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2010年9月 7日 (火)

クマに襲われる一つのパターン

20100907kuma

調査のためなどでツキノワグマに出遭いたいと思っていても、そうそう出遭えるものではない。

私自身、川場村では一度しか出遭っていないし、私に森林(やま)づくりのイロハの“イ”の字から教えてくれたベテラン林業家は、80年に達しようとする彼の人生の中で、村内でクマに出遭ったことは未だないという。

それほどまでにツキノワグマは、人間を怖れ、聴覚や嗅覚が優れ、かつ慎重に行動することができる賢い動物なのである。

さらに、クマは“庶行性”といって、つま先からかかとまでを地面にべったり付けて歩く動物で、人間と同じように、非常にやわらかな足の裏をもっている。
そのため、森林(やま)のなかで、クマがすぐ傍を歩いたとしても、クマほどに感覚が鋭敏ではない人間にはその存在を察知することは難しいのだ。

では、なぜ、人間がクマに襲われるような事態が起こるのだろうか。
その典型的なパターンを一つ紹介したい。

それは、山菜採りやキノコ狩りなどの際に襲われるというものである。
このケースが、事故中もっとも多いようだ。

公園のベンチで読書に没頭していたりして、気が付くとすぐ目の前まで小鳥がやって来ていたりすることがあるが、野生の生物は、人間の意識がどこに向いているのかを敏感に察知し、自分に向いていないと判断すると、その人間に対して警戒心を解き、岩や樹木と同じようにそこに無いも同然の行動をとることがある。
ベテランの猟師などの中には、意識してこうした状態をつくることができる者もいると聞くが、一般的にはなかなかできるものではない。
けれど、山菜やキノコに夢中になっている時などは、無意識のうちに、こうした状態になっていることがある。

そうした状態にあるときには、クマも人間の存在に気が付きにくいので両者が非常に接近してしまう場合がある。そして、何かの拍子に人間が我に返り、辺りを見渡したりすると、途端にクマも人間の存在を感知して、止むにやまれず攻撃に移るらしいのだ。

相手が人間に対する警戒心の薄い個体や、経験の浅い若熊などでは、特にこうした事態に陥りやすいのだろう。
事故には至らなくとも、若いクマの目撃情報が多いことが、この推測を裏付けている。

調査の時などには、どこかにクマがいないかと“気”を発し続けているのだろう。
だからこそ、クマに出遭うことが難しいのに違いない。

森林(やま)の中で何かに没頭することがないように注意することが、クマに遭わずにすむためには有効だといえるだろう。

20100705 水場から出てきたツキノワグマ
自動撮影装置

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