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2010年10月の14件の記事

2010年10月29日 (金)

クマは食いしん坊

20101028kuma

ツキノワグマという動物は、ともかく食物に対する執着が強い動物である。
普段は、極力人との接触を避けるようにしているが、一度、美味しい食べ物があると分かると、人間の生活圏にも入ってくる。

こうした行動特性は、クマの進化と大きく関係している。

クマは、生物学上は“食肉目(ネコ目)”に分類される動物であることが示すように、躰は肉食動物の形態を強く残しているのにもかかわらず、食性はほぼ草食といってよいほどに変化しているのだ。
具体的には、歯(裂肉歯)が肉食動物の特徴を色濃く残していることや、消化器官もいたってシンプルであり、これも肉食動物のそれであるにも関わらず、ドングリなどの堅果類や木の実、花や葉などを摂食するため、消化効率がとても悪く、そのため、大量に食べ無ければならないのだ。

他の動物を狩るのには、大変なエネルギーが必要であるため、クマはそれよりも、どこにでもある植物を食べる方向の進化を選んだというわけだ。
この先、何万年か経った頃には、歯や消化器が草食に適合したものに変化し、それによって小食になっているのかもしれないが、ともかく、現在のクマはそうはなっていない。

だからこそ、クマは食べることにどん欲にならざるをえないのだ。

クマのこうした特徴を知っておくことが、農業被害を最小限に抑えるためにも是非必要なことであるはずだ。

(2010/10/28 生品地区)
自動撮影装置

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2010年10月26日 (火)

臭いの正体

20101026supponntake

後山を散策していると、何かが腐ったような、あるいは便臭に近いような臭いがするのに気が付いた。

森林(やま)では臭いも様々なことを教えてくれる。
カブトムシがいるところはカブトムシの臭いがするし、獣臭いと思ったらすぐ傍にヌタ場があったりする。そして、松林は松林の、杉林は杉林の臭いがする。

だから、長い間、森林(やま)の中で面白いものを探し続けていると、臭いの変化に敏感になってくるのだ。

この日に嗅いだような臭いがすると、草食ではないタイプの動物が近くにいることがあるので、すぐさま辺りを見渡した。
すると、動物ではなく、一本の変わった形のキノコが目に入った。

臭いの正体は、このキノコだったのだ。

スッポンタケというキノコで、高級中華食材のキヌガサタケなどと近い種類である。
名前の由来はいうまでもなく、その形状が首を伸ばしたスッポンに似ていることに因る。

臭いは、写真の暗緑色の部分から発せられているのだが、この部分は“グレバ”と呼ばれる部位で、ここに胞子が存在し、臭いに惹かれてやってきたハエなどに胞子を運ばせようとしているのだ。

キノコの繁殖戦略も実に手が込んでいて面白いものである。

(2010/10/16 後山)
NIKON D300 28-300

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2010年10月25日 (月)

秋景色の中で

20101024kakinoki_2農山村では、取り立てて珍しくない秋の風景。
柿の木を彩る実が美しい。

柿渋を採って漁具を染めたり、干し柿を冬の蓄えとしたり、様々に利用したため、かつてはどの家の庭にも植えられていた。

けれど、若者は都会で就職し、残された者は高齢化し、用に供されなくなって、たわわに実った柿の実がそのままに冬を迎えることも多くなった。

このところ連日のようにツキノワグマ出没のニュースが伝えられている。

たしかに、躰も大きく、力も強いツキノワグマは、地域の生活者にとっては怖ろしい存在でもあるし、苦労をして育てた農作物を荒らされれば心穏やかではいられない。

日中にも出没するということになれば、子ども達に「おもてで遊べ」というのにも躊躇せざるを得ない。

クマが棲む地域に住む者の心情は、クマの棲まない地域に住む者にはなかなか理解できないことなのだ。

採りきれない柿や栗の実が放置されていれば、クマが寄り付くことは、農山村の住民で知らない者はいないだろう。
それでも、実を採っておくことも、樹を切り倒してしまうこともできない現実がある。

クマがでてから猟友会を頼むことも、慌てて電気柵で畑を囲うことも、否定はできないが、そうした行為は、熱が出たから解熱剤を服用するのと同じ“対症療法”である。
本来は、熱など出さずにすむように、まず予防的な行為に気遣い、そして発熱時には、その原因を探り“根治的療法”を行わなければ、いつまでたっても同じことの繰り返しとなる。

野生鳥獣の保護と安心できる地域生活の両立を図るためには、静かな農山村の風景の中に柿の実が鮮やかなことを愛でるばかりではなく、柿もぎで賑やかな風景を取り戻さなければいけないのだと思う。

(2010/10/16 生品地区)
NIKON D300 28-300

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2010年10月23日 (土)

秋の花

20101023rindou

リンドウは、秋を代表する山野草だ。
それなのに、私が川場村でリンドウの開花を見ることができたのは今回が初めてのことだった。

もちろん、私の目が曇っていることも大きな原因には違いないが、それだけではない。

本来、リンドウは人里の、それも、よく草刈りが施されたところに出現する植物なのだ。
だから、人々が森林(やま)の恵みを得るために道普請を行ったり、屋根を葺くために茅場を利用したり、そういった営みが少なくなるのと歩調を合わせて数を減らした植物なのだ。

今回は、後山(虚空蔵山)の道脇で出遭うことができたのだが、ここ数年間、村の施策として後山の整備に力が入れられ、村民を主体にしながら、村外者の協力も得て間伐や草刈りなどが熱心に行われた結果が、今年の開花となって現れたのだと思う。

かつて、あたりまえにあった風景に出遭えなくなりつつあることを憂う気持ちが、森林(やま)をまもる原動力なのだと思う。

いつでも傍に在る、身近な存在の価値に気づき、あたりまえの存在を大切にするというのは難しいものである。
いつも失ってから気づく。

後山で出遭うことができたリンドウも、後山の整備が一過性のものに過ぎなければ、再び静かに姿を消していくだろう。

森林(やま)を守り育てていくということは、なかなか難しいものであるようだ。

(2010/10/16 後山)
NIKON D300 28-300

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2010年10月21日 (木)

ツキノワグマ

20101021kuma

自動撮影装置に大きなツキノワグマが記録された。
新しく設置した装置で、設置後約一ヶ月が経過したのだが、その間にちょうど60カットの記録写真が撮影されている。

ツキノワグマの他には、ニホンジカ、ニホンカモシカ、イノシシ、タヌキ、ニホンザル等が写っている。

この自動撮影装置は、集落からそう遠くないところに設置してあり、人やネコなども写されており、ツキノワグマが人々の生活のすぐ傍まで来ていることを示す結果だといえるだろう。

この写真からだけでは判然としないが、別に写っている他の動物と比較すると、体長1.5m近い大きな個体だと推測することができる。

(2010/09/28)
自動撮影装置 

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2010年10月18日 (月)

美しい光景の中で

20101018tumagurohyoumonn

久しぶりにBerryさんのお店でのんびりとした昼食を楽しむことができた。
今シーズンは何だかんだと慌ただしく、なんと初訪問だった。

丹誠込めて手入れされた庭では、マリーゴールドがきれいに咲き誇っていた。

ふと気が付くと、何頭ものツマグロヒョウモンが飛び交っている。
昨年に続き、今年も昆虫がとても少ないように感じているのだが、秋に入って、この蝶だけは例年以上に目につく。

もともと、この地に定着していた蝶ではないので、川場村の気候がおかしくとも、この蝶にとってはたいした影響はないのかもしれない。

昨年、そして今年の異常な気候が在来昆虫の数を減らし、他所からの流入種が爆発的に増加するきっかけとなってしまうかもしれない。

とても美しい蝶だとは思うのだが、この蝶ばかりが翔んでいるのを見ると複雑な思いに駆られてしまう。

写真はツマグロヒョウモンの雌。
雄の写真は→こちらから

(2010/10/17 川場湯原地区)
NIKON D300 28-300 

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恋の季節に突入

20101017sika

9月10日の記録では、まだ躰に夏毛特有の斑点を残していたニホンジカも、今月14日の記録から見ると、冬毛に換毛したようだ。

雄鹿が雌を誘う“ラッティングコール”も聞こえ始めていた。

それにしても立派な角である。
これだけの角になると、片方だけでもずっしりと重い。
このようなものを、翌春までの約半年もの間、頭に乗せているのだから、もし人間ならば首や肩の凝りで鍼灸医のもとへでも通い始めなくてはならないところだろう。

(2010/10/18 川場湯原地区太郎)

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2010年10月17日 (日)

実りの秋

20101016ringo

昨年は、冷夏と長雨に祟られ、今年は春の訪れが遅く、その上記憶に新しい酷暑。
その影響か、毎年目を楽しませてくれる花が咲かなかったり、虫がとても少なかったりと、今年の川場村はどうも様子がおかしかった。

全国的にも似たような傾向の中で、米を始めとする農産物に大きな影響がでている。

川場村ではどうなのか、とても心配していたのだが、今のところ米もリンゴも、質・量ともに平年並みという話を聞き、少し安心している。

今日の川場村は曇りがちの天候の中でも、時折晴れ間が顔を見せてくれて、そんな時に、たわわに実ったリンゴが青空に映えていた。

米は籾摺り、リンゴは葉摘み、そしてどちらも集出荷作業と、農家の大忙しの日々がまだまだ続くが、みんなの笑顔のために一踏ん張りをお願いしたい。

20101016 実ったリンゴ(中野地区)
NIKON D300 28-300

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2010年10月15日 (金)

おなじみさん

20101014kamosika

先日実施した養成教室で、小雨降る中をおしてカブトの森に出かけた。
翌日に行う間伐の対象木を選び、作業の手順などを確認して宿舎である“なかのビレジ”へ戻る途中で一頭のニホンカモシカと出遭うことができた。

もう時刻は16時をまわり、まして小雨が降り続くような天候だったので、辺りはずいぶん暗くなっていた。

カメラのISO感度を3200まで上げ、それでも1/5秒のシャッターしか切れない。
何枚撮り直しても、手持ちのカメラではブレがおさまらない。
杉木立にカメラを押し付けて、どうにかこうにか撮ったのがこの一枚。

言い訳ばかりしているようだが…そのとおりなのである。

それはさておき、このカモシカ。
実は、お馴染みの一頭だ。
これまでにも、しばしばお目にかかっている。

初めて、それと意識したのは2008年の9月28日のこと。
森の村”のすぐ傍での出遭いだった。

体格や風貌から判別できることもあるが、このカモシカの場合はもっとはっきりとした特徴をもっている。
右の耳に大きな切れ込みが入っているのである。

この個体は、角輪の具合などから雌だと思われるので、耳の傷は雌どうしの縄張り争いでついたものなのかもしれない。
カモシカは、雄も雌も、それぞれ異性が自分の縄張り(テリトリー)に侵入することには寛大なのだが、同性どうしでは自分の縄張りを侵すことを決して許さないのだ。

当のカモシカには気の毒だが、こうした傷も個体識別の大きな手がかりになるのである。

耳に傷をもつので“ミミ”とでも名付けようか。

20101009 ニホンカモシカ(友好の森)
NIKON D300 28-300

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2010年10月13日 (水)

衣替え

20101013amagaeru_2

やはり秋はちゃんとやってきているようだ。

アマガエルといえば緑色のカエルと相場が決まっているようだが、そうでもない。

秋の訪れとともに、森林(やま)には枯れ葉色が増えてきた。
それに伴ってアマガエルも衣替え。

制服姿の中学生や高校生達が冬服に着替えるように躰の色を変えている。

お馴染みの緑色では、これからの時期には目立ってしまう。
ヘビや鳥には狙われてしまうし、餌には逃げられてしまうだろう。

ちゃんと周囲の色に合わせて保護色を身にまとっている。

それにしても不思議なものである。

周囲の色は確認できるだろうが、鏡もカメラももたない彼らが、どのようにして自分の色を決めているのだろうか。

体色を変化させる仕組み自体は、岡山大学の生体情報システム研究室他でわかりやすく解説してくれているのだが、「これでよし!」と確認する作業についてはどうもよく分からないのだ。

20101010 ニホンアマガエル(中野地区友好の森)
NIKON D300 28-300

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2010年10月12日 (火)

養成教室

20101011youseikyousitu

10月9日から10日にかけての2日間、森林(やま)づくり塾の養成教室を開催した。

今回のメインテーマは“除間伐”。

足場の悪い傾斜地で、刃物を使い、樹木という重量物を扱うので、危険性の高い作業だが、植林地では重要な作業である。

選木の要点に始まり、使用する道具のこと、伐倒の手順、森林の生物多様性に配慮した管理に向けた新たな考え方など、多岐にわたる講義と作業体験。

森林(やま)では、子育てを終えたカラ類が混群をつくりはじめ、里では米とリンゴの収穫が始まった。

20101010 養成教室(友好の森)
NIKON D300 28-300

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2010年10月10日 (日)

ヒメネズミを確認!

20101010himenezumi

8月に実施した“こどもやまづくり教室”で、参加者の小学生たちと共にヤマネ用の巣箱を友好の森に設置した。
その後、狙いどおりにヤマネが巣箱を訪れてくれて、子ども達でも、森林(やま)の調査に一役買うことが可能であることを証明することができた。

今回は、その続報。

子ども達が仕掛けてくれた巣箱の様子を見まわると、かなりの確率で、何らかの生物が巣箱を利用し始めていることを確認することができた。
巣穴のまわりに土がついていたり、巣穴から落ち葉などが見えていたりする巣箱が沢山あったのだ。

そんな巣箱の一つを、そっと覗いてみると、“ヒメネズミ”のペアーが住み着いてくれていた。

実は、ヤマネの巣箱を設置するときに子ども達には話したのだが、ヤマネ以外にも、樹の上での活動が得意な“ヒメネズミ”も巣箱を利用することは始めから予想していた。
群馬県立尾瀬高等学校の高校生達が、武尊山麓で実施した調査でも、ヤマネ用の巣箱をヒメネズミがしばしば利用することが確認されていたからだ。

もし、ヒメネズミが巣箱に居るとしたら、巣箱の蓋を開けた途端に脱兎のごとく逃げ出すだろうと想像していたので、蓋を開けても落ちついて可愛らしい顔を見せてくれたことはとても意外であった。

ヒメネズミは、その名のとおりネズミの中でも小型のネズミで、大きな個体でも体長(尾は含めない)が10cm程度、ドングリ等の堅果を主食とする動物である。

ヤマネ同様、冬眠をする動物なのだが、冬眠中に死んでしまう個体もとても多く、森林総合研究所が奈良県で行った研究によれば、冬眠に入った個体のうち、7~8割もの個体が春を迎えられずに死んでしまうのだという。

今回の記録によって、川場村にもヒメネズミが棲息していることが明らかになった。
これによって、川場の森林(やま)がどのような生物によって構成されているのかが、また一つ解明されたと云ってよい。

子ども達と一緒に行ったチャレンジが、また一つ成果を上げたのだ。

20101010 巣箱を利用するヒメネズミ(中野地区友好の森)
RICOH GR DIGITALⅡ

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2010年10月 7日 (木)

秋の光景

20101007kitateha

タイアザミの花にキタテハが吸蜜に来ている。

タイアザミの花は川場村の秋を彩る代表だし、そこに来ているキタテハも“秋型”といわれるタイプの翅模様を呈している。
秋の典型的な光景である。

今年の夏の異常な暑さの影響が、川場村の秋にどのように現れるのかと心配したが、今のところ深刻な影響は出ていないようで、とりあえずはホッとしている。

ただし、昨年の冷夏、今年の酷暑と連続した異常気象は、自然界のあらゆるところに影響を与えているに違いなく、表面的な観察で安心はできない。

キタテハの羽模様は、写真のものよりも黒い部分が多い“夏型”と、この写真の個体のような“秋型”があるのだが、日照時間や温度などの要因で、違いができると考えられている。
もし、この時期に“夏型”個体を目にするようであれば心配が増していたところだった。

20100920 タイアザミと秋型のキタテハ(中野地区)
NIKON D300 28-300

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2010年10月 1日 (金)

ヒロイド原でイノシシ被害

20101001inosisi

世田谷区民健康村のスタッフブログを訪ねたら、ヒロイド原のソバ畑がイノシシによって壊滅的な被害を受けたことが報告されていた。

ソバ畑の作業から行い、自分で育てたソバを自分で打って堪能する、そんな楽しみを見つけて川場村に通ってきている“手づくりそばの会”の皆さんの落胆した顔、怒り心頭の顔が浮かんでしまう。

気持ちを込めてつくり、収穫を心待ちにして、もう目の前までその時が来たというところで被害に遭うのは本当に辛いことだ。

畑仕事をしたことのない人には「何を大げさな」と云われてしまうかもしれないが、こういう目に遭うと本当に何もかもが嫌になってしまうほどだ。

けれど、どうか野生動物のことも冷静に考えて欲しい。
野生動物も、森林(やま)をつくる掛け替えのない仲間であることも確かなことなのだ。

多くの生物の共同作業によって土がつくられ、花粉が運ばれ、種子が運ばれ、森林ができる。
そして、森林(やま)が蓄え、育てた水が田畑を潤す。
森林を背負わない農業などあり得ないのだ。

野生生物たちとの共存の途を探るためには、彼らの棲息頭数を始め、生理や生態等をよく知ることから始めなければならない。

20100919 ヒロイド原の雌イノシシ
自動撮影装置

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