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2010年6月30日 (水)

『草花のふしぎ世界探検』

20100630kusabananohusigisekaitannke ピッキオ編著:『草花のふしぎ世界探検』、岩波ジュニア新書、(2005年初版)

学生たちの学外実習を行うために長野県の佐久・軽井沢方面に足を延ばしてきた。

この地方のカラマツを中心とした木材生産の現場や、集成材加工工場の見学に加えて、全国的にも名高いピッキオのネイチャーガイドも体験してきた。

私の関心事は、もっぱら「川場での自然体験プログラムに活かすことができる何かがあるか」ということだったのは云うまでもない。

参加者一人一人にきちんと目を配り、参加者の興味や関心を引き出しながら、軽井沢の自然を楽しく、そして丁寧にガイドする姿は川場村のスタッフにも大いに参考にして欲しいと強く感じた。

さてさて、それはともかく。
重度の活字中毒者でもあり、新書マニアでもあり、ご当地本蒐集家でもある私は、どこへ出かけても出来るだけ訪問地と縁の深い書籍を探すように心がけている。

ピッキオのビジターセンターで出逢ったのがこの本である。

日本野鳥の会の創設者でもある中西悟堂氏ゆかりの“野鳥の森”を拠点とするピッキオだけあって、さすがに地に足のついた観察をベースにした、他に類を見ない一冊だ。

アズマイチゲの蕾が開き、また閉じるまでを丹念に追っていったり、マムシグサが年によって性転換することを何年間にも渡る記録を元に検証したり、ツリフネソウの昆虫を利用した花粉媒介の仕組みをわかりやすく解説したりと、一所に拠点を置くメリットを最大限に活かした活動が、平明な文章と美しい写真で綴られている。

私のように、フィールドに“通う者”には手の届かない、フィールドに起居する者だけが目にすることが出来る植物の“ふしぎ”を紹介してくれる好著である。

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