教室2日目の8月3日。
この日は朝から森林(やま)に出かけた。
今回の教室のテーマは“生物多様性”。
とても難しいこのテーマを、子どもたちの心の中にどのように位置付かせるかがスタッフの腕の見せ所。
子どもたちに対して堅苦しい話はしたくない。
“楽しみ”から入らなければ、この重要なテーマも、「できれば避けて通りたい」「面倒くさい」ものになってしまうだろう。
声かけはシンプルに「何種類の生き物に出遭うことができるかチャレンジしてみよう!」。
虫を見つける子、キノコを見つける子、ヘビやカナヘビを見つける子もいた。
途中で、みんなを集めて、「どんな生き物がいた?」と問いかけると、目を輝かせ、ちょっと興奮気味で、こんなのがいた、あんなのがいたと口々に報告してくれた。
けれど、草木を応える子が殆どいない。
どうやら「生き物(いきもの)」というキーワードでは、植物は想起されないようだ。
もちろん、彼らも、植物も生物であることは知っている。
それなのに、感覚的には「生き物」とは動きのあるものに限定されているようだ。
「生き物(いきもの)」ではなく、学校の理科の時間のように「生物(せいぶつ)」と問いかければ、植物にも目が行ったのかもしれないが、学校教育で用いられる用語が、生活感覚・身体感覚に根付いていないのだとすると、このあたりに問題が潜んでいそうである。
もう一つ、彼らの口から発せられなかったのが「人間」という言葉。
感覚的には、彼らにとって人間も「生き物」の範疇に入っていないのか、あるいは当たり前すぎてわざわざ答える必要を感じなかったのか。
植物だって「生き物」であること、人間だって「生き物」であることを告げたうえで、菌類などの目には見えない「生き物」も沢山いて、とても大切な役割を果たしていることなどを付け加えた。
午後になると、大粒の雨が木々の葉を叩きはじめたので、急遽室内へ。
ヤマネの巣箱づくりにチャレンジしてもらった。
動物の行動を研究する専門家が調査に用いるものと同じものであること。
だから、ふざけないで丁寧に作ってほしいこと。
完成した巣箱は、センサーカメラで撮影したりしながら、ちゃんとしたデータをとるために役立つことなどを伝えたうえで工作をスタートした。
一工程、一工程をゆっくり、そして丁寧に。
なんと、参加者全員がきちんとした巣箱を完成させることができた。
晩には、ヤマネについての講義の時間。
生態や生理、分布等々、ちょっと難しめの話もしたのだが、巣箱づくりの後だけあって、皆真剣に聞いてくれた。
20100803 教室2日目
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