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2011年4月18日 (月)

楽しい時間

20110418kamosika

先の記事で、カタクリに逢いに出かけた話を書いたが、じつは、その時にもう一つの出遭いがあった。

カタクリが群生する秘密の場所にそっと近づくと、一頭のカモシカが地面に腹をつけ、まるでカタクリをまもっているかのように静かな目でこちらを見つめていた。

私と目が合うと、ゆっくりと立ち上がったが、それでもその場を離れない。
10m程の距離まで近づくと、ようやく2~3mだけ移動をする。
またもう少しだけ近づくと、私が近づいた分だけ距離をとる。
そして、驚いたことに、私が遠のくと、またその分だけ距離を詰める。

小一時間ほどもそんなことを繰り返したが、元いた場所から離れようとしなかった。

「だいじょうぶだよ。カタクリを盗ったりしないよ。写真におさめるだけ。」
と心の中で話しかけてから、数百株はあろうかというカタクリを見てまわったのだが、その間もずっと傍にいて私を見つめていた。

カモシカは、カタクリを食べることはしないようなのだが、辺り一面で芽吹きが始まったハナイカダの新芽は大好物である。
ハナイカダの新芽を食んでは、春の陽射しで温まった地面に腹をつけて休み、また新芽を口にする。
おそらく、そんなことを繰り返していたのだろう。

実はこのカモシカとは、もう何度も出遭っているので、「こいつはおかしなヤツだけれど、悪さはしない」と憶えてくれていたのかもしれない。

ネルのシャツの袖をまくり、ベストを引っかけただけの軽装でも汗ばむ程の陽気の中で、心底楽しい時間をプレゼントされた。

(2011/04/16)

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