患うクマバチ
後山の見晴台の辺りでは、夏から秋にかけての比較的長い間、何匹かのクマバチがテリトリー(縄張り)を張って飛び回っている。
テリトリーをもつのは雄のみで、雌が自分のテリトリーに入ってくるのを待っているのだが、テリトリーに入ってくるものがいると大急ぎで翔んでくる。
そして、まずは同種の雌であるかどうかを確認し、それが雌であればプロポーズに移るのだが、同種の雄はもちろんのこと、蝶やトンボ、鳥などにさえも攻撃を仕掛け、追い払おうとする。
人間相手に攻撃は仕掛けてはこないが、まとわりつくように翔びまわることがある。
蜂の針は、産卵管が変化したものなので、当然、雄のクマバチにも針はなく、彼らが刺すことはなく、知らない者は怖れて大騒ぎをするが心配は無用。
この日も、私の周囲を翅音を立てながら翔びまわる一匹のクマバチがいた。
そうしたこと自体は、いつものありふれた光景だったのだが、このときの個体が妙に白っぽく粉を吹いているように見えたことが気を惹いた。
花粉を付けているのともどうも違うようだ。
いろいろと調べてみると、“白彊病(はくきょうびょう)”に冒されている個体だったようである。
この病気は、昆虫病原性糸状菌のうちのボーベリア菌が生きている昆虫に感染して起こる病気で、様々な昆虫が感染するため、養蚕が盛んだった頃は怖ろしい病原菌として意識されていたようである。
最近では、松枯れの原因となるマツノマダラカミキリの防除にこの菌を用いる研究もなされていると聞く。
生きながらにして体中がカビに覆われ、死に至る。
想像しただけでもゾッとするが、これもまた自然の姿なのである。
20100902 白彊病に冒されたクマバチ(後山)
NIKON D90 70-300 トリミング
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コメント
ごんさん!
“白彊病”は“発狂病”のようですよね。
罹りたくないなあ…
投稿: くま | 2010年9月21日 (火) 12時52分
生きながらにして体中がカビに覆われ、死に至る。
↑
う~ん、確かに自分が同じ病気になったら恐怖で気が狂うかもしれない。
でも、このハチは生きるための営みをしているのですよね。尊敬しますね。
投稿: ごん | 2010年9月21日 (火) 11時58分