という植物なのか分からなかったのでタケさんに聞いてみると、“トチバニンジン”だという。

帰ってから色々と調べてみると、やはり、実をつけるのは、通常秋であるようだ。
今年の異常な気候と季節が、秋の実を初夏につけさせたのだった。

トチバニンジンは、ウコギ科の多年生草本で、一年に一節ずつ生長する節くれ立った地下茎の様子から“竹節人参(ちくせつにんじん)”という別名も付けられている。

20100729totibaninnjinn1有名な朝鮮人参とも近い植物だけあって、薬効も認められており、解熱・去痰・健胃整腸などの他、局所刺激作用があることから育毛剤などにも用いられている。

植物学上は、葉は5~7枚の小葉からなる複葉であると説明される。

話は戻るが、この異常な季節変化が、地球が鼻風邪を引いたくらいならよいのだが、大病の兆しだとすると大変なことである。

20100729 トチバニンジン(小田川地区)
NIKON D90 105MICRO

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もうすぐ!

20100729kodomoyamadukurikyousitu

今年も“こどもやまづくり教室”の季節がやってきました!

世田谷区と川場村から、約30名の小学生(4~6年生)を参加者に迎え、川場の森林(やま)を楽しんできます。

植物のこと、昆虫のこと、動物や野鳥のこと、様々な自然に触れてみたいと思います。

林業のこと、農業のこと、地域の生活のこと、様々な文化に接してみたいと思います。

世田谷の小学生と川場の小学生が出逢い、協力し合い、ぶつかり合いながらの4泊5日です。

このブログでも、できるだけオンタイムで経過をお知らせしていこうと思っていますので、お楽しみに!

世田谷区民健康村なかのビレジのスタッフがお送りするオフィシャルブログでも、きっと様子を伝えてくれることと思います。

どうぞお楽しみに!

期間は、8月2日から5日までです。

20080809 赤倉渓谷
NIKON D300 70-300

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2010年7月28日 (水)

アオジョウカイ

20100728aojoukai

これも後山での出遭い。

獲物を探して徘徊中のアオジョウカイに出遭った。

写真では、よく分からないかもしれないが、後翅が光りの加減によっては深い瑠璃色に輝くことから“青”の字を名前に冠している。“青”というよりは“碧”のほうがよいようにも思うのだが。
そして、後半の“ジョウカイ”は“ジョウカイボン”の省略形。
ジョウカイボンは漢字で書くと“浄海坊”。
平清盛の法名だが、なぜこの名が付いたのかについては以前の記事をご参照いただきたい。

このアオジョウカイ、主に昆虫を食べる捕食性の昆虫だが、花の蜜も食べるのだという。
まるで、肉料理の後にスィーツを所望する美食家のような食性だ。

川場村に分布する高等植物(コケなどを除く植物)は約1200種ほど、昆虫は1万種を超えるだろうと推定しているのだが、本当に様々な生物が、それぞれに関係し合いながら、それぞれに役割をもって自然を構成している。

この極めて複雑な関係を理解しなければ森林(やま)づくりが功を奏することはない。

このアオジョウカイも、自然界の中で何らかの役割を担っているのである。
2cmにも満たないこの虫に目を向けることも、森林(やま)づくりの一歩なのだ。

20100719 アオジョウカイ(後山)
NIKON D90 105MICRO

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2010年7月27日 (火)

ヨツスジハナカミキリ

20100727yotusujihanakamikiri

後山の林道を歩いていると、木洩れ日の中でタケニグサの花がスポットライトを浴びるように輝いていた。
まるで、アンティークのシャンデリアのように、豪華だけれども下品ではなく。
ほの暗い林内に彩りを添えていた。

ふとみると黄色と黒の縞模様の虫が花にとりついていた。
スズメバチのような体色だが、ヨツスジハナカミキリというカミキリムシの仲間である。
花粉や蜜を食べる昆虫で、もちろん毒はないのだが、「うかつに近寄ると刺すわよ!(嘘だけど…)」というわけである。

このように、毒のある他の生物に体色等を似せて、あたかも有毒であるかのように振る舞う擬態は“ベイツ型”擬態と呼ばれている。

イギリス人のヘンリー・ベイツ氏が、南米の毒蝶(モデル)と無毒のシロチョウ(ミミック)の翅の模様が酷似していることから、こうしたタイプの擬態が存在することを発見したことに因んでいる。

このヨツスジハナカミキリは体長13~20mmほどと、ハナカミキリの仲間の中では比較的大型の種で、日本全土に分布する。
幼虫は、スギやヒノキなどの枯れ木の中を食べ進みながらトンネルを穿ち、蛹の期間を経て、6月末頃に成虫になる。

20100719 タケニグサの花にやって来たヨツスジハナカミキリ(後山)
NIKON D90 105MICRO

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2010年7月24日 (土)

シカの個体識別

20100723nihonnjika

10日ほど前の7月11日、自動撮影装置に一頭のニホンジカが記録された。

自動撮影装置では、個体の識別までは難しいことが多いのだが、この鹿の場合、はっきりとした特徴が見られた。

この時期なので、まだ袋角なのではあるが、右の角は二叉に分岐しており、右の角は“ゴボウ角”と呼ばれる分岐しない一本角であることがわかる。

遺伝的な奇形なのか、はたまた何かのアクシデントで左右の生長のバランスがくるってしまったのか、真相はおそらく当人(鹿)にも分からないことに違いないのだが、個体識別には大いに役に立つ。

この個体は、およそ一週間後の7月18日にも再び記録されているので、この獣道を定期的に利用しているのだろう。
また、明らかに異なる角を持つ個体や、角を持たない個体なども記録されているので、同じ獣道を複数の個体が共有していることも確かめることができた。

動物行動学をベースにしたユニークな作品を世に送り続けている竹内久美子さんによれば、“モテる”生き物は、身体がきれいな左右対称になっているとのことだが、その伝でいけばこの鹿は“モテない”ということになりそうだ。

20100711 左右非対称の角を持つニホンジカ(ヒロイド原)
自動撮影装置

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2010年7月23日 (金)

スジボソヤマキチョウ

20100723sujibosoyamakityou

わけもなく苦手な被写体というのがある。
私にとっては、シロチョウ科の蝶がそれで、最も一般的なモンシロチョウでさえもまともに撮せたためしがない。

今度こそはと思ってカメラを向けるのだが、必ずといってよいほど、手ブレをしたり、ピンボケだったり。

このスジボソヤマキチョウもそんな苦手な被写体の一つであった。
やはり、生物学上の分類はシロチョウ科。
川場村の山中では、決して珍しい蝶ではないのだが、これまで紹介することができなかった。

蝶の中では長命で、6月頃に蛹から羽化すると、成虫(蝶)のままで越冬し、翌春に産卵をする。

比較的、山地性の高い蝶で、街中で見かけることはまず無く、林道を歩いているときなどに出逢うことが多い。

この日も、センサーカメラ(自動撮影装置)が撮りためたデータを回収するために、うだるような暑さの中を一人黙々と歩いているときに出遭った。

写真に見られるような黄緑がかった黄色い翅で、淡緑の葉の上にいると、景色と同化して見つけることが難しい。

20100719 スジボソヤマキチョウ(後山)
NIKON D300 70-300

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2010年7月22日 (木)

ツツゾウムシ初見

20100722tutuzoumusi

タケさんのところの“前の森”を朝に散歩していると、コナラの枝に一匹のゾウムシを見つけた。

体長は1cmほどで、ゾウムシの仲間の中では比較的大きな種類である。

ゾウムシの仲間も、なかなかに奥が深い。
この種も、その場では同定できずに帰ってから図鑑やWeb上の情報を頼りに“ツツゾウムシ”であろうと結論づけた。

私の極めていい加減な昆虫写真コレクションの中には見あたらず、私にとっては初お目見えのゾウムシだ。

図鑑によれば、「ブナ科の樹木によく訪れる」とあるが、この個体もコナラの枝先にいた。

躰の茶褐色の斑点は、蛹から羽化したばかりの個体に見られる特徴で、躰の模様ではなく、粉をふいているのだそうだ。
そのため、羽化後しばらく経つと、この粉はとれてしまい、暗褐色の体色をしめすという。

幼虫は、コナラを始めとするブナ科の倒木を食べて育つので、この虫も、やはり土をつくる仲間なのである。

このように、本種を含む様々な虫たちが倒木を食べて糞とすることで次世代の植物が育つ地盤ができあがる。

20100719 ツツゾウムシ(小田川地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2010年7月21日 (水)

メスグロヒョウモン(♀)

20100721mesugurohyoumon

気温は35℃近かったのではないだろうか。
そのうえ湿度も高く、息苦しい炎天下の川場村を訪ねた。

暑くはあっても湿度が低く、爽やかな気持ちでいられる、いつもの川場村の夏とは違っていた。

そんな中で、後山の林道を一人歩いていると、繁った草の間に一頭の黒い蝶が目にとまった。
始めは、ミスジチョウの仲間かと思ったのだが、ファインダー越しによく見ると、どうも違うようだ。

タテハチョウ科の“メスグロヒョウモン”である。

これまで、メスグロヒョウモンの雄には、時々お目にかかっていたのだが、不思議と雌には出遭うチャンスがなかった。

名前のとおり、“雌は黒い”という蝶で、雄は他のヒョウモンチョウ同様オレンジの地色に黒点を散らした翅を持っている。
雌雄でこれほど異なった色の翅をもつ蝶も珍しい。

北海道から九州・四国に至る全国に分布する蝶で、林道のように、林内の開けた明るい場所で出遭うことができる。
幼虫はスミレの葉を食草にしているので、こういう環境に多いのだろう。

世間様は3連休だったようだが、福岡→川場村→新潟とめまぐるしく動き回った怒濤の4日間がようやく終わった。

20100719 メスグロヒョウモンの雌(後山)
NIKON D300 70-300

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2010年7月16日 (金)

タケニグサの花

20100716takenigusa2

タケニグサの花にこんなに近づいてみたことがなかった。
なんとも不思議な造形だ。

雌しべをとりまく、波打つ糸状のものは雄しべで、花弁はない。

タケニグサは、ケシ科の多年草で、各種の皮膚病や水虫などに効果のある生薬として用いられることもあるが、プロトピンなどのアルカロイドが薬効成分なので、専門家による処方に基づかなければ、逆に有毒植物となってしまうから注意が必要である。
この成分を内服すると、酩酊・昏睡・呼吸麻痺・心臓麻痺などを引き起こす場合もある。

伐開地に現れる“パイオニア”植物でもあり、明るい陽射しのもとで2mもの草丈に育つ。

“タケニグサ”は“竹似草”とも“竹煮草”とも書き表される。
前者は下の写真中央に見られるように、茎が中空になっていることから、これをタケに見たてたもので、後者は、竹を細工する際に本種とともに煮ると自由に曲げることができるようになると云われることから名付けられた。

タケニグサは、まさに下刈りのシーズンを代表する植物である。

20100716takenigusa1

写真上:20100711 タケニグサの花(友好の森)
NIKON D300 105MICRO
写真下:
左…20070613 全草(ヒロイド原)
中…20090819 切り口(ヒロイド原)
右…20070810 花序(友好の森)

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2010年7月15日 (木)

ネジバナ

20100715nejibana2

長くのびた花茎に小さな花を螺旋階段のようにつけるのは、ラン科の多年草の“ネジバナ”だ。

一つ一つの小さな花は、よく見ると5弁が鮮やかなピンク色、唇弁はフリルの付いた純白。
近づいてじっくりと観察をすると、なるほどランの仲間であることが分かる。

20100715nejibana1根は菌根で、植物の遺体、つまり枯れ葉などを分解する担子菌を菌根菌として共生している。
ランの仲間には、このように菌根菌との共生が成り立って初めて生育が可能なものが多いのである。

人間の目には見えないが、菌類も森林(やま)を育てる仲間なのだ。

「生物多様性」という概念はとても大切なものなのだが、どうしても、目に見えるレベルで議論されがちである。

目に見えない微細な生物や、病原菌のような人間にとっては迷惑な生物も地球上の生物環境をかたちづくる一員なのだから、「生物多様性」の大切さを主張する際には、こうしたミクロの世界にも思いを及ばすことが重要なのだ。

20100711 ネジバナ(後山)
NIKON D300 105MICRO

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2010年7月14日 (水)

コマツナギ

20100714komatunagi

マメ科の落葉低木のコマツナギ。
コマツナギは漢字では“駒繋ぎ”と表記される。
読んで字のごとく、「馬を繋ぐ」という意味だが、太くなってもせいぜい鉛筆ほどの太さの茎、高くても1mを超すことはない背丈。
とても馬を繋ぐことなどできなさそうであるが、丈夫な茎と根がこのような名前の由来となっている。

ハギの仲間のような葉と、クズのような花を併せもっていて、まさにマメ科という植物である。

背丈の低さや茎の細さから、見た目は草本のようなのだが、れっきとした樹木(木本)なのである。

頻繁に草が刈られるような土地によく見られる植物なのだが、刈られても刈られても新芽を吹き出すほど逞しい生命力をもっている。

写真の株には、後山の参道で出遭ったのだが、川場村では初めて確認することができた。

20100711 コマツナギ(後山)
NIKON D300 105MICRO

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2010年7月13日 (火)

白いヤマホタルブクロ

20100713yamahotarubukuro

後山の山頂で白いヤマホタルブクロが咲いていた。

川場村では、紫色のものが一般的で、白い花は珍しい。

一節によると、西日本では白花、東日本では紫花という傾向もあるようで、それが近年シロバナの東進が確認されているようだ。

このブログとリンクをお願いしているピッコロさんのブログでも同様の記事を目にしていた。

先達てお伝えしたように、今年はイカリソウでも、これまで見なかった色の花を確認しているし、やはり自然界に変化が訪れているのかもしれない。

けれど、その“変化”について、なんでもかんでも“地球温暖化”が原因だとするのは、短絡的に過ぎるし、実は自然と向き合う態度の放棄だと思う。
流行の言葉の中から、現象にマッチする言葉を選ぶのではなく、じっくり自然を観察し、思考をめぐらせることが大切なのだ。

川場村の自然とじっくり向き合いながら楽しんでいきたいものだ。

20100711 ヤマホタルブクロの白い花(後山)
NIKON D300 105MICRO

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2010年7月12日 (月)

体験教室

20100712taikennkyousitu2010年度最初の森林(やま)づくり塾“体験教室”を開催した。
7月10日から11日にかけての一泊二日。

“体験教室”は、川場の森林に親子で親しんでいただくための教室だ。

参加者は総勢約30名。
とくに年齢制限は設けてはいないのだが、小学生くらいの子ども達と、その親御さんが元気に参加してくれた。

初日(7/10)は、私たちの活動拠点である“友好の森”をゆっくりと散策しながら、“ヒロイド原”まで出かけた。

ヒロイド原では、一昨年から環境整備を進めている水辺周りの草刈りを行った。

草刈りに驚いた虫たちが舞い出すと、アカトンボが沢山集まってきたり、サワガニを見つけたり、子ども達は大興奮。

小さな手鎌での作業だったのに、草に埋もれかけていた水辺がみるみるうちに生きかえった。

二日目(7/11)は、地元の方との交流。

民宿の岩田渡さんのご夫妻から、“あんぴん”づくりを教わった。
川場村では、あんころ餅を“あんぴん”とよぶ。

ちゃんと餅つきも自分たちでして、甘くて美味しい“あんぴん”が完成。

お母さんたちは、とれたてのキュウリを自家製味噌で味わったり、きゃらぶきやカリカリ梅・山椒の若芽の佃煮の作り方を教わって大満足。

帰り道には、宮田果樹園さんで開催中の写真展も楽しんだ。
ながく川場村を撮り続けてくれている飯田裕子さんの作品による写真展で、川場村の名峰、武尊山が中心。

森林(やま)の動植物を観察したり、森林づくりのための作業を体験したり、地元の味に舌鼓を打ったり、武尊の風景を楽しんだりと、盛りだくさんの二日間だった。

参加者の中から、川場村の、そして森林のファンが生まれてくれることを期待したい。

※体験教室の様子は→、こちらからもどうぞ。

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2010年7月11日 (日)

★新ブログ★

いつもお世話になっている川場村の世田谷区民健康村のスタッフ発信のする、新しいブログがスタートしました!

その名も“Village Standard”

川場村に流れる折々の時間を届けてくれています。

現在のところ、まだ試験運用中ですが、ぜひご覧下さい!

“Village Standard”は→こちらからどうぞ!

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2010年7月10日 (土)

“わくさ”3種

20100709kamemusi

カメムシの仲間は生物学上は“半翅目”というグループに分類されているのだが、このグループがまた極めて多くの種を含んでいる。
生物の分類上は、“目(もく)”の下位に“科”が置かれ、その下に“種”が置かれていて、この“半翅目”には、アブラムシ科・アワフキムシ科・オオヨコバイ科・カメムシ科・キンカメムシ科・セミ科・ハネナガウンカ科等々が含まれる。

上の2枚の写真は“アカスジキンカメムシ”で、キンカメムシ科。
下の写真は、左が“ツノアオカメムシ”、右が“クサギカメムシ”で、双方ともカメムシ科に分類されている。

いろいろと“うるいさい”生物学上の分類はさておいて、川場村では何れも“わくさ”で通っている。
※カメムシの多彩な地方名については→こちらから

7月4日にヒロイド原を歩いたときには、この3種のカメムシがずいぶんと目についた。
コナラやミズキ、ケヤキなどには、どの樹にも何匹ものカメムシがいて、初めて見る光景であった。

梅雨の合間の好天に、これを逃していかんとばかり、慌てて樹液を吸いに来たのだろうか。
カメムシの仲間は、幼虫時代には群れていることも多いが、成虫が集団でいるのは初経験である。

よく知られた臭い匂いさえ出さなければ、もっと愛された虫たちだったに違いない。
それぞれに個性的で、際立つ美しさをもっている。

20100704 3種のカメムシ(ヒロイド原)
NIKON D300 105MICRO

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2010年7月 8日 (木)

子育て真っ最中

20100708anaguma2

ひと月ばか放ったらかしにしてしまっていた自動撮影装置の画像を確認すると、珍しい画像が記録されていた。
6月17日の画像である。

一頭のアナグマが記録されていたのだが、アナグマが記録されること自体は珍しいことではなく、むしろ頻繁に記録され続けているといってもよい。

この画像が珍しかったのは、巣穴に赤ちゃんを待たせて餌探しに出かけている雌のアナグマが記録されたからなのである。

その証拠に、下の写真は、上の写真を拡大したものなのだが、授乳期特有の張ったお乳がはっきりと写っている。

20100708anaguma1

昨年の記録では、6月末には子連れのアナグマが記録されているので、今年もそろそろだとは思うのだが、この写真の時点では、まだ授乳中であることが確認できたことになる。

巣穴で待つ赤ちゃんたちにちゃんと母乳をあげるために、餌探しに懸命なのだろう。

20100617 お乳の張ったアナグマ(後山)
自動撮影装置

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疥癬症の深刻化

20100708tanuki

とても正視に耐えないほど痛々しい姿だ。

後山の山裾に仕掛けてある自動撮影装置に写されるタヌキは、疥癬症に冒されたものばかりである。
これまでの記録と較べても、疥癬症は確実に深刻化している。

村内の多の場所に設置しているカメラには、皆無ではないが、これほど疥癬症のタヌキが多く記録されてはいない。

地元の農家に聞くと、畑仕事に行こうとしたらフラフラとよろけながらタヌキが歩いてきたのを見たという。
自動撮影装置の記録からも明らかなのだが、タヌキは夜間に行動する夜行性の動物であるのに、昼間にこうした光景を目にしたのだという。
しかも、一仕事終えて、来た道を帰ろうとすると件のタヌキが事切れていたという。

他所での観察例でも、疥癬症が進行した動物が、あまりの痒さゆえに異常行動をとることがあるというが、夜行性のタヌキが昼間に出てきたというのも、異常行動と捉えることができるだろう。

自然界は、可憐な花や可愛らしい小鳥など、美しく牧歌的なものばかりで構成されているのでは決してない。
厳しくも、ときにはむごたらしくもある。

“生物多様性”を守るということは、この疥癬症を引き起こすダニも自然界を構成する一員として認めることから始まる。

趣味の域を超えた森林(やま)づくりが必要なのだ。

20100630 疥癬症の進行したタヌキ(後山)
自動撮影装置

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蜘蛛の巣

20100708kumonosu2
20100708kumonosu1

不当に忌み嫌われることが多いのがクモである。
まったくもって不当である。

クモがいなかったら、と想像するのも怖ろしい。

農業も壊滅的な被害を受けることになるだろうし、森林もその姿を保つことはできない。
それくらい多くの虫を補食している。

上は“コガネグモ”。
大型のクモで、とても美しい配色をしている。

下は、その名も“ウズグモ”。
見てのとおり、渦巻き状の模様を巣に描くことが特徴である。

コガネグモが足場にしている、巣に描かれた“X(エックス)”マークも、ウズグモの巣に見られる渦巻きも“隠れ帯(かくれおび)”と名付けられている。

“隠れ帯”は、クモの代表的な捕食者である小鳥を脅かすための模様だとか、クモの餌となる昆虫からクモ自身の姿を隠す為のもの(ここから名付けられた)だとか、餌となる虫が花だと思って近づいてくる機能をもっているとか、様々に推測されている。

人間の目で見ると、今ひとつ説得力に欠けるようにも思われるのだが、多くの昆虫は紫外光で物を見ており、この隠れ帯は、紫外光で見るととてもよく目立つものなのだそうだ。

機能はともかくも、これだけの造形をクモがやってのけるということが面白いし、不思議でならない。

クモたちもまた、森林(やま)づくりの仲間なのである。

上:20100703 コガネグモ(中野地区)
下:20100703 ウズグモ(中野地区)
NIKON D300 105MICRO 

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2010年7月 7日 (水)

カミヤコバンゾウムシ

20100707kamiyakobannzoumusi1

先日お伝えした、キアゲハが来ていたオカトラノオのすぐ傍で、珍しい昆虫を見つけた。
ゾウムシの仲間で“カミヤコバンゾウムシ”という。

カタカナで書くとどこで切ったらいいかも分からない名前だが、象の鼻のように長い口吻を持つことから“ゾウムシ(象虫)”。
そして、背中側から見ると、体形が小判のようなきれいな楕円形をしていることを付け加えて“コバンゾウムシ(小判象虫)”。
さらに、真相はわからないのだが、神谷さんか上谷さんか、いずれにせよ、おそらくカミヤさんが発見者なのだろう、“カミヤ”の名を冠している。
そういうわけで“カミヤコバンゾウムシ”なのだ。

このコバンゾウムシの仲間は、花にやって来て、ふくらみ始める前の子房(種子を育てる器官)に長い口吻をドリルのように使って穴を空け、卵を産み付けるという特徴をもっている。
やがて孵化した幼虫は、子房の中の種子を食べて生長するが、種子を食べられてしまっても子房は生長を続けるので、コバンゾウムシの幼虫は子房を揺りかごに外敵や風雨から身を護りながら生長を続けることが出来るのである。

コバンゾウムシの仲間は、キボシコバンゾウムシはタニウツギ、チビコバンゾウムシはツリガネニンジンというように種類ごとに寄り付く花が決まっていて、本種はホタルブクロ専門だ。

さてさて、自分でもよく見つけたものだと思うのだが、このカミヤコバンゾウムシ、ともかく小さいのである。
体長は約3mmほどしかない。
当然、上の写真はかなり拡大してあるのだが、同じものをホタルブクロ(ヤマホタルブクロ)の花全体が納まるように引いて撮影したのが下の写真である。
花の付け根の萼片の上にちょこんといるのが見つけられるだろうか。

20100707kamiyakobannzoumusi2

20100704 カミヤコバンゾウムシ(後山)
NIKON D300 105MICRO

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2010年7月 6日 (火)

自動撮影装置の再設定

20100706nihonnjika

2008年の8月から設置し続けていた自動撮影装置があった。
川場村に私が設置したものの中では一番長い間稼働させていた一台だ。

設置以来ほぼ3年が経過したことになるのだが、最近、どうも成績がよくなかった。
傍に獣の踏み跡があるのにカメラのアングルに収まらなくなってきていたのだ。

この傾向は、様々な研究者が異口同音に云うことと合致している。
つまり、3年ほどで動物たちがカメラを避け始めるというのだ。

それはそうだと思う。
通る度にピカッと光る怪しげな装置の前をわざわざ通る必要はないだろう。

そこで、今年の6月6日に少しだけカメラを移動してみた。
前に狙っていた地点を別の角度から写すようにカメラの位置を変えてみたのである。

約一ヶ月が経過して、データの回収を行った。

どうやら、作戦は成功したようだ。
以前のような頻度で、様々な動物が再び記録され始めた。
この一月の間に記録されたのは、写真のニホンジカを始め、うり坊を連れたイノシシやツキノワグマなど、ちょうど30カット。

またしばらくは、川場村の動物調査に一役買ってくれそうである。

20100610 ニホンジカ
自動撮影装置

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オカトラノオとキアゲハ

20100706kiageha

川場村だとは思えないような蒸し暑さの中で後山に上がった。
ほんの数十メートルばかり歩いただけで汗が噴き出してくる。
それでも虚空蔵さんのお堂を過ぎて展望台付近まで来ると、いくぶん風邪が爽やかでほっとすることができた。

展望台の辺りにはオカトラノオが咲き乱れ、ヒョウモンチョウやセセリチョウなど様々な蝶が束の間の好天を惜しむように花から花へと舞ながら吸蜜に励んでいる。

その中で、一際目立っていたのが写真のキアゲハだった。
オカトラノオの花はとても小さいので、おそらく一息で蜜を吸い尽くすのだろう。
ゆったりしているようでいて、ストローのような口は忙しく動いている。

キアゲハは、とても広い範囲に棲息する蝶で、都市部から高山まで様々なところで出遭うことができ、幼虫はセリ科の植物の葉や花を食べて育つ。
川場村では、シシウドやハナウドなどで幼虫を見かけることが多い。
これらの植物は、完全に開けた草原よりは林縁部などに多いので、森林(やま)と草原が接するような環境がキアゲハには向いているようだ。

オカトラノオの実にすっきりとしたデザインの5弁の花がとても可愛らしい。

20100706okatoranoo

20100704 オカトラノオに吸蜜に来たキアゲハ(後山)
NIKON D300 105MICRO

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2010年7月 5日 (月)

豪雨の合間

201007005sobatosijimityou1

久しぶりの川場村。
宿泊は世田谷区民健康村の“ふじやまビレジ”。

このところ、晩になると激しさを増す豪雨の影響で、村内では60ヶ所あまりに地滑りや畑の冠水等々の被害が出ているときいた。
幸いなことに人身被害は出ていないようでホッとしたが、川から溢れた水が運んだ土砂の片付けや用水路の補修他、様々な苦労があるようだ。

雨がなければ農作物も干上がってしまうし、多すぎれば畑が土砂で埋まってしまったり、農家の方は本当に大変だ。
このシーズンは被害甚大だとはいえ、森林(やま)が豊かな川場村だからこそ、この程度で済んでいるのである。

そんな荒天続きの中でも、日中は青空が顔を覗かせる。
短い時間の陽射しをむさぼるように虫や動物たちが動き回っていた。

201007005sobatosijimityou2ふじやまビレジの前のソバ畑も秋蕎麦の花が満開で、様々な昆虫が蜜や花粉を求めて賑やかだ。

遠目には純白に見えるソバの花も、拡大してみると雄しべの先端がほんのりピンク色で可愛らしい。

どこかで激しい雨をやり過ごしていたのだろうか。
一頭のベニシジミが吸蜜に訪れた。

ベニシジミは、無雪期であればいつでも見られるし、どこでも出遭うことができるごくごく普通種なのだが、とても美しい蝶だと思う。

20100704 ソバの花とベニシジミ(谷地地区)
NIKON D300 105MICRO

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2010年7月 4日 (日)

ニホンザル初記録

20100703saru_4

6月6日。
太郎地区に新たなセンサーカメラ(自動撮影装置)を設置した。
この地区は、ニホンザルによる被害が目立つ地域である。
畑に隣接する森林(やま)端に設置したのだが、はたしてどのような動物が記録されるのかドキドキしながらのデータ回収となった。

ハクビシンにタヌキ、アナグマ、ニホンカモシカ、ノウサギなどとともに、一頭のニホンザルが記録されていた。

写真に見る限り、壮年期の雌ザルようだ。

猿害に悩む地域にカメラを設置したのだから、当たり前といえばそれまでなのだが、村内に私が設置したカメラにニホンザルが記録されたのは初めてのことなので、嬉しくなってしまった。

もっとも、この地域の方々にとっては嬉しいどころではないはずなのであるが、ちゃんと装置が機能したことも含めて、私には嬉しい記録であった。

地域に存在(棲息)すると思っていた動物が実はいなかったり、全くいないと思われていた動物が沢山いたりと、地域の方々の感覚的・経験的な自然の把握が不十分であることも多い。

丹念な、データ収集と専門家による分析を経てから、保護や対処の方法を講じることが必要だ。

20100618 サル(太郎地区)
自動撮影装置

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2010年7月 2日 (金)

やあ!

20100702himekurootosibumi

田の畦を歩いているときに、みょうに左腕がこそばゆい感じがした。
何とはなしに腕を見て吹き出してしまった。

一匹のヒメクロオトシブミが右手をあげて「やあ!」と挨拶をしてくれているではないか。
それも、ちょっと照れながら。
なぜか、そんなふうに見えて頬がゆるんでしまった。

この出遭いは6月6日のことだったから、彼女たちが盛んに“落とし文”(揺籃)を巻いているシーズンなので、季節的には不思議はないのだが、田の畦で出遭ったことがとても意外だった。

ヒメクロオトシブミは、ブナ科やバラ科、カバノキ科など、比較的多様な樹木の葉を幼虫の食草に選んで揺籃をつくるのであるが、何れにしても、田んぼで出遭う昆虫ではない。
このときは、飛翔移動中に何かの都合でひと休みしたのが私の腕だったのだろう。

それにしても、左腕に彼女を見つけてから、そーっとカメラを取り出してシャッターを切るまでの間、ずっと「やあ!」のポーズのまま。
何かの拍子で前足を上げた時に、ちょうど私と目が合ってしまい、そのまま固まってしまったのかもしれないが、とにもかくにも、心和むひとときであった。

ほぼ一ヶ月に及んでしまった“川欠(川場欠乏症)”も今日でおしまい。
明日は久しぶりの川場村である。

20100606 腕にとまったヒメクロオトシブミ(太郎地区)
GR DIGITALⅡ (トリミング)

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