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2010年11月15日 (月)

執念

20101114kuma

久しぶりに群馬県立二十一世紀の森に足を延ばしてきた。

ここは、何年も前からとてもクマの気配が濃いところで、ヤマグリの樹にはクマ棚が目立つし、ブナやホオノキには沢山のクマの爪痕がつけられている。

この二十一世紀の森を訪れたときには、なるべく確認するように気を付けてきた樹が一本ある。
胸高直径が70cmほどのミズナラの大木だ。

この樹の地際から150cmほどの高さには洞があり、ニホンミツバチが巣を作ってきた。
そして、そのミツバチの巣を狙って、明らかにツキノワグマの仕業と分かる痕跡が残されているのである。

左の写真は、2006年のもので、洞の口からはクマの手が入らなかったのだろう、穴の周囲や裏側に夥しい掻き傷があり、樹幹が大きく削られていた。
それでも、ミズナラも枯れることなく毎年葉をつけ、ミツバチも代々巣を作り続けていた。

それが、今日現場を再訪すると、右の写真のように、件のミズナラは枯死し、それまで無かった大穴が空けられていた。
もちろん、ミツバチの巣はかけらも残されてはいなかった。

私が、この樹の存在に気づいたのは、10年以上前のことであり、その時点では既にクマの格闘の痕が認められたので、さらに長い年月をかけてクマがこの樹に執着し続けたことになる。

もちろん、一頭のクマの仕事ではないかもしれないが、クマの執念が、ついに甘い蜂蜜を口にする栄誉を与えたのである。

ミズナラの樹とニホンミツバチにとっては、とんだ受難の年となってしまったわけだが、クマにとっては長年の苦労が酬われた年となった。

この、ミズナラの枯れ木とそこに穿たれた穴は、フクロウの住処となったり、キツツキのレストランとなったりしながら森林(やま)の命の連鎖を支える存在になっていくのだろう。

(写真左:2006/11/23 写真右:2010/11/14 二十一世紀の森)

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川場のけものと鳥たち2010」カテゴリの記事

コメント

ピッコロさん
こんばんは!

身に余るお褒めの言葉、ありがとうございます!
けれど、何かを頑張ったわけでもなく、面白いものを見つけ、また見たくて通っているうちに、あっというまに10年ばかりが過ぎただけのことです。
もっときちんと計測をしたりしていればよかったと後悔しきりです。

投稿: くま | 2010年11月19日 (金) 01時01分

時間をかけたいい観察ですね。
こういうことは普通の人にはなかなかできません。

投稿: ピッコロ | 2010年11月18日 (木) 23時46分

ごんさん!
こんばんは!

為せば成る!

なんだか、現場でしみじみしてしまいました。

投稿: くま | 2010年11月15日 (月) 01時14分

ん~自然の営み…執念…厳しさも感じつつ、身体の底から熱いものがこみ上げてきます。

投稿: ごん | 2010年11月15日 (月) 01時12分

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