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2010年8月の26件の記事

2010年8月31日 (火)

セモンジンガサハムシ

20100831jinngasahamusi

これもまた小さな小さな昆虫。

セモンジンガサハムシという甲虫だ。
漢字で書くと“背紋陣笠葉虫”。

前翅と胸部の外殻に透明な部分をもつ虫で、堅い殻で身を守りつつ、殻の中から外界を見渡せるという驚くべき構造を有している。

亀は甲羅に隠れれば外の世界を見ることができないが、この虫はそれができるのである。

体長は5mmほどで、バラ科の植物の葉を食べて育つ。

北海道から九州にまで棲息する昆虫で、とくに希少種ではないのだが、葉の裏にぴったりと身を寄せていることが多く、なかなか目にとまりにくい虫である。

森林(やま)の生態系は、本当に様々な生物で成り立っているものである。

20100825 セモンジンガサハムシ(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

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クサカゲロウの仲間の幼虫

20100831kusakagerou

あまり写りの良くない写真だがご勘弁いただきたい。

ともかく小さいのだ。
そのうえ、この日はそよそよと風が止まらない。

バッコヤナギの葉の上で見つけたのは、クサカゲロウの仲間の幼虫。
縦横高さ、どこをとっても5mmに満たない程度の大きさだ。

クサカゲロウの仲間は、世界では1300種、わが国でも40種が確認されていて、そのどれもが似通っているので、とてもとても種レベルの同定はできるものではない。

このクサカゲロウの仲間は、幼虫時代に背中にゴミを背負って歩くという風変わりな特徴をもっている。
種類によっても異なるようだが、枯れ草を背負うもの、餌である小さな昆虫の亡骸を背負うものと様々である。

この写真では分かりにくいが、近縁のウスバカゲロウの幼虫(アリ地獄)をスレンダーにしたような体型で、アブラムシやハダニなどを捕食(体液を吸う)する肉食昆虫である。

このときも、緑の葉の上に、枯れて縮こまった枯葉が落ちているのかと思ったのだが、見ているとテクテクと歩き始めた。
動かなければ、クサカゲロウの幼虫だと気付くこともなかっただろう。

虫眼鏡をもって散策すると、森林(やま)には驚きが沢山ある。

20100824 クサカゲロウの一種の幼虫(ヒロイド原)
NIKON D90 105MICRO

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ヤマキマダラヒカゲ

20100830yamakimadarahikage

ときどき撮影のチャンスはあるのに、なかなか写し留めることができない被写体がいくつかある。

このヤマキマダラヒカゲもその一つで、①夕方から活発に活動をすること、②森林内を翔ぶことがその理由だ。
つまり、薄暗い時間に、さらに陰を翔ぶのだから目にもとまりにくいし、カメラを向けても早いシャッターが切れずにブレてしまうことになるのである。

実は、このヤマキマダラヒカゲ、近縁の“サトキマダラヒカゲ”だと思って写真に収めたのだが、拡大してじっくりと観察をしてみてはじめて“ヤマキマダラヒカゲ”だと判明した。

この両種は、かつては“キマダラヒカゲ”として1種類にまとめられていたのだが、近年になって別種であるとされた経緯があるほど、よく似通っているのである。

その名のとおり、サトキマダラヒカゲが里(低山部)に多く棲息し、ヤマキマダラヒカゲが比較的標高の高い(1,000m程度)ところに多く棲息すると云われてはいるが、地域差も大きく、目撃地点の標高によって判別するのは避けた方がよい。

翅の裏側(写真で見えている側)の目玉模様(眼状紋)に違いがあり、それを手がかりに同定する方がよさそうである。
※詳しくは→こちらのHPから

幼虫は笹や竹の葉を食べて育ち、蛹で越冬する。
成虫(蝶)はもっぱら樹液を吸い、花に吸蜜に訪れることは滅多にない。

20100823 ヤマキマダラヒカゲ(ヒロイド原)
NIKON D90 70-300

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2010年8月29日 (日)

●お詫びと訂正●

8月21日の“カナブン”という記事中に、「昨年は、比較的多くの昆虫に出遭うことができた…」という記述をいたしましたが、確認もしないままの感覚的な記述でした。

再確認いたしましたところ、2009年8月29日付けの記事他で、昨年が、冷夏と長雨の影響で昆虫が非常に少ない年であったことを確認いたしました。

記録に因らず、個人の感覚的な記憶に頼った杜撰な記事をお届けしてしまったことを恥ずかしく思い、反省しております。

記事中にも朱書きでお詫びと訂正をさせていただきましたが、改めてここに訂正させていただきます。

こうした誤りは、他にも多々あろうかと思います。
お気づきの際には、ご指摘・ご叱責いただければ幸いです。

くま

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ツリガネニンジンの花

20100829turiganeninnjinn「今年の川場は、本当に虫が少ない」と何度書いたことだろう。
本当に少ないのだ。

灯火に飛来したものや、農家の方々が拾い集めたものを除けば、カブトムシにもクワガタムシにも出遭えずに今日に至っている。

こんなことは、約20年間も川場村に通ってきて初めてのことである。

昆虫の発生を阻害するような環境は、その他の生物にも無関係であろうはずがない。
夏の花も例年と較べて、種数も個体数も極めて僅少である。

写真のツリガネニンジンも、例年では8月半ばを過ぎると、そこかしこで目にしてきた花なのだが、今年は村内をしばらく廻っても、ほんの数株しか開花を確認することができなかった。

この植物の川場村での開花のピークは、例年9月初旬頃なので、これからに期待したいところではあるが、現実的には難しいのではないかと予想している。

さて、「昆虫が少ない」のは、実は昨年もそうだった。
奇しくも昨年の今日(8月29日)の記事で「今年の川場村は本当に虫が少ない」と、全く同じことをつぶやいていた。
けれど、昨年の場合は冷夏と長雨に祟られた結果であった点が今年とは違うところだ。
現時点では推測の域を出るものではないが、昨年の異常気象がベースとなって、その上に酷暑の連続というストレスが川場村の自然を襲っていると考えてよさそうだ。

この連年の異常気象の弊害が、この先どれくらいの期間にわたって川場の森林(やま)に影響を与えるのだろうか。

20100824 やっと見つけたツリガネニンジンの花(後山)
NIKON D90 105MICRO

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“ひこばえ”のその後

20100828hikobae昨年の10月16日に“ひこばえ”と題する記事をアップした。

その時には、「冬を乗り切れば、春には旺盛な成長をはじめることだろう」と書いたのだが、思ったとおりにグングンと生長を始めている。

ほんの10~15cmだった蘖(ひこばえ)も70~80cmほどの高さまで伸びてきた。

この調子ならば、もう5年も経てば、カブトムシやクワガタで賑わう“樹液酒場”がオープンしそうである。

かつては、どこにでも見られた雑木林の更新も、農家が落葉落枝を利用しなくなったことや、薪炭需要が無くなったことで滞り、急速に暗い鬱蒼とした森林に姿を変えつつある。

そうした状況の中で、僅かではあるが雑木林の更新が進められているのも活動の成果として考えてよいのだろう。

これからも見つめ続けていきたい蘖である。

20100823 コナラの蘖(ヒロイド原)
NIKON D90 70-300

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2010年8月27日 (金)

できたてホヤホヤ

20100827ebihurai

友好の森のなかを散策中に、アカマツの樹を背にして地べたに座り、一息ついていると目の前に“ぽとん”と何かが落ちてきた。

見てみると、3~4cmほどの小さなエビフライが一つ。
知る人ぞ知る“森のエビフライ”である。

川場村の森林(やま)には沢山のホンドリスが棲息しており、自動撮影装置にも頻繁に記録されている。
このホンドリスがアカマツの松ぼっくりを囓って、鱗状の襞の中にある松の実を食べた残滓が“エビフライ”の正体だ。

“エビフライ”を見つけることは、アカマツの樹さえあれば、少しも珍しくはない。
だから、自然解説(インタープリテーション)のビギナーには人気があって、ネタに困ると“エビフライ”探しを始めてしまう。
便利なネタがあると、人は工夫を怠るものなので、“エビフライ禁止令”が時々発動されるほどである。

それはさておき、このときの“エビフライ”は、できたてのホヤホヤ。
こんな経験は、私にしても初めてのことだった。

慌てて、頭上を凝視したのは言うまでもないが、どうしてもリスの姿を認めることはできなかった。
姿は見えなくとも、たった今、自分の頭の上でリスがお食事中だったのは確実である。

なんだかとても嬉しくなって、この一事でこの日は幸せ。

酷暑の日が続く中で、“エビフライ”に秋の訪れが目の前であることを教えてもらった。

20100825 できたての“エビフライ”(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

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2010年8月26日 (木)

無事カエル

20100825shuregeruaogaeru

2泊3日の学生実習を終えて、なんとか無事帰還。
森林・林業・山村問題等について学ぶ大学生を率いての実習が開始されて、ほぼ30年が経った。
私自身も、初めての川場村はこの実習だった。

これまでに、実人数で、ゆうに千を超す学生達がこの実習に参加してきた。

一人一人の学生達に、この実習で何が刻まれてきたのだろうか。

よく汗をかき、よく呑み、よく語ってきた。

“継続は力なり”というが、どんな力になってきたのかまだまだ分からない。

学生達が、その存在に気づきもせず、すぐ脇を通り過ぎるのを見守るようにカエルがいた。

20100825 シュレーゲルアオガエル(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

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2010年8月23日 (月)

明日から学生実習

20100823amagaeru

夜が明けると、毎年恒例の学生実習である。

炎天下のもとでの下刈りがメインプログラム。

当たり前のことであるが、学生達の年齢はいつもほぼ同じ。
指導に当たる我々はどんどんと歳をとり、年々実習が骨身にしみるようになってきた。

満身創痍の今年の夏。
まして、この猛烈な暑さ、息苦しさ。

乗り切ることができるだろうか。
とてもとても自信がない。

超大型台風上陸直撃、けれど農林業や生活への被害なし。
屋外作業は厳禁。

そんな状況を心待ちにしている今日この頃。

「ばっかだなあ、この暑い中で草刈りなんかすんのかよ~」
カエルもあきれ顔で言っている。

でも、卒業生達がたまに訪ねてくると、川場の話するんだよな…。

20100815 ニホンアマガエル(ヒロイド原)
NIKON D90 105MICRO

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2010年8月21日 (土)

カナブン

20100821kanabunn

今年は、本当に昆虫が少ない。

夏の昆虫の代名詞でもあるカブトムシやクワガタにも殆ど逢うことがないまま、この時期を迎えてしまった。
四月中頃に大雪が降ったかと思えば、春らしい麗らかな日を迎えないままに夏を迎えた感があり、その後はこの猛暑日の連続というのが今年の季節変化だが、こうした環境が昆虫にも影響を与えているのだろう。

樹液酒場にやってくるカブトムシやタテハチョウなどに出遭うことができるのも、今年は、そろそろ最後だろうと思い、ヒロイド原の“カブトの森”に出かけたが、やはりいない。

“カブトの森”のコナラには、樹液をよく出す樹が何本かあって、毎年観察のポイントにしているのだが、どの樹も樹液の出が悪いし、虫たちも殆ど訪れてはいなかった。

昨年は、比較的多くの昆虫に出遭うことができたので、産卵状況が悪かったのではないのだと思う。
※この記述は、記憶の混乱だったようです。昨年も、冷夏と長雨の影響で昆虫は少ない年でした。お詫びとともに訂正させていただきます。

幼虫時代に充分な成長ができなかったのか、越冬が上手くいかなかったのか。
はっきりとしたことは云えないが、ともかく今年は虫たちがとても少ない。
今年の虫が少ないということは、来年以降にも影響が出ることは必至である。

自然環境や農林業に深刻な影響が出なければよいのだが、心配である。

何本かのコナラを確認して歩くうちに、ようやく出遭うことができたのが写真の“カナブン”である。

今年の過酷な環境下でも、次世代に命を繋ぐ行為に励んでくれている。

ところで、“カナブン”は漢字では“金蚊”と書き表される。
金属光沢の外殻を身にまとい、ぶーんと翔んでくるから“金蚊”である。
ご存じだったろうか。

20100815 カナブンの交尾(ヒロイド原)
NIKON D90 105MICRO

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2010年8月20日 (金)

スズバチ

20100820suzubati

草の上で休んでいる大型のハチを見つけた。
体長は3cm近い。

かつて、コルセットをきつく締めて矯正し、首ほどの細さまで腰をくびれさせるのが、ヨーロッパの貴婦人達の間で流行したと云うが、このハチの腰のくびれは尋常ではない。

トックリバチの一種で“スズバチ”という。
この仲間の中では、わが国最大級の大きさを誇っている。

夏から秋にかけて、泥をこねて徳利状の巣を作り、そこに尺取り虫(シャクガ類の幼虫)を運び込むと、卵を産みつける。
いくつもの巣を連続してつくるので、それが房にした鈴の様だと云うことで“鈴蜂”の名が付けられている。

尻に針ももち、毒ももつのだが、よほど握りしめでもしないかぎり刺すことはないので心配はいらない。

巣の中で尺取り虫を食べながら育った幼虫は、春になり、雪が融けた頃に羽化をして巣から飛び立つ。

岩陰や木の枝などに巣を作り、自然環境下では人目につくことはほとんど無いが、建物などの人工物にもしばしば巣を作るので、そうしたところではよく目にとまる。
私たちの活動の拠点となっている“なかのビレジ”の外壁などでもお目にかかることができるので、注意して見るとよい。

20100816 スズバチ(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

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2010年8月19日 (木)

シロオニタケ

20100819siroonitake

キノコの仲間は本当に面白い。

森林(やま)の中で果たす役割も、もちろん大切だが、味を楽しんだり、造形に見惚れたりと飽きることがない。

専門家に聞いても、わが国に何種類のキノコがあるのか分からないのだそうだ。
それどころか、分からないに決まってるのだそうだから、余計に面白い。

いわゆる“キノコ”は子実体と呼ばれる部分で、本体は菌糸である。
子実体は、高等植物では花に該当し、子孫を残すために必要なタイミングでしか形成されない。
菌糸は、種類によって様々だが、様々なものを腐らせて土に還す働きをもっているので、森林の形成には欠くことのできない存在なのである。

写真のキノコは“シロオニタケ”。
テングタケ科に分類されるが、このグループの例に漏れず強い毒性をもっていると考えられている。
“考えられている”などと煮え切らない表現をしたのは、古い図鑑などでは有毒種とはされていないこともあるためなのだが、最近の研究では有毒種とされることが多い。

それにしても、このトゲトゲ。
いかにも、という姿なのはなぜなのだろう。
少し前に、世田谷区民健康村のスタッフブログで紹介されたまだ若い株(幼菌)が育つと、このような姿になるのだが、自然の造形というのは本当に面白いものである。

20100816 シロオニタケ(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

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2010年8月18日 (水)

ナワシロイチゴの実

20100818nawasiroitigo

川場村では、このナワシロイチゴとクロイチゴが木苺のアンカーだ。
他の多くの木苺が6~7月に実を着けるのに対して、8月に入ってからが本番となる。

薄紫色の花を6月中旬頃から咲かせ、ゆっくりと実を完熟させていく。

イメージとズレるかもしれないが、盛夏の頃は植物にとっても厳しい季節であるようで、花をつける植物も、実を稔らせる植物も少ない。
そして、乾燥から身を守るためだろう、葉も堅く、植物食の昆虫や野鳥、動物たちにとっては冬に次ぐ受難のシーズンなのである。
そんな季節に嬉しいのが、こうした木苺なのである。

だから、甘酸っぱい実を味わうチャンスがなかなか訪れない。

ナワシロイチゴのルビーのような実を見つけるようになると、秋はもう目の前である。

20100815 ナワシロイチゴの実(ヒロイド原)
NIKON D90 105MICRO 

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キツネノカミソリ

20100817kitunenokomisori1

後山の奥まで足を延ばすと、薄日の射す林床でオレンジ色の花が目についた。
遠目に見るとオニユリの様にも見えたのだが、少し違う印象を受けた。

近づいてみると、ヒガンバナ科の“キツネノカミソリ”だった。

キツネノカミソリは、ヒガンバナと同じように“葉見ず・花見ず”で、春先から葉を繁らせると夏までにはその葉をすっかり枯らしてしまい、その後に花を咲かせるという変わった生長特性をもっている。

“狐の剃刀”という名は、春先に出る葉の形からつけられたという説や、花弁の形が剃刀のようで、その色が狐色であるからだという説、葉の形が剃刀状であるというのは前説と同じで、葉が無く茎だけを伸ばして花をつける姿に狐の神秘性を重ね合わせて名付けられたという説など、様々云われているようだ。

20100817kitunenokomisori2 けれど、私は、洒落者の狐が、身だしなみを整えようと、鼻歌交じりでこの花を使って髭をあたっている姿を連想してしまう。
その方が、なんとも愉しいではないか。

ヒガンバナが秋の彼岸頃に花を見せるのに対して、本種は旧盆の頃に花を楽しませてくれる。

地下にある鱗茎は、アルカロイドを含み有毒で、誤食すると痙攣や吐き気などをもよおすので注意が必要だ。

20100816 キツネノカミソリ(後山)
NIKON D90 70-300

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2010年8月16日 (月)

ルリボシカミキリ

20100816ruruibosikamikiri2

わが国の昆虫の中でも群を抜く美しさを誇るカミキリムシだと思う。
川場村でもなかなか出遭うことができない昆虫の一つで、“ルリボシカミキリ”という。

その名のとおり瑠璃色の地に黒星が映えるが、ビロードのようなきめの細かい毛で翅が覆われている。
また、体長を優に超す長いヒゲにある黒色の部分は、よく見ると黒い毛の房であることが分かる。
この美しい体色は、個体が死ぬと急速に変色してしまい、生体でないとこの美しさを堪能することはできない。

このカミキリムシは、ブナ科の樹木やシラカンバ、ケヤキ等々の朽ち木に卵を産み付けるのだが、“白色腐朽菌”と呼ばれる菌が腐らせ、土に還ろうとしている木が幼虫の食べ物なのだ。

森林(やま)がその姿を保つためには、土(土壌)がとても重要な役割を果たすのだが、何らかの理由で枯れた樹木を腐朽菌が柔らかくし、さらにそれを本種のような昆虫が食べ、糞として排出する。
そうした仕組みの中で土壌が形成される。

このカミキリムシも、そうした大切な役割を担っているのである。

下の写真は、雄が雌を庇うようにしているところで、カミキリムシを始め、クワガタムシの仲間など、甲虫類によく見られる行動だ。

20100816ruruibosikamikiri1

20100805 ルリボシカミキリ(友好の森)
NIKON D90 70-300

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2010年8月14日 (土)

教室最終日

20100813kodomoyamadukurikyuositu5

8月6日は、いよいよ教室の最終日。
4泊5日の全ての行程を終了した。

部屋中に散らかった自分の荷物を一つ一つ確認しながらリュックに詰め、部屋の掃除を終えると閉塾式を行った。

参加者一人一人にリーダーから修了証が手渡された。
修了証は、川場村の木でつくられた特別製。
みなかみ町の里山の学校の製作だ。

いろいろな生物が、様々な環境を利用しながら森林を構成しているということを伝えたかった今回の教室。
どれくらいのことを参加者たちに伝えることができたであろうか。

20100806 教室最終日

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2010年8月13日 (金)

教室4日目(2)

20100812kodomoyamadukuri42

村内巡りのゴールは、道の駅“田園プラザかわば”。
5年連続で“関東好きな道の駅”第1位となっている人気のスポットだ。
観光で訪れる方ばかりではなく、地元の方々も買い物に来るのだから、販売されているものの品質や品揃えの良さが伺えるというものだ。

この日は、いよいよ教室最後の晩を迎える。
みんなで考え、みんなでつくった料理でフェアウェルパーティー。

中学生と高校生達の“川場まるごと滞在記”のメンバーは、特製カレーライス。
小学生たちの“こどもやまづくり教室”のメンバーは、班ごとに、サラダ・スープ・デザートを担当した。

村巡りのゴールを田園プラザに決めたのは、このパーティー料理のための買い出しをするためだ。

この季節、どんな野菜が並んでいるのか。
せっかく川場村に来たのだから、川場村ならではの食材を使いたい。
お金は足りるかな。

一生懸命考えて、楽しく買い出しをした。

買い物の後は、“なかのビレジ”に戻って、冷たーい素麺でお昼ご飯。
川場村からの参加者、タイチ君のお爺ちゃんがつくった日本一のキュウリを差し入れしてもらったので素麺と一緒にもりもり食べた。

お腹もいっぱいになったところで、いよいよ創作料理の調理開始。
各班とも、川場村らしい食材をふんだんに使い、楽しくて豪華で美味しい料理ができあがった。

ご飯の後は、焚き火を囲んで振り返りの時間。
教室初日に書いた七夕飾りの短冊に書いたことを思い出しながら、目標が達成できたか、何を見つけたか、何ができるようになったのか、新しい友達ができたか、一人一人が静かに自分を見つめた。
天を焦がすキャンプファイアーも良いけれど、子ども達だって、こんな静かな時の過ごし方ができるのだ。

20100805 教室4日目

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2010年8月12日 (木)

稲の開花

20100812inenokaika

“こどもやまづくり教室”の最中に、なかなか出遭うことができない現象を目にすることができた。

子ども達と萩室地区の農道を散歩していると、青々と茂った水田で、数日前に出穂した稲穂が目にとまった。
よく見ると、薄黄色の雄しべが穂から顔を出している。

子ども達は見たことがない光景だろうと、「お米の花って見たことある?」と聞くと、声をそろえて「あるよ!」と答えが返ってきた。
少し驚いて「どこで見たの?」と聞くと「学校!」とのこと。
そういえば、バケツで稲作体験を行う学校が多いことに気が付いた。

「見たことなーい!」という反応を予想していただけに、ちょっとガッカリである。

けれど、稲をよくよく見ると、まさに開花しているではないか。

稲は、穂先から雄しべをちょこんと出した後に穂が割れ、花粉を飛ばす。
そして、僅か1~2時間もすると、再び穂がしっかりと閉じてしまうのだ。
閉じた後も、雄しべは穂からはみ出したままなので、多くの場合、はみ出した雄しべを見せて“稲の花”だと教えることになる。

気を取り直して、「本当に?ちゃんと咲いてるとこなんて見たことないでしょ?」「一粒一粒がカパッって割れてるのは、1時間か2時間しかないんだよ」
というと、子ども達の目つきが変わった。

良く晴れていて、そよ風が吹いているような日の午前中。
一年に一度だけの、まさに神秘の時間に立ち会うことができたのだ。

私のホラ混じりの話など忘れ去ってくれてよい。
こうした光景に出遭えたことは、一生の宝物として胸にしまってくれると良いのだが。

20100805 開花中の稲(萩室地区)
RICOH GR DIGITALⅡ

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教室4日目(1)

20100811kodomoyamadukurikyousitu41

長いと思っていた“こどもやまづくり教室”そして“川場まるごと滞在記”も折り返しを過ぎ、残すところ後2日間。
教室4日目を迎えた。

この日は、朝から好天に恵まれたので、朝食前に早朝散策に出かけた。

虫も鳥も、炎天下ではジワッと暑さをやり過ごしているが、こういう時の早朝は賑やかだ。
陽が高くなると、活動するのに適さないことを分かっているのだろうか、「今のうち」とばかりに虫が翔びかい、小鳥もしきりに囀っている。

なかのビレジを出発して、目指すはヒロイド原。
早起きのご褒美にブルーベリーの食べ放題。
一粒ずつちまちま食べずに、手のひらいっぱいに収穫した実を一気に頬張ると美味しさ倍増。
完全無農薬栽培だからこそ、ハチにはご用心。
アマガエルやジョウカイボンにもこんにちは。

早朝散策のおかげで、いつもより美味しく食べた朝食をすませると、村内巡りに出かけた。

村内に沢山ある湧き水の一つ、“鍛冶沢の銘水”でひと休み。
嬉しい木陰に、とびきりの銘水が子ども達を迎えてくれた。

それから、木々の間を少し歩くと、眼前一面にひろがる田園風景。

川場村の森林(やま)の多くは、地元の農家の方々が育て、守ってきたもの。
“農”という営みが創ってきた景観の中を歩くのも“森林(やま)づくり”の第一歩なのである。

ちょうど、田んぼの稲が出穂の時期を迎えていて、なかなかお目にかかることができない稲の花を見ることもできた。

リンゴの木にはまだ青いリンゴの実が実り、吹く風に稲の波。
村内巡りの目的地、道の駅“田園プラザ”はもう目の前だ。

20100805 村内巡り

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2010年8月 9日 (月)

教室3日目(2)

20100809kodomoyamadukurikyousitu33

教室3日目の午後は、なかのビレジの傍を流れる“ガニ沢”で水遊び。
森林内の木洩れ日を浴びながらとはいえ、玉のような汗が噴き出す陽気の中で作業をした後なので、ほてった身体に嬉しい時間だ。

“ガニ沢”という名称は全国各地に見られる。
川場村の場合はどうなのか、ハッキリとはしないのだが、一般に“ガニ沢”は“蟹沢”の意味で、ここで云う“蟹”はサワガニを指している。
そして、サワガニは水の神の化身であると考えられていたので、“ガニ沢”という呼称が与えられた沢は、地域社会にとって非常に重要な位置づけをもつ沢なのだと考えられている。

そんな蘊蓄も傾けつつ、子ども達を沢に誘った。

活動の最上流と最下流を定め、子ども達に約束させるとともに、ベテランスタッフを各所に配し、活動の安全を確保した。
ともかく、水辺の事故は重大事故に直結・発展するケースが多いので、一時も気を抜くことができないのだ。

もちろん、子ども達は、そんなことはお構いなし。
流れの落ち込みで素手でイワナを捕まえた子。
岸辺で捕まえた雨蛙を鼻先にくっつけてご満悦の子。
背の立たない深みに挑戦する子。
渓流の水生昆虫の採集と観察に余念のない子。

十人十色の愉しみ方で“ガニ沢”を満喫した。

20100804 ガニ沢での水遊び(友好の森)

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教室3日目(1)

20100809kodomoyamadukurikyousitu31

教室3日目の8月4日午前。
“こどもやまづくり教室”と“川場まるごと滞在記”の混成斑によるヤマネの巣箱かけから1日が始まった。

初日、2日目と、始終ではないものの雨に降られ、どんよりとした空模様だったが、この日は久しぶりの快晴。
スタッフも参加者も顔つきが違う。

まずは、前日に完成させておいたヤマネの巣箱の設置だ。

前日の講義の中で、ヤマネが夜行性であり、樹上性の動物であることや、調査のしやすさとヤマネの習性の折り合いが付く、地際から150cmのところに巣箱を仕掛けることなどを参加者に伝えてあったので、作業は比較的スムーズに進んだ。
巣箱はシュロ縄で立木に結びつけて固定するのだが、予想外だったのがきちんと縄を結べない子どもが多いことだった。
どの巣箱もゆらゆらしていて、取り付け直しに時間がかかったし待った。

それでも、約70個の巣箱を、友好の森のなかに、無事設置することができた。
あとは、観察を続けながらじっと我慢するのがこれからの仕事である。

20100809kodomoyamadukurikyousitu32

森林内を散策しながら、どの樹にかけようか、ヤマネの気持ちになって考えた。

20100804 巣箱の設置(友好の森)

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2010年8月 8日 (日)

クロイチゴの実

20100808kuroitigo

川場村では、何種類ものワイルドベリーが爽やかな味を楽しませてくれる。

6月の下旬になると、モミジイチゴやクマイチゴが実り、7月の初旬にはシロバナノヘビイチゴ、中旬にはニガイチゴにエビガライチゴ、8月に入ってナワシロイチゴやコバノフユイチゴと、入れ替わり立ち替わり美味しい実をつける。

写真の“クロイチゴ”は、ナワシロイチゴと同じ頃に実を結ぶバラ科キイチゴ属の多年生低木である。
北海道から九州までの全国の山地に広い区分布するが、個体数は少ないようで、なかなかお目にかかることができない。

じつは、このクロイチゴ、私は川場村ではこれまでに出会ったことはなく、今回が初の確認となった。

とても美味しい木苺で、分類上はラズベリーに近い種だと考えられている。
美味な上に、木が生長すると沢山の実をつけるので、ほんの少し人間が手を貸し、株数を増やすことができれば、地域の特産品として売り出すことも可能かもしれない。

ジャムに果実酒、コンポート。
想像しただけで唾が湧いてくる。

写真の実は、まだ若干若く、真っ黒に熟した頃が食べ頃だ。
ヤマネにテン、ハクビシン、ツキノワグマ、それに様々な鳥たちとの競争に勝てるだろうか。

20100803 クロイチゴ(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

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教室2日目

20100808kodomoyamadukurikyousitu2

教室2日目の8月3日。

この日は朝から森林(やま)に出かけた。
今回の教室のテーマは“生物多様性”。
とても難しいこのテーマを、子どもたちの心の中にどのように位置付かせるかがスタッフの腕の見せ所。

子どもたちに対して堅苦しい話はしたくない。
“楽しみ”から入らなければ、この重要なテーマも、「できれば避けて通りたい」「面倒くさい」ものになってしまうだろう。

声かけはシンプルに「何種類の生き物に出遭うことができるかチャレンジしてみよう!」。

虫を見つける子、キノコを見つける子、ヘビやカナヘビを見つける子もいた。

途中で、みんなを集めて、「どんな生き物がいた?」と問いかけると、目を輝かせ、ちょっと興奮気味で、こんなのがいた、あんなのがいたと口々に報告してくれた。

けれど、草木を応える子が殆どいない。
どうやら「生き物(いきもの)」というキーワードでは、植物は想起されないようだ。
もちろん、彼らも、植物も生物であることは知っている。
それなのに、感覚的には「生き物」とは動きのあるものに限定されているようだ。

「生き物(いきもの)」ではなく、学校の理科の時間のように「生物(せいぶつ)」と問いかければ、植物にも目が行ったのかもしれないが、学校教育で用いられる用語が、生活感覚・身体感覚に根付いていないのだとすると、このあたりに問題が潜んでいそうである。

もう一つ、彼らの口から発せられなかったのが「人間」という言葉。
感覚的には、彼らにとって人間も「生き物」の範疇に入っていないのか、あるいは当たり前すぎてわざわざ答える必要を感じなかったのか。

植物だって「生き物」であること、人間だって「生き物」であることを告げたうえで、菌類などの目には見えない「生き物」も沢山いて、とても大切な役割を果たしていることなどを付け加えた。

午後になると、大粒の雨が木々の葉を叩きはじめたので、急遽室内へ。
ヤマネの巣箱づくりにチャレンジしてもらった。

動物の行動を研究する専門家が調査に用いるものと同じものであること。
だから、ふざけないで丁寧に作ってほしいこと。
完成した巣箱は、センサーカメラで撮影したりしながら、ちゃんとしたデータをとるために役立つことなどを伝えたうえで工作をスタートした。

一工程、一工程をゆっくり、そして丁寧に。
なんと、参加者全員がきちんとした巣箱を完成させることができた。

晩には、ヤマネについての講義の時間。
生態や生理、分布等々、ちょっと難しめの話もしたのだが、巣箱づくりの後だけあって、皆真剣に聞いてくれた。

20100803 教室2日目

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2010年8月 7日 (土)

教室初日

20100807kodomoyamadukurikyousitu1

8月6日に“こどもやまづくり教室”と“川場まるごと滞在記”を終えて、無事に戻ってきた。
これから、少しずつ教室を振り返っていきたい。

教室初日の8月2日。

朝、世田谷区役所前を出発した一行は、川場村に着くと、5日間の生活拠点となる“なかのビレジ”で川場村からの参加者と合流した。

まずは、開塾式(写真左上)。
世田谷区からの参加者と川場村からの参加者の対面から。
お互いにちょっと緊張しながらも期待感に胸をふくらませた。
その後、斑の発表やリーダー・スタッフの紹介をすませて、皆でお弁当タイム。

お弁当でお腹を満たした後は、最初の試練。
班名と自分の名前を書いた白い布をビブスに縫いつける作業だ(右上)。
針に糸を通したことすらない子どもも少なくないなかで、作業は難航したけれど、全員が無事完了。
自分のことは自分でやるのが“森林(やま)づくり流”。

次は、なかのビレジの館内探検(右下)。
“自分のことは自分でやる”を実行するためには、どこにお風呂があって、どこにトイレがあるのかを知ることが第一歩。

そして、その後は、さっそく森林散策に出かけるのが当初の予定だったのだが、あいにくの荒天。
各班ごとに集まって、七夕飾りの短冊書きにプログラムを変更した(左下)。
これからの5日間の目標を意識するのが目的だ。
川場村では、七夕も旧暦で行うので、けっして季節外れではない。

裁縫も短冊書きも、自分自身の頭と手を使うトレーニングでもある。

初対面の緊張感や移動の疲れを癒し、翌日以降に備える助走の日となった。

20100802 教室初日

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2010年8月 5日 (木)

こどもやまづくり教室中間報告

20100805kodomoyamadukuri

2010年夏。
“こどもやまづくり教室”と“川場まるごと滞在記”の開催中。

参加者たちのお昼寝中にこの記事をアップしている。

初日、二日目と雨天にもかかわらず、子ども達は逞しく遊びまわった。

川場村の子と、世田谷区の子の対面式。
森林内の散歩。
ヤマネの棲息調査用の巣箱の作製と設置。
下刈りなどの林内作業。
川遊び。

いろいろな活動をとおして、森林(やま)を楽しみ、森林を知った。

今日はこれから、自炊体験と焚き火を囲んでの振り返り。

長丁場だと思っていた4泊5日の教室も明日で終了。
もっともっと、ずっとずっと教室が続けば楽しいのにな。

写真は川遊びの最中に捕まえられてしまった雨蛙。
ミナコちゃんはこんなことばっかりしています。

20100804 こどもやまづくり教室
NIKON D90 70-300

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2010年8月 1日 (日)

ハチにご注意

20100731hati

久しぶりにやられた。
この何年かは、ニホンミツバチにチクッとされることはあっても、それ以外のハチに刺されるということはなかったのに、久しぶりにやられてしまった。

放棄された桑畑の中に、自動撮影装置(センサーカメラ)を設置している最中にセグロアシナガバチの巣を見つけたので、1.5mばかり離れた場所からカメラを向けた途端、まさに電光石火の攻撃を受けた。

たいがい、ハチは怒ると、羽音を大きくしたり、あごをカチカチ云わせたり、それなりの攻撃態勢をみせてから襲ってくるものなので、それから静かに後ずされば問題はないものなのに、このときは違った。

巣から目にもとまらぬ早さで、一直線に私のほうに向かってくると、カメラのレンズを支えていた左手の人差し指に突進してきた。
“バチンッ”という衝突音と同時に“ビシッ”とした鋭い痛みが指に走った。

あっという間に、指は曲げることもできないほど腫れ、脈動と共にズキン、ズキンと強い痛みがおそってきた。

秋口まではハチの攻撃性も弱いと、たかをくくっていた部分もあったのだが、まさかの負傷となってしまった。

一応、ひるむことなくカメラに収めたのだが、やはりおっかなびっくり及び腰、ピントの甘い写真になってしまっている。

あれから、ほぼ10日が経過したが、若干の違和感が今も指に残っている。

今年の異常な季節変化は、こんなところにも影響を与えているのかもしれない。

20100719 セグロアシナガバチの巣(太郎地区)
NIKON D300 70-300

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