疥癬症の深刻化
とても正視に耐えないほど痛々しい姿だ。
後山の山裾に仕掛けてある自動撮影装置に写されるタヌキは、疥癬症に冒されたものばかりである。
これまでの記録と較べても、疥癬症は確実に深刻化している。
村内の多の場所に設置しているカメラには、皆無ではないが、これほど疥癬症のタヌキが多く記録されてはいない。
地元の農家に聞くと、畑仕事に行こうとしたらフラフラとよろけながらタヌキが歩いてきたのを見たという。
自動撮影装置の記録からも明らかなのだが、タヌキは夜間に行動する夜行性の動物であるのに、昼間にこうした光景を目にしたのだという。
しかも、一仕事終えて、来た道を帰ろうとすると件のタヌキが事切れていたという。
他所での観察例でも、疥癬症が進行した動物が、あまりの痒さゆえに異常行動をとることがあるというが、夜行性のタヌキが昼間に出てきたというのも、異常行動と捉えることができるだろう。
自然界は、可憐な花や可愛らしい小鳥など、美しく牧歌的なものばかりで構成されているのでは決してない。
厳しくも、ときにはむごたらしくもある。
“生物多様性”を守るということは、この疥癬症を引き起こすダニも自然界を構成する一員として認めることから始まる。
趣味の域を超えた森林(やま)づくりが必要なのだ。
20100630 疥癬症の進行したタヌキ(後山)
自動撮影装置
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