クマは食いしん坊
ツキノワグマという動物は、ともかく食物に対する執着が強い動物である。
普段は、極力人との接触を避けるようにしているが、一度、美味しい食べ物があると分かると、人間の生活圏にも入ってくる。
こうした行動特性は、クマの進化と大きく関係している。
クマは、生物学上は“食肉目(ネコ目)”に分類される動物であることが示すように、躰は肉食動物の形態を強く残しているのにもかかわらず、食性はほぼ草食といってよいほどに変化しているのだ。
具体的には、歯(裂肉歯)が肉食動物の特徴を色濃く残していることや、消化器官もいたってシンプルであり、これも肉食動物のそれであるにも関わらず、ドングリなどの堅果類や木の実、花や葉などを摂食するため、消化効率がとても悪く、そのため、大量に食べ無ければならないのだ。
他の動物を狩るのには、大変なエネルギーが必要であるため、クマはそれよりも、どこにでもある植物を食べる方向の進化を選んだというわけだ。
この先、何万年か経った頃には、歯や消化器が草食に適合したものに変化し、それによって小食になっているのかもしれないが、ともかく、現在のクマはそうはなっていない。
だからこそ、クマは食べることにどん欲にならざるをえないのだ。
クマのこうした特徴を知っておくことが、農業被害を最小限に抑えるためにも是非必要なことであるはずだ。
(2010/10/28 生品地区)
自動撮影装置
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