カテゴリー「虫と一緒に森林づくり2010」の39件の記事

2010年12月 3日 (金)

スズメバチの越冬

20101203kirosuzumebati

今年も、あと僅かというところまでやってきた。
無為に過ごしていても月日というものは流れるもので、また何も為さないままに一年間を過ごしてしまった。
数え年で年齢を算えるならば、また一つ歳をとることになる。

写真は、先月半ばの森林(やま)のなか。

数名で、“二十一世紀の森”の近くを散策していると、同行者がアカマツの切り株に足を取られた。
けれども、もう土に還ろうとしている切り株だったので、脚を痛めることもなく、また何の音も立てずに切り株が崩れた。

その切り株の欠片に一匹のスズメバチがしがみついていた。
キイロスズメバチの女王蜂である。

キイロスズメバチは、家の軒先などに大きな巣を作る蜂で、一つの巣に暮らす個体数も多く、また攻撃性も高い蜂なので、人が刺される事故もとても多い。
秋に入ると、新女王が誕生し、雄蜂と交尾を行う。
雄蜂や他の働き蜂(雌)は、気温の低下と共に死滅してしまうが、交尾を終えた新女王だけは次世代に命を繋ぐために冬越しの体勢にはいるのだ。

朽ち木や土塊の隙間でじっと冬を越す。

やがて、雪解けの頃になると、女王は起き出して、花の密や樹液などで腹を満たし、新しい巣造りに取り掛かるのだ。

蹴飛ばして崩してしまった切り株は、そっと元のように戻しておいたのだが、はたしてこの女王蜂は無事に越冬することができるだろうか。

(2010/11/14 谷地地区)
NIKON D300 28-300

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2010年10月18日 (月)

美しい光景の中で

20101018tumagurohyoumonn

久しぶりにBerryさんのお店でのんびりとした昼食を楽しむことができた。
今シーズンは何だかんだと慌ただしく、なんと初訪問だった。

丹誠込めて手入れされた庭では、マリーゴールドがきれいに咲き誇っていた。

ふと気が付くと、何頭ものツマグロヒョウモンが飛び交っている。
昨年に続き、今年も昆虫がとても少ないように感じているのだが、秋に入って、この蝶だけは例年以上に目につく。

もともと、この地に定着していた蝶ではないので、川場村の気候がおかしくとも、この蝶にとってはたいした影響はないのかもしれない。

昨年、そして今年の異常な気候が在来昆虫の数を減らし、他所からの流入種が爆発的に増加するきっかけとなってしまうかもしれない。

とても美しい蝶だとは思うのだが、この蝶ばかりが翔んでいるのを見ると複雑な思いに駆られてしまう。

写真はツマグロヒョウモンの雌。
雄の写真は→こちらから

(2010/10/17 川場湯原地区)
NIKON D300 28-300 

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2010年10月 7日 (木)

秋の光景

20101007kitateha

タイアザミの花にキタテハが吸蜜に来ている。

タイアザミの花は川場村の秋を彩る代表だし、そこに来ているキタテハも“秋型”といわれるタイプの翅模様を呈している。
秋の典型的な光景である。

今年の夏の異常な暑さの影響が、川場村の秋にどのように現れるのかと心配したが、今のところ深刻な影響は出ていないようで、とりあえずはホッとしている。

ただし、昨年の冷夏、今年の酷暑と連続した異常気象は、自然界のあらゆるところに影響を与えているに違いなく、表面的な観察で安心はできない。

キタテハの羽模様は、写真のものよりも黒い部分が多い“夏型”と、この写真の個体のような“秋型”があるのだが、日照時間や温度などの要因で、違いができると考えられている。
もし、この時期に“夏型”個体を目にするようであれば心配が増していたところだった。

20100920 タイアザミと秋型のキタテハ(中野地区)
NIKON D300 28-300

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2010年9月30日 (木)

ツリフネソウにマルハナバチ

20100930maruhanabati

紫色のちょっと変わった花はツリフネソウ。
ツリフネソウ科ツリフネソウ属のツリフネソウなのだから、まさに正統派である。
花壇を彩るホウセンカやインパチェンスなどとも近縁で、熟れた実に触れるとパチンとタネを飛ばす。

このツリフネソウを見ていると、一匹のマルハナバチが羽音を立てながらやってきた。

ちゃんとマルハナバチのために着陸用の足場まで用意されている。
まずは、足場となる花弁に着地すると、滑るように袋状の花の中へ潜り込んでいった。
この花の蜜はは、一番奥のくるりと巻いた“距”にあるので、潜っていかなければ蜜にありつくことはできないのだ。

全身を花の中に潜り込ませて数秒すると、マルハナバチは後ずさりをしながら花から出てきた。
花の中は、くるりと向きを変えられるほど広くはないのだ。
実は、このサイズに秘密がある。

袋状の花の天井部分に雄しべが用意されていて、蜜を求めてマルハナバチが入り込むと、背中に雄しべがくっついて花粉を背負わせる仕組みになっているのである。
中が広ければ、花粉が背中につかない可能性もある。
そのため、マルハナバチの体格に合わせたサイズの花を咲かせているのだ。

写真は、マルハナバチがツリフネソウの花から出てきたところ。
背中に何かを着けられてしまったのが分かるようで、脚で一生懸命に取ろうとしているようだ。

けれど、ほんの数回ポリポリと掻くと「気にはなるけど、まあいいや」とばかり飛び立って、次の花を探していた。

ツリフネソウとマルハナバチは、互いの存在を利用しながら進化してきたと云われているが、進化には気の遠くなるような時間が必要だ。
どれほどの時間を、この両者が相身互いでやってきたのか、想像するだけで愉しくなるではないか。

20100920 ツリフネソウとマルハナバチ(中野地区)
NIKON D300 28-300

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2010年9月18日 (土)

患うクマバチ

20100918kumabati

後山の見晴台の辺りでは、夏から秋にかけての比較的長い間、何匹かのクマバチがテリトリー(縄張り)を張って飛び回っている。

テリトリーをもつのは雄のみで、雌が自分のテリトリーに入ってくるのを待っているのだが、テリトリーに入ってくるものがいると大急ぎで翔んでくる。
そして、まずは同種の雌であるかどうかを確認し、それが雌であればプロポーズに移るのだが、同種の雄はもちろんのこと、蝶やトンボ、鳥などにさえも攻撃を仕掛け、追い払おうとする。

人間相手に攻撃は仕掛けてはこないが、まとわりつくように翔びまわることがある。
蜂の針は、産卵管が変化したものなので、当然、雄のクマバチにも針はなく、彼らが刺すことはなく、知らない者は怖れて大騒ぎをするが心配は無用。

この日も、私の周囲を翅音を立てながら翔びまわる一匹のクマバチがいた。

そうしたこと自体は、いつものありふれた光景だったのだが、このときの個体が妙に白っぽく粉を吹いているように見えたことが気を惹いた。
花粉を付けているのともどうも違うようだ。

いろいろと調べてみると、“白彊病(はくきょうびょう)”に冒されている個体だったようである。
この病気は、昆虫病原性糸状菌のうちのボーベリア菌が生きている昆虫に感染して起こる病気で、様々な昆虫が感染するため、養蚕が盛んだった頃は怖ろしい病原菌として意識されていたようである。

最近では、松枯れの原因となるマツノマダラカミキリの防除にこの菌を用いる研究もなされていると聞く。

生きながらにして体中がカビに覆われ、死に至る。
想像しただけでもゾッとするが、これもまた自然の姿なのである。

20100902 白彊病に冒されたクマバチ(後山)
NIKON D90 70-300 トリミング

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2010年9月15日 (水)

コフキゾウムシ

20100914kohukizoumusi

仕掛けてあるセンサーカメラ(自動撮影装置)のデータを回収するために後山に足を延ばすと、一見夏と変わらぬようでいて、それでもちゃんと秋が訪れつつあった。

そういえば9月に入り、まだまだ汗ばむ日が続くものの、時折吹く風は秋のそれに変わってきた。

優雅な姿を楽しませてくれていたオカトラノオもすっかり花を散らし実を着け始めている。
よく見ると、真球に近い充実した種子もあれば、そうでないものもある。
充実していないものは、受粉が上手くいかなかったのかもしれないし、酷暑の影響かもしれない。

そんなオカトラノオの穂を見ていると、一匹の小さな昆虫がいるのに気づいた。
体長は4~5mmほど。
銅の錆である緑青(ろくしょう)のような色をしている。

コフキゾウムシである。

コフキゾウムシは、葛の葉を食べる昆虫なのだが、なぜかオカトラノオの穂の上で長い時間を過ごしていた。

20100914kohukizoumusi2 コフキゾウムシは漢字では“粉吹象虫”。
“象虫”と名付けられるほど鼻先(口吻)は長くないが、これでもゾウムシの一種なのだ。
そして“粉吹”の名は、この緑青色から付けられているのだが、この色は、この虫自身が吹きだす粉なのである。
粉に隠された地の体色が漆黒であるとはなかなか気づきにくい。

羽化後しばらく経った個体は、この粉がはげ落ちて地色が見えてくる。

少し前に紹介したツツゾウムシオオゾウムシなども、同じように躰に粉をふくのだが、どのような効果があるのだろうか。

20100902 コフキゾウムシ(後山)
NIKON D90 105MICRO

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2010年9月12日 (日)

新参者の定着

20100912tumagurohyoumonn

3年ほど前から、ツマグロヒョウモンを村内で見かけることが多くなってきた。
※その頃の記事は→こちらから。

もともとは、関西以西に主として棲息していた蝶で、じわじわと東征してきている。
東京や横浜などの都市部では、2006年頃から定着が始まったと考えられているが、それから1~2年で、川場村にまで侵出してきたことになる。

川場村での発見当初は、建物の外構や道路脇の植え込みなどに植えられたパンジーやビオラなどの苗に卵や幼虫がついてきて、村内で羽化した可能性が高いと思っていた。
そして、都心部とは比べものにならないほど厳しい川場村の冬を越すことはないだろうとたかをくくっていたのだが、あに図らんや、しっかりと定着しつつあるようだ。

この蝶は、幼虫で越冬を行うのだが、冬でも暖かい気密住宅の普及や舗装路面の拡大等々の、いわゆる“地域の都市化”がこの蝶の棲息を可能にしていると考えて良いだろう。
成虫はともかく、幼虫や蛹を見かけるのは、村内でも、集落や宿泊施設の周辺が多いことからも、そう外れた推理ではないと思っている。

ところで、村内では、ミドリヒョウモンメスグロヒョウモン等々、他のヒョウモンチョウが在来種として棲息してきたのだが、ツマグロヒョウモンという新参者が定着しつつあることが、在来種にはどのような影響を及ぼしているのだろうか。

ヒョウモンチョウの多くは、幼虫時代の食草にスミレの仲間を選んでおり、ツマグロヒョウモンの幼虫が食べるパンジーやビオラなど園芸植物もスミレの仲間なのである。
つまり、食草の競合で在来種に圧力がかかることも考えられるのだが、前述のように、ツマグロヒョウモンは集落周辺、その他のヒョウモンチョウは森林地帯、というように棲み分けているのだとしたら悪影響は少ないのかもしれない。

むしろ、温暖化の影響で、在来種が東へ、あるいは北へと生息地を移しているとしたら、それらのニッチをツマグロヒョウモンが埋めているということもあるのかもしれない。

生き物を見つめるということは、人間の計画下、管理下に彼らを置くということではない。
だからこそ、人間にとって好都合なことも、そして不都合なことも粛々と受け入れる姿勢が求められているように思う。

ツマグロヒョウモンの川場村への侵出を、人為による自然の攪乱と断ずるのか、種々の環境変化による生息域の変動と考えるのか、明確な答えを出すことができるのはもう少し先のことになりそうだ。

20100902 マルバハギで休息するツマグロヒョウモンのオス(後山)
NIKON D90 70-300

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2010年8月31日 (火)

セモンジンガサハムシ

20100831jinngasahamusi

これもまた小さな小さな昆虫。

セモンジンガサハムシという甲虫だ。
漢字で書くと“背紋陣笠葉虫”。

前翅と胸部の外殻に透明な部分をもつ虫で、堅い殻で身を守りつつ、殻の中から外界を見渡せるという驚くべき構造を有している。

亀は甲羅に隠れれば外の世界を見ることができないが、この虫はそれができるのである。

体長は5mmほどで、バラ科の植物の葉を食べて育つ。

北海道から九州にまで棲息する昆虫で、とくに希少種ではないのだが、葉の裏にぴったりと身を寄せていることが多く、なかなか目にとまりにくい虫である。

森林(やま)の生態系は、本当に様々な生物で成り立っているものである。

20100825 セモンジンガサハムシ(友好の森)
NIKON D90 105MICRO

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クサカゲロウの仲間の幼虫

20100831kusakagerou

あまり写りの良くない写真だがご勘弁いただきたい。

ともかく小さいのだ。
そのうえ、この日はそよそよと風が止まらない。

バッコヤナギの葉の上で見つけたのは、クサカゲロウの仲間の幼虫。
縦横高さ、どこをとっても5mmに満たない程度の大きさだ。

クサカゲロウの仲間は、世界では1300種、わが国でも40種が確認されていて、そのどれもが似通っているので、とてもとても種レベルの同定はできるものではない。

このクサカゲロウの仲間は、幼虫時代に背中にゴミを背負って歩くという風変わりな特徴をもっている。
種類によっても異なるようだが、枯れ草を背負うもの、餌である小さな昆虫の亡骸を背負うものと様々である。

この写真では分かりにくいが、近縁のウスバカゲロウの幼虫(アリ地獄)をスレンダーにしたような体型で、アブラムシやハダニなどを捕食(体液を吸う)する肉食昆虫である。

このときも、緑の葉の上に、枯れて縮こまった枯葉が落ちているのかと思ったのだが、見ているとテクテクと歩き始めた。
動かなければ、クサカゲロウの幼虫だと気付くこともなかっただろう。

虫眼鏡をもって散策すると、森林(やま)には驚きが沢山ある。

20100824 クサカゲロウの一種の幼虫(ヒロイド原)
NIKON D90 105MICRO

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ヤマキマダラヒカゲ

20100830yamakimadarahikage

ときどき撮影のチャンスはあるのに、なかなか写し留めることができない被写体がいくつかある。

このヤマキマダラヒカゲもその一つで、①夕方から活発に活動をすること、②森林内を翔ぶことがその理由だ。
つまり、薄暗い時間に、さらに陰を翔ぶのだから目にもとまりにくいし、カメラを向けても早いシャッターが切れずにブレてしまうことになるのである。

実は、このヤマキマダラヒカゲ、近縁の“サトキマダラヒカゲ”だと思って写真に収めたのだが、拡大してじっくりと観察をしてみてはじめて“ヤマキマダラヒカゲ”だと判明した。

この両種は、かつては“キマダラヒカゲ”として1種類にまとめられていたのだが、近年になって別種であるとされた経緯があるほど、よく似通っているのである。

その名のとおり、サトキマダラヒカゲが里(低山部)に多く棲息し、ヤマキマダラヒカゲが比較的標高の高い(1,000m程度)ところに多く棲息すると云われてはいるが、地域差も大きく、目撃地点の標高によって判別するのは避けた方がよい。

翅の裏側(写真で見えている側)の目玉模様(眼状紋)に違いがあり、それを手がかりに同定する方がよさそうである。
※詳しくは→こちらのHPから

幼虫は笹や竹の葉を食べて育ち、蛹で越冬する。
成虫(蝶)はもっぱら樹液を吸い、花に吸蜜に訪れることは滅多にない。

20100823 ヤマキマダラヒカゲ(ヒロイド原)
NIKON D90 70-300

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