キツネノカミソリ
後山の奥まで足を延ばすと、薄日の射す林床でオレンジ色の花が目についた。
遠目に見るとオニユリの様にも見えたのだが、少し違う印象を受けた。
近づいてみると、ヒガンバナ科の“キツネノカミソリ”だった。
キツネノカミソリは、ヒガンバナと同じように“葉見ず・花見ず”で、春先から葉を繁らせると夏までにはその葉をすっかり枯らしてしまい、その後に花を咲かせるという変わった生長特性をもっている。
“狐の剃刀”という名は、春先に出る葉の形からつけられたという説や、花弁の形が剃刀のようで、その色が狐色であるからだという説、葉の形が剃刀状であるというのは前説と同じで、葉が無く茎だけを伸ばして花をつける姿に狐の神秘性を重ね合わせて名付けられたという説など、様々云われているようだ。
けれど、私は、洒落者の狐が、身だしなみを整えようと、鼻歌交じりでこの花を使って髭をあたっている姿を連想してしまう。
その方が、なんとも愉しいではないか。
ヒガンバナが秋の彼岸頃に花を見せるのに対して、本種は旧盆の頃に花を楽しませてくれる。
地下にある鱗茎は、アルカロイドを含み有毒で、誤食すると痙攣や吐き気などをもよおすので注意が必要だ。
20100816 キツネノカミソリ(後山)
NIKON D90 70-300
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コメント
こにタンさん!
こんにちは!
私も“キツネノカミソリ”ってネーミングが秀逸だと思います!
ちょっと怪しげな雰囲気も良いですよね!
ルリボシカミキリのベルベットのような質感、自然の造形って本当に不思議ですね!
投稿: くま | 2010年8月18日 (水) 22時06分
キツネノカミソリとヒガンバナ、どちらも“葉見ず・花見ず、
そして、花を咲かせるのは、ご先祖様のお祭りの時期。
面白いなぁと思ってしまいます。
標準和名のセンスはキツネノカミソリに軍配が上がりますが・・・(^^)
ルリボシカミキリ、美しいですよね。
あの“上質感”のある美しさは他にはないですね。
投稿: こにタン | 2010年8月18日 (水) 20時49分