ツリフネソウにマルハナバチ
紫色のちょっと変わった花はツリフネソウ。
ツリフネソウ科ツリフネソウ属のツリフネソウなのだから、まさに正統派である。
花壇を彩るホウセンカやインパチェンスなどとも近縁で、熟れた実に触れるとパチンとタネを飛ばす。
このツリフネソウを見ていると、一匹のマルハナバチが羽音を立てながらやってきた。
ちゃんとマルハナバチのために着陸用の足場まで用意されている。
まずは、足場となる花弁に着地すると、滑るように袋状の花の中へ潜り込んでいった。
この花の蜜はは、一番奥のくるりと巻いた“距”にあるので、潜っていかなければ蜜にありつくことはできないのだ。
全身を花の中に潜り込ませて数秒すると、マルハナバチは後ずさりをしながら花から出てきた。
花の中は、くるりと向きを変えられるほど広くはないのだ。
実は、このサイズに秘密がある。
袋状の花の天井部分に雄しべが用意されていて、蜜を求めてマルハナバチが入り込むと、背中に雄しべがくっついて花粉を背負わせる仕組みになっているのである。
中が広ければ、花粉が背中につかない可能性もある。
そのため、マルハナバチの体格に合わせたサイズの花を咲かせているのだ。
写真は、マルハナバチがツリフネソウの花から出てきたところ。
背中に何かを着けられてしまったのが分かるようで、脚で一生懸命に取ろうとしているようだ。
けれど、ほんの数回ポリポリと掻くと「気にはなるけど、まあいいや」とばかり飛び立って、次の花を探していた。
ツリフネソウとマルハナバチは、互いの存在を利用しながら進化してきたと云われているが、進化には気の遠くなるような時間が必要だ。
どれほどの時間を、この両者が相身互いでやってきたのか、想像するだけで愉しくなるではないか。
20100920 ツリフネソウとマルハナバチ(中野地区)
NIKON D300 28-300
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