« クマと遭遇したら | トップページ | ニホンザル »

2010年9月12日 (日)

新参者の定着

20100912tumagurohyoumonn

3年ほど前から、ツマグロヒョウモンを村内で見かけることが多くなってきた。
※その頃の記事は→こちらから。

もともとは、関西以西に主として棲息していた蝶で、じわじわと東征してきている。
東京や横浜などの都市部では、2006年頃から定着が始まったと考えられているが、それから1~2年で、川場村にまで侵出してきたことになる。

川場村での発見当初は、建物の外構や道路脇の植え込みなどに植えられたパンジーやビオラなどの苗に卵や幼虫がついてきて、村内で羽化した可能性が高いと思っていた。
そして、都心部とは比べものにならないほど厳しい川場村の冬を越すことはないだろうとたかをくくっていたのだが、あに図らんや、しっかりと定着しつつあるようだ。

この蝶は、幼虫で越冬を行うのだが、冬でも暖かい気密住宅の普及や舗装路面の拡大等々の、いわゆる“地域の都市化”がこの蝶の棲息を可能にしていると考えて良いだろう。
成虫はともかく、幼虫や蛹を見かけるのは、村内でも、集落や宿泊施設の周辺が多いことからも、そう外れた推理ではないと思っている。

ところで、村内では、ミドリヒョウモンメスグロヒョウモン等々、他のヒョウモンチョウが在来種として棲息してきたのだが、ツマグロヒョウモンという新参者が定着しつつあることが、在来種にはどのような影響を及ぼしているのだろうか。

ヒョウモンチョウの多くは、幼虫時代の食草にスミレの仲間を選んでおり、ツマグロヒョウモンの幼虫が食べるパンジーやビオラなど園芸植物もスミレの仲間なのである。
つまり、食草の競合で在来種に圧力がかかることも考えられるのだが、前述のように、ツマグロヒョウモンは集落周辺、その他のヒョウモンチョウは森林地帯、というように棲み分けているのだとしたら悪影響は少ないのかもしれない。

むしろ、温暖化の影響で、在来種が東へ、あるいは北へと生息地を移しているとしたら、それらのニッチをツマグロヒョウモンが埋めているということもあるのかもしれない。

生き物を見つめるということは、人間の計画下、管理下に彼らを置くということではない。
だからこそ、人間にとって好都合なことも、そして不都合なことも粛々と受け入れる姿勢が求められているように思う。

ツマグロヒョウモンの川場村への侵出を、人為による自然の攪乱と断ずるのか、種々の環境変化による生息域の変動と考えるのか、明確な答えを出すことができるのはもう少し先のことになりそうだ。

20100902 マルバハギで休息するツマグロヒョウモンのオス(後山)
NIKON D90 70-300

|

« クマと遭遇したら | トップページ | ニホンザル »

虫と一緒に森林づくり2010」カテゴリの記事

コメント

ふじさん!
こんばんは!

朝日新聞の記事を確認いたしました。
研究者・行政の担当者・新聞記者ともに誠実な方々のチームワークが結晶した記事だなあ、と感じました。
軽々に“地球温暖化”などと云わないところが立派ですね。
当たり前のことですが。
ご紹介ありがとうございました!

投稿: くま | 2010年9月17日 (金) 22時10分

ツマグロヒョウモンの北上、についての記事が
17日付の朝日新聞夕刊一面に「菅改造内閣」の記事に食いこんで掲載されています。
市民参加による「いきものみっけ調査」の結果報告です。
858件の発見地点が地図にポイントされていますが、川場村のあたりには・が無いようですね。

投稿: ふじさん | 2010年9月17日 (金) 17時29分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新参者の定着:

« クマと遭遇したら | トップページ | ニホンザル »